BAMワールド・ボンド&カレンシーファンド 愛称:ウィンドミル/ ベアリング投信投資顧問
- オススメ度:
- 運用会社:
- ベアリング投信投資顧問
- 商品名:
- BAMワールド・ボンド&カレンシーファンド 愛称:ウィンドミル
- 地域/決算:
- 海外・先進国 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 7,534円(2012年11月14日付け)
- 手数料:
- 2.5%(最安手数料 ※東海東京証券) 1.45%(信託報酬)
BAMワールドボンド&カレンシーファンドの安定力は神の領域といえる!
この投信は、格付けが投資適格以上の世界の公社債に投資して、毎月の分配金を出すことを謳っている。ただ、目論見書では格付けがトリプルB以上の債券が投資対象だが、実際にはシングルA以上の債券が97%を占めているため、設立当初よりもさらに慎重な姿勢で運用していると分かる。また、運用しているベアリング投信投資顧問は聞き慣れない人も多いだろうが、イギリスに本社を置く資産運用会社で、2012年には創業250年を迎えた老舗だ。さて、この投信の過去1年の分配金履歴を振り返ると、毎月40円を出していた。2009年から40円を維持している。後述する安定力から、今後も維持するのは間違いないと予想される。
まず基準価額だが、2000年から8,000円近辺をキープする驚異のチャートを示し、累積投資額額も上昇している。この安定力は驚愕・賞賛という言葉では言足りず、もはや畏怖すべき神秘的な領域に踏み込んでいる。本当にファンドマネージャーの類稀な運用は筆舌に尽くしがたい。なぜなら、ここ10年にあったサブプライム問題・リーマンショック・米国債ショック・欧州債務問題・中国経済失速・天変地異といった数々のマイナス要因に微動だにしていない点だ。さすが元祖金融市場のイギリスの企業といえる。純資産は、長らく300億円台であったが、2012年初めから急増した。新規の個人投資家の買い入れがあったのだろう。
気になる構成銘柄だが、もはや分析するのもおこがましい感は拭えない。おそらく現在の構成銘柄でさえ現在進行形で微調整を繰り広げられ、多様な情報網を駆使して情報収集をしているはずだ。他投信でも同様の姿勢だろうが、そのレベルは天と地の差がある。
一応軽く触れておくと、種別では国債が4割、次いで地方債(州債)と国債機関債が続く。トリプルAの債券が大半を占めるが、若干だがトリプルBの債券も組み入れられている。通貨では豪ドル・米ドル・加ドルが等分ずつと、お膝元の英ポンドの比率が高い。個別銘柄では、カナダの地方債・米国債の比率が高めだ。シングルAのメキシコ国債も利回りを稼ぐために入れているようだ。
他の投信ページであれば、このパートで各市場の見通しを記述している。だが、この投信の驚嘆の安定力に敬意を表し、この投信が見ている市場環境・投資方針と見通しを記述することにする。
まず、現在の状況だが、世界的に過剰債務(特に米国・欧州)を解消すべく国家が動いており、景気への下押し圧力が続くと見ている。先進国の金利は低下(債券価格の上昇)しているが、さらに金利は低下する余地があるとも予見する。そのため、償還までの期間が長いカナダの地方債・豪ドル建ての国際機関債などを買い増したようだ。また、通貨では欧州の債務問題からユーロ安が定着する未来を見てユーロを売り増し、インフレ抑制に政府が動いているカナダドルを買いにしている。今後の見通しでは、米欧の中央銀行の金融緩和が実体経済に与える影響は極めて限定的と読み、これまでの債務解消(歳出削減による景気下押し)の流れは変わらないと予想している。そのため財務状況の良好な豪州・カナダ、債務返済中の米国を中心にするようだ。深い読みがあろうから全ては斟酌できないが、恐縮ながら概ね記述した通りの方針と見通しのようだ。
次に、他社のソブリン債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益・分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で現在の基準価額がマイナス5%の場合、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額すると仮定して、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 国際投信 グローバルソブリン オープン |
DIAM 高格付けインカム オープン |
大和投信 グローバル債券 ファンド |
日興アセット 高金利先進国債券 オープン |
BAM ワールド&ボンド カレンシー |
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基準価額 | 4,775円 | 7,608円 | 6,304円 | 7,134円 | 7,534円 |
増減率 | -1.2% | +2.4% | -2.0% | -0.8% | -0.1% |
手数料 | 0% | 1.0% | 2.0% | 1.0% | 2.5% |
信託報酬 | 1.25% | 1.00% | 1.25% | 1.25% | 1.45% |
信託財産 留保額 |
0.5% | 0.5% | 0% | 0% | 0% |
分配利回り | 7.5% | 4.5% | 3.5% | 10.5% | 4.9% |
3年分の 利益額 |
221,374円 | 120,615円 | 85,266円 | 305,738円 | 122,634円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,184,606円 | 1,195,089円 | 1,025,868円 | 1,281,739円 | 1,119,851円 |
最終予想 利回り |
5.81% | 6.12% | 0.85% | 8.63% | 3.85% |
上図で「BAMワールド・ボンド&カレンシー・ファンド」を他社比較したが、1年前の2011年11月から基準価額はマイナス0.1%となっている。この数字だけ見ると、プラスに転じている他社投信や同様に1%に抑えている投信もあるが、それらのチャートを見て欲しい。このBAMの投信と比較すると、愚の骨頂、脆弱で怠惰な運用としか言いようがない。重ねてになるが、次元が異なる運用で、ファンドマネージャーの腕はこの資本主義社会で別の意味で神の手に近いのだ。その他、手数料・信託報酬は高額だが止むを得まい。運用会社の利益にもなる信託報酬に限っては、2%を徴収しても文句は無いだろう。分配利回りは5%前後と低めだが、安定した資産運用を考えれば十分な利回りだ。諸経費を差し引いても4%はとれる計算だ。
結論は述べるまでも無いがオススメできる投信だ。過去のパフォーマンスを見る限りは、当サイトで300以上の投資信託を分析・評価している中でも、この投信は現段階では史上最高、いや市場最高に近い投信といえる。愛称のウィンドミル(風車)は、まさに時代・市場の流れを捉えて、真のプロが運用する投信という意味に違いない。
このような投信の純資産額が、たかだが1,200億円程度で留まり個人投資家に浸透していないのは、もはや販売している証券会社・銀行の罪と言っていいレベルだ。グロソブで普及した毎月分配型で年金以外の副収入が得られるという幻想の中で、毎月の分配利回りが高ければ良いという風潮を蔓延させ、販売会社である証券会社・銀行は手数料を稼ぐべく、言葉巧みに説明しやすい商品の販売ばかりを加速させた。利回りは低くともプロが運用して安定した資産運用できるという投資信託の本道・本来の意味を揺るがした現状は、残念でならない。このBAMの投信のように本道を行く商品が、再び日の目を浴びてほしいものだ。とはいえ、あくまで債券で運用しているため、株高・債券安のグレートローテーションが来るような世界的な好景気になった場合には、この投信の出番は逆に無くなるかもしれない。