高金利先進国債券オープン(毎月分配型) 愛称:月桂樹/ 日興アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 日興アセットマネジメント
- 商品名:
- 高金利先進国債券オープン(毎月分配型) 愛称:月桂樹
- 地域/決算:
- 海外・先進国 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 7,134円(2012年11月14日付け)
- 手数料:
- 1.0%(申込手数料 ※楽天証券) 1.25%(信託報酬)
高金利先進国債券オープン(毎月分配型) の利回りと安定度は恐るべし!
この投信は、信用格付けの高い先進国の債券に投資し分配金を出している。他社のソブリン債型の投信と異なりオーストラリア・ニュージーランドの二国で、投資比率の50%以上を占めている。国が分散されていないだけリスクがあるとも言えるが、債務不安が燻るヨーロッパ、財政問題や先行きが不透明なアメリカの影響を受けにくいメリットがある。欧州問題の際には影響は受けているが、いち早く回復に向かったのがオーストラリアでもあるため、同国自体が危機にならない限りは影響は限定的とも考えられる。さて、過去1年の分配金履歴では毎月70円を出している。減配している他社投信もあるため優秀といえる。
基準価額は、激しい上下と横バイが数ヶ月スパンで繰り広げられているが、数年スパンで見ると微減傾向にある。その一方で累積投資額(分配込みの基準価額)は上昇を続けているが、以前として08年の数値は超えられていない。他社ソブリン型投信では超えているものも散見されるため、このまま上昇が続けば超える可能性は十分にある。
純資産は他社ソブリン型投信が既に微減している中で、横バイな点は安心材料だ。2010年から維持している分配金70円も今後の数年は維持できそうだ。
組み入れられた債券だが、セクター別(種別)では国債と地方債は20%ずつで、政府機関債が50%を超える高比率になっている。他社の国債か州債が基本のソブリン債型投信とは一線を画した構成だ。国別では、冒頭で述べた通り豪州・NZが大半を占めるが、ノルウェー・カナダの比率も高い。この構成はDIAMのハッピークローバーに近く、かなり資源頼りの印象がある。
個別の構成銘柄では、ニュージーランド・ノルウェーの国債、鉱業以外にもゴールドコーストやグレートバリアリーフのような観光資源も豊富なオーストラリアのクィーンズランド州の地方債が見受けられる。その他、さすがに他社より政府機関債の比率が高いだけあって、ノルウェー王国が100%出資し各地方自治体に融資しているノルウェー地方金融公社、同じく国内の地方自治体等に融資しているオランダ自治体金融公庫などの金融機関の銘柄が名を連ねている。
この投信で最も投資比率が高いニュージーランド経済の今後の見通しだが、まず現在は2011年に起きたカンタベリー地震の影響から緩やかに回復している状況だ。同地震はテレビ局のビル倒壊・国際空港の管制塔が崩れるなど、インフラ面でも大きな被害を与えた他、数万人の失業者が発生、NZドルが年初来安値を付けるなど経済面で大きな打撃を受けた。NZは海外の観光者からの収入も大きく、その点でも悪影響があった。それから1年以上が経過して、GDP成長率も2%まで持ち直した。ただし未だに失業率は高水準で、2011年まで豪州に次いで輸出相手国であった中国の景気減速で、大きく回復ができていない。まだまだ緩い回復途上といえる。
次に、他社のソブリン債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益・分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で現在の基準価額がマイナス5%の場合、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額すると仮定して、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 国際投信 グローバルソブリン オープン |
DIAM 高格付けインカム オープン |
大和投信 グローバル債券 ファンド |
日興アセット 高金利先進国債券 オープン |
ピムコ ハイ・インカム 毎月分配型 |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 4,775円 | 7,608円 | 6,304円 | 7,134円 | 5,935円 |
増減率 | -1.2% | +2.4% | -2.0% | -0.8% | +4.1% |
手数料 | 0% | 1.0% | 2.0% | 1.0% | 0% |
信託報酬 | 1.25% | 1.00% | 1.25% | 1.25% | 1.30% |
信託財産 留保額 |
0.5% | 0.5% | 0% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 7.5% | 4.5% | 3.5% | 10.5% | 9.8% |
3年分の 利益額 |
221,374円 | 120,615円 | 85,266円 | 305,738円 | 289,614円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,184,606円 | 1,195,089円 | 1,025,868円 | 1,281,739円 | 1,417,874円 |
最終予想 利回り |
5.81% | 6.12% | 0.85% | 8.63% | 12.34% |
上図で「日興・高金利先進国債券オープン」を比較したが、基準価額の増減は1%前後で誤差の範囲内ともいえそうだ。ただし、他社のソブリン債型投信と比較すると若干物足りなくもある。手数料・信託報酬などの諸経費では特に有利な点は見られず平均だ。一方で、分配利回り(分配金だけで考えた利回り)はトップの数字で10%を誇る。ハイ債・リート型の投信ではありふれた数字だが、基準価額のマイナスを抑えたソブリン債型の投信の中では優秀な数字だ。基準価額の増減を加味した最終予想の利回りは8%前後と高い数字だ。さすがに一部にハイ債も組み込んだピムコには劣るが、かなり優秀な数字といえる。
結論としては、利回りなどの数字重視なら前向きに検討しても良さそうだ。構成銘柄もニュージーランド・オーストラリアといった安定度が高い国の比率が圧倒的に高く、世界的な経済危機は別にして今後も安定した運用を期待はできる。
注意して欲しいが、あくまで上図の数字は、良い意味でも悪い意味でも予想でしかない。うがった見方をすると、偶然に昨年の基準価額が下落し過ぎていた考えることもできる。その場合には、想定よりも3~4%の誤差が出る可能性がある。さらに、チャートを見ると基準価額がズルズルと下落しており、本当に基準価額をキープできるか疑問もある。そういった数字であることを踏まえて、あくまで自己責任で購入してほしい。