ダイワ・グローバル債券ファンド(毎月分配型)/ 大和証券投資信託委託

大和証券投資信託委託/ダイワ・グローバル債券ファンド(毎月分配型)
オススメ度:
1
運用会社:
大和証券投資信託委託
商品名:
ダイワ・グローバル債券ファンド(毎月分配型)
地域/決算:
海外・先進国 / 毎月分配型(年12回)
対象資産:
債券
基準価額:
6,304円(2012年11月14日付け)
手数料:
2.0%(申込手数料 ※大和証券) 1.25%(信託報酬)

ダイワ・グローバル債券ファンドは利回りが低いため今からの購入は?

この投信は、格付けがシングルA以上の国債・公社債に投資し分配金を出している。他のソブリン債型の投信が、国別比率を状況に合わせて変化させているものも多い中で、投資対象を北米・アセアニア・欧州で3分割している。さらに各地域でも6:4の比率で区切りリスクヘッジしている。北米はカナダドルが6:米ドルが4、欧州は北欧が6:ユーロが4、オセアニアは豪ドルが6:NZドルが4といった具合だ。この点に関しては利回りを勘案して反転させる器用さはある。

過去1年の分配履歴では毎月25~50円であった。かなりの幅があるが、2012年1月に50円から35円に減配、さらに2012年11月に35円から25円に減配と、数ヶ月毎に減配している点が気がかりだ。。。

ダイワ・グローバル債券ファンド(毎月分配型)の基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、下げ止まる気配が見られずに漸次下落している。3年前と比較すると約20%分が下落した計算で、その割には累積投資額(分配金込みの基準価額)が3年前を超えられないという宜しくない状況だ。

純資産も2006年時をピークに右肩下がりで減少を続けており止まらない。この勢いが続けば現在の約3,000億円の資産も2013年には2,000億円の維持がやっと、という水準までいくだろう。分配金の維持は、ますます困難になりそうだ。

ダイワ・グローバル債券ファンド(毎月分配型)の国別・上位構成銘柄

組み入れ銘柄だが、種別では国債が7割り近くを占め、州債が2番手に続いている。この投信はシングルAの債券まで投資する方針だが、実際には最高位のトリプルAの債券が8割を占めて安全を図っている。国別比率では、冒頭で述べた3割ずつという触れ込みに若干だが上下がある。欧州の比率が若干低めの設定で、特にユーロは現在の経済情勢も加味してか、約10%に留められている。

個別の上位構成銘柄はニュージーランド・デンマーク・カナダ・ポーランドの国債が上から順に並んでいる。国債以外では1986年に西オーストラリア州の州の中央借り入れ機関として設立したWESTERN AUSTRALIAN TREASURY Corporation(直訳は西オーストラリア州理財公社)」が州債として組み入れられている。

オーストラリアの経済指標(GDP・設備投資など)

この投信で、単独の通貨では最も比率が高いオーストラリア経済の今後の見通しだが、現状は断続的な利下げもあり好調だ。中国景気悪化の懸念があるが、国内景況感は悪くなく、内需が堅調なのが支えている印象だ。財務面でも歳出抑制が効いており、2015年までに黒字化も達成される見込みで、ますます債券の信用格付けは磐石になりそうだ。

その一方で、前述した中国景気の悪化懸念が根強く、今後の見通しに暗い影を落としている。現に2012年夏頃から中国向けの輸出が激減しており、その分だけ日本向けの輸出量が上昇し反転しそうな勢いでもある。天然ガスを含めて資源安に動いていることもあるが、鉄鉱石の価格下落が厳しく、2012年夏にはピークの2011年時の価格の半値まで落ち込んでいる。ただ、中国経済も底入れ感があるため、今後は徐々に回復していくとは予想されるが。。。

次に、他社のソブリン債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益・分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で現在の基準価額がマイナス5%の場合、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額すると仮定して、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 国際投信
グローバルソブリン
オープン
DIAM
高格付けインカム
オープン
大和投信
グローバル債券
ファンド
日興アセット
高金利先進国債券
オープン
ピムコ
ハイ・インカム
毎月分配型
基準価額 4,775円 7,608円 6,304円 7,134円 5,935円
増減率 -1.2% +2.4% -2.0% -0.8% +4.1%
手数料 0% 1.0% 2.0% 1.0% 0%
信託報酬 1.25% 1.00% 1.25% 1.25% 1.30%
信託財産
留保額
0.5% 0.5% 0% 0% 0.5%
分配利回り 7.5% 4.5% 3.5% 10.5% 9.8%
3年分の
利益額
221,374円 120,615円 85,266円 305,738円 289,614円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,184,606円 1,195,089円 1,025,868円 1,281,739円 1,417,874円
最終予想
利回り
5.81% 6.12% 0.85% 8.63% 12.34%
ソブリン債型の投資信託の比較表(国際投信 グローバルソブリン・DIAM高格付けインカムオープン・大和投信グローバル債券ファンド・日興アセット高金利先進国債券オープン・ピムコ ハイインカム毎月分配型)

上図で「大和グローバル債券ファンド」を比較したが、まず基準価額のマイナスがパフォーマンスに水を差している。1年前の2011年11月の6,434円から、2012年11月の6,304円まで2%下落している。もちろん、他タイプの投信(特にハイ債やリート)と比較すれば、そのマイナス幅は優秀なのだが、かなりの安定運用をしているソブリン型投信の中では、そのマイナス幅が目立ってしまう。また、手数料も全般的には高額ではないが、手数料無料か1%が多い中では2%は高額で、信託報酬も平均レベルと取り立てて安価ではない。さらには、減配の影響もあり分配金での分配利回りが低い。結果的に、最終予想利回りは1%前後と厳しい数字になった。これでは、数年後には赤字運用になっている可能性も否定できない。

結論としては、数字が厳しくオススメできそうにない。構成銘柄に特に問題があるわけでもないが、無理無理に分配金を出し続けている感も否めず、純資産が減少を続けている今、分配金額の維持にも疑問符がつく。やはりこれからの購入は厳しい。現在保有中の人は、累積投資額のチャートでは上昇局面である今ではなく、もう少し様子見をしてからの解約・乗り換えを検討したい。特に、ピークであった14,000円をメドに見切りをつけるか否かの判断が妥当だろう。債券市場自体は、先進国の相次ぐ金融緩和で資金流入が起きており、利回りは低下しているが、債券価格が上昇しており決して悪い状況ではない。チャートの数字か、市場環境の変化を待っての判断が賢明だろう。