ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンド/ 三菱UFJ投信

三菱UFJ投信/ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンド
オススメ度:
3
運用会社:
三菱UFJ投信
商品名:
ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンド(ハイ毎月)
地域/決算:
海外・先進国 / 毎月分配型(年12回)
対象資産:
債券
基準価額:
5,935円(2012年11月14日付け)
手数料:
0%(最安手数料 ※鹿児島銀行) 1.00%(信託報酬)

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドは素晴らしい利回りなのだが?

この投信は、格付けの高い先進国の債券と、格付けは低いが高利回りの債券に投資し分配金を出している。その比率は概ね半々だが、組み入れられている通貨は米ドルが6割以上を占めており、今回は便宜上、ソブリン債型の投信と比較した。もちろん、米ドルが中心のため米国の有名企業の社債にも多く投資しているが、AIGのように一時は経営危機に陥った企業の社債も含まれおり、当然ながらそういった債券の格付けは低い。さて、過去1年の分配金履歴を振り返ると毎月55円を出している。2011年6月から維持している額だが、それ以前には70円だった時期もあり、今後も減配される可能性は否定できない。

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

基準価額は、ここ数ヶ月~1年は横バイ、よく言えば微増傾向にあるが、数年スパンで見ると下落トレンドなのは間違いない。一方で累積投資額は順調に上昇しており、ピーク時の数字に迫る勢いだ。このまま減配が無ければ安心だが。。。

一方で、純資産は目減りが止まらない。5年前の半分、2年前でも3分の2の規模だ。このまま減少が続けば現在の約1,700億円から2013年には1,200~1,300億円が視野に入る。そうなると、さすがに分配金の減配は免れず、累積投資額の伸びは鈍化する可能性が高い。

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの国別比率・上位構成銘柄・債券種別など

この投信に組み入れられた債券だが、冒頭でも述べた通り、A格以上の投資適格の債券と、トリプルB以下のリスクが高い債券が、ほぼ半々の比率となっている。種別では社債が5割、国債が2割程度となっており、通貨は米ドルが大半を占めている。この比率からすると、米国ハイ債型ともいえるが、格付けが高い債券も相当組み込まれており、一概にはハイ債型ともいえない微妙な投信だ。

個別の構成銘柄を見てみると、格付けが高い債券も低い債券も国債・政府機関債が数多く名を連ねる。米国債・オランダ国債からベルギー系の金融グループなどが、それに当たる。比率が高い社債に関しては、エネルギーと金融が見受けられる。上位にある「EL PASO(エルパソ)」は北米最大級のエネルギー企業の1つで、天然ガスを主力にしている。ちなみに、国債・社債ではないモーゲージ証券があるが、これは不動産債権を担保にした証券で、サブプライム問題の原因の1つともなった証券だ。現在の米国不動産市場は改善傾向にあり、また一時期ほどのハイリスクな証券・不正も規制されており、あまり問題にはならないはずだ。おそらく。。。

今後の債券市場の見通しだが、現在は先進国の相次ぐ金融緩和で債券にも相当の資金が流入している。そのため債券価格は上昇し、債券利回りは低下する傾向にある。この投信のように債券に投資している投信への影響は、債券価格の上昇で資産額が上昇し基準価額の上昇と売却益にプラス寄与する一方で、債券利回りの低下で利子収入が減少するため分配金の維持にマイナス影響を及ぼす。また、組み入れている債券は米ドル建てが大半を占めており、この投信は為替ヘッジしいないため為替の影響も受ける。ドル円に関しては、2007年の120円近辺から時折は円安に動くが、数年スパンでは円高傾向で、現在は70~80円台を推移している。今となっては2010年の93~94円で騒いでいた円高など可愛いものだ。数年後に60円台になっても何の不思議も無いといえよう。この投信が米ドルで収益を上げて円に交換して分配金を出す以上は、数年スパンでの円高が間違いないのであれば、時間が経つほどにパフォーマンスの悪化が起こる。今や、超長期スパンで同じ投信を持つのは考えものということだ。

次に、他社のソブリン債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益・分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で現在の基準価額がマイナス5%の場合、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額すると仮定して、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 国際投信
グローバルソブリン
オープン
DIAM
高格付けインカム
オープン
大和投信
グローバル債券
ファンド
日興アセット
高金利先進国債券
オープン
ピムコ
ハイ・インカム
毎月分配型
基準価額 4,775円 7,608円 6,304円 7,134円 5,935円
増減率 -1.2% +2.4% -2.0% -0.8% +4.1%
手数料 0% 1.0% 2.0% 1.0% 0%
信託報酬 1.25% 1.00% 1.25% 1.25% 1.30%
信託財産
留保額
0.5% 0.5% 0% 0% 0.5%
分配利回り 7.5% 4.5% 3.5% 10.5% 9.8%
3年分の
利益額
221,374円 120,615円 85,266円 305,738円 289,614円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,184,606円 1,195,089円 1,025,868円 1,281,739円 1,417,874円
最終予想
利回り
5.81% 6.12% 0.85% 8.63% 12.34%
ソブリン債型の投資信託の比較表(国際投信 グローバルソブリン・DIAM高格付けインカムオープン・大和投信グローバル債券ファンド・日興アセット高金利先進国債券オープン・ピムコ ハイインカム毎月分配型)

上図で「 ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンド」を他社比較したが、基準価額が1年前の5,701円から2012年11月の5,935円まで上昇している点は評価できる。また、信託報酬こそ他社より高めだが、手数料が証券会社・銀行によっては無料というのは有難い。また、分配利回りも日興には及ばないが、10%近い数字で優秀で、基準価額の増減・分配金を加味すると最終予想の利回りは10%超だ。ソブリン債型の投信の中ではトップの利回りだ。ただし、基準価額のチャートを見返すと、1年前に他社よりも大きく下落している可能性が浮かびあがる。そのため、2013年秋冬には基準価額の上昇という恩恵はなく、最終予想利回りも7~8%になっている可能性は十分にある。

結論としては、利回りなどの数字重視の人でも購入するかは微妙だ。前述したように2013年以降も2012年と同様のパフォーマンスを維持できる可能性が際どいためだ。また、全体の50%にリスク高めの債券(ハイイールド債)が組み入れられているわりに、ハイ債を組み入れいない日興の高金利債券ファンドに分配利回りでは劣っている点も不可解だ。それなら、高格付け(リスク低め)の債券で同等のパフォーマンスを出してくれる日興の方がリスクと数字の面で評価できる。やはり、今からの購入は微妙だ。。。