DIAM高格付インカム・オープン(毎月決算コース)愛称:ハッピークローバー/ DIAMアセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- DIAMアセットマネジメント
- 商品名:
- DIAM高格付インカム・オープン(毎月決算コース) 愛称:ハッピークローバー
- 地域/決算:
- 海外・先進国 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 7,608円(2012年11月14日付け)
- 手数料:
- 1.0%(申込手数料 ※岡三オンライン証券) 1.00%(信託報酬)
DIAM高格付インカム・オープンは資源国4カ国に限定したのが功を奏す!
DIAM高格付インカム・オープン(ハピクロ毎月)は、豊富な資源を保有する先進国(資源国)の公社債に投資して、その売却益・利子収入で分配金を出している。他のソブリン債型の投信がアメリカ・日本も投資対象に組み入れているのに対して、この投信で投資しているのはカナダ・オーストラリア・ニュージーランド・ノルウェーの4カ国のみだ。その比率もカナダが45%、オーストラリアが35%、ニュージーランドとノルウェーが10%ずつとカナダとオーストラリアへの依存度が非常に高い。
過去1年の分配金履歴を振り返ると、毎月35~45円を出していた。2012年4月に45円から35円に減配し、現在も35円のままだ。状況は完全に良好とは言い難い。ちなみに、 愛称のハッピークローバーは、4カ国のみに投資している点、資源を連想しやすいグリーンから考えられたモチーフだろう。
まず基準価額だが、他社ソブリン型投信のように右肩下がりではなく2009年から7,000円近辺を維持している点は心強い。4月に減配した割に上昇が鈍いが、累積投資額(分配金再投資後の基準価額)は堅調に上昇している。他社が伸び悩む中で2008年時のピークを越す勢いだ。このままの運用が続くなら、今後のパフォーマンスにも期待できるチャートだ。一方で、純資産は2009年から減少が止まらない。他社ソブリン債型投信も減少しており、特に珍しい話ではないのだが、個人投資家からの新規の買い入れ等は止まってしまった可能性が高い。
組み入れ銘柄のポートフォリオだが、国別では前述した通りの比率が通貨比率で分かる。投資対象の債券の格付けは、最高位であるトリプルAが8割を占めており、デフォルトして投信への悪影響を及ぼす懸念は皆無だ。種別では、豪州の政府機関債がトップの約20%で、カナダ地方債、カナダ国債が、カナダ社債が続き、4カ国とは思えない程に分散されている。
個別銘柄では、オーストラリアのニューサウスウェールズ州の州債がトップだ。同州はオーストラリア最大の人口と経済規模を誇るシドニーでは金融・経済が活発で、資源以外にも数多くの世界遺産があるため観光資源も豊富な州だ。もちろん格付けは最高位となっている。同様にカナダのブリティッシュ・コロンビア州債も資源以外にバンクーバーという大都市を有した州で、こちらも財政は良好だ。
投資比率の高いカナダ経済の見通しだが、現在はGDP成長率で2%成長と概ね良好だ。2008年リーマンショックから2009年は大きく落ち込んだが、カナダ銀行は他の先進国より先駆けて利下げ政策を打ち出し、金利を4.5%から2009年には0.25まで下げたのが経済に大きくプラスの影響を与えた。その間の資源価格の上昇もあるが。。。
一方で、幾つかの懸念もある。その1つがメキシコの台頭で、これまで米国向けの自動車生産で大きな位置を占めていたのが、メキシコにポジションをとられつつある点だ。それ以外にも、米国内でシェールガス生産が増加したため、カナダからの輸入が減少している点がある。カナダは日本を含めて新たな輸出先を探しているが、地理的に有利であった米国への輸出が減ってきているのは痛いところだ。
次に、他社のソブリン債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益・分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で現在の基準価額がマイナス5%の場合、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額すると仮定して、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 国際投信 グローバルソブリン オープン |
DIAM 高格付けインカム オープン |
大和投信 グローバル債券 ファンド |
日興アセット 高金利先進国債券 オープン |
ピムコ ハイ・インカム 毎月分配型 |
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基準価額 | 4,775円 | 7,608円 | 6,304円 | 7,134円 | 5,935円 |
増減率 | -1.2% | +2.4% | -2.0% | -0.8% | +4.1% |
手数料 | 0% | 1.0% | 2.0% | 1.0% | 0% |
信託報酬 | 1.25% | 1.00% | 1.25% | 1.25% | 1.30% |
信託財産 留保額 |
0.5% | 0.5% | 0% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 7.5% | 4.5% | 3.5% | 10.5% | 9.8% |
3年分の 利益額 |
221,374円 | 120,615円 | 85,266円 | 305,738円 | 289,614円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,184,606円 | 1,195,089円 | 1,025,868円 | 1,281,739円 | 1,417,874円 |
最終予想 利回り |
5.81% | 6.12% | 0.85% | 8.63% | 12.34% |
上図で「DIAM高格付インカム・オープン」を比較したが、ピムコほどではないが、基準価額が1年前よりもプラスに転じているのが大きい。1年前の2011年11月の基準価額が7,428円、2012年11月現在の7,608円で約2%の上昇だ。たかだか2%ともいえるが、毎月分配型の投信で、累積投資額ではなく基準価額が上昇するのは貴重だ。また、購入手数料はノーロードととまではいかないが1%と安価で、信託報酬も他社よりも安価になっている。これは分散しているとはいえ4カ国にしか投資していないのも要因の1つだろう。ただし、分配利回りは4%程度と少し物足りない数字だ。しかし、基準価額の上昇幅を加味すれば、最終的な予想利回りは6%前後と優秀だ。基準価額が上昇してなくとも年利3~4%は堅持できる計算だ。
最後に結論だが、利回りよりも安定した運用を望むのであればオススメできそうだ。投資している国も当面は安心できる資源国であり、その中でも投資している大半が、格付けがトリプルAの債券という点でも評価できる。純資産額も、ゴロソブとの差は1兆円近くあるが、実はソブリン債型の投信の中では、ナンバー2の規模を誇っており、当面の分配金の減配も抑えられるはずだ。もちろん、現在は良好であるカナダ経済が悪化する可能性もあり、ハリケーンなどの天災が頻発するオーストラリア経済も磐石とはいえず、リーマンショック・米国債ショック・欧州債務問題のような経済危機が起きれば大きく下落することは想定される。国自体もさることながら通貨が影響する可能性もある。相応のリスクはあるが、カナダ・豪州が早々に回復したことを鑑みれば、この投信の中長期保有も視野に入れていいだろう。現在保有中の人も、累積投資額が上抜けて止まるまでは待った方が賢明だろう。