ドイチェ・グローバルREIT投信(ブラジルレアル) / 日興アセットマネジメント

ドイチェアセットマネジメント・グローバルREIT投信(ブラジルレアルコース)(毎月分配型)
オススメ度:
1
運用会社:
ドイチェアセットマネジメント
商品名:
ドイチェ・グローバルREIT投信(ブラジルレアルコース)(毎月分配型)
地域/決算:
海外 / 年12回(毎月)
対象資産:
不動産投信
基準価額:
7,358円(2012年8月2日付け)
手数料:
3.5%(申込手数料 ※野村證券) 1.08%(信託報酬)

ドイチェグローバルREIT レアルは過熱したブラジル人気にも陰りか!

この投信は、ファンドオブファンズ形式の投信で、投資家は、この投信を通じて世界各国の不動産投信に投資していることになる。この点は他社と同じであるが、さらにこの投信は円安レアル高になった場合の為替益を収益にしている。ちなみにレアル以外にも豪ドル・ランド・中国元等のコースがある。

現在の分配金は毎月150円と高額だが、分配履歴を辿ると2011年2月までは120円で、そこからの増額と分かる。現在のレアル/円は40円近辺、09年後半~11年までの50円から20%近く下落しており、その中でも分配金を維持しているとは殊勝なことだ。

ドイチェ・グローバルREIT投信(ブラジルレアルコース)(毎月分配型)の基準価額及び純資産の推移チャート

基準価額は他社と異なり大きく上下している。特に2011年時に上昇しているのは、レアルが54円近くまで上昇した点もあり、ブラジルに大量の外国資本が流れた時期でもある。後にジャパンマネーもブラジル経済を混乱させると問題視される結果となったが。。。再び、同じ流れになるかは疑問だが、W杯・五輪が終わるまでは、同じ状況が起きないとは言い切れまい。

ただし、純資産の増加は明らかに止まっている。この点は他社のワールドリートと同様だ。ここからの復活があるかは前述した通り疑問だが、みずほ・三井住友・MUFGの投信人気ランキングにはレアル絡みの投信が散見される。やはり復活の可能性は否定できまい。

ドイチェ・グローバルREIT投信(ブラジルレアルコース)(毎月分配型)の国別・業種比率及び組み入れ上位構成銘柄

国別の比率で他社同様に米国・豪州が高い。その他の国を見ても、特徴的な面は見られない。業種比率でもリテール(小売)がトップの比率を占め、オフィス・住宅と続く点も同様だ。

上位構成銘柄でも、ショッピングモールなどを保有するウェストフィールドにサイモン等が上位を占めている。他社に無い銘柄にはカムデン・プロパティーがある。米国で7万近い物件を所有し、米国に本社を置く膨大な企業の中で、働きたい企業100社で7位を獲得している。名実共に米国では名だたる企業といえる。その株価は、2009年にサブプライムの影響が直撃した際には80ドルから15ドルまで下落した。しかし、現在の米国住宅市場の回復の波に乗り、現在は70ドル近くまで伸ばしている。結果的には投資銘柄としては成功といえる。

今後の見通しだが、最も比率が高い米国経済・リートの現状は「ラサール・グローバルREIT」「国際投信ワールドリート」を、オーストラリア経済は「DIAMワールドリート」を、比率は低いがカナダ経済は「野村グローバルリート」を参照して欲しい。

次に、他社のワールドリート型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料・信託報酬(税抜き)、利益額、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。

計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 ラサール
グローバルREIT
国際投信
ワールドリート
オープン
ダイワ
グローバルREIT
DIAM
世界リート
インデックス
ドイチェ
グローバルリート
レアル
基準価額 3,651円 4,153円 3,369円 3,677円 7,358円
増減率 -16.8% -16.8% -10.5% -6.7% -31.2%
手数料 1.2% 0% 1.5% 2.5% 3.5%
信託報酬 1.50% 1.55% 1.48% 0.85% 1.08%
信託財産
留保額
0% 0% 0% 0.5% 0.5%
分配利回り 18.2% 17.2% 12.8% 10.6% 23.4%
3年分の
利益額
546,619円 516,948円 383,027円 317,171円 661,495円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,111,425円 1,093,082円 1,084,513円 1,099,368円 986,678円
最終予想
利回り
3.58% 3.01% 2.74% 3.21% -0.45%
ワールドリート型の投信の比較表(ラサールグローバルリート・国際投信ワールドリートオープン・ダイワグローバルリート・DIAM世界リートインデックス・ドイチェ・グローバルREIT

上図の通り「ドイチェ・グローバルREIT」は、ラサールグローバルリートを圧倒する分配利回りだ。驚異ともいえる数字だが、その分だけ基準価額もマイナス30%も削っている。それを加味すると、最終的な予想利回りはマイナス0.5%という燦燦たる数字だ。分配金だけの利回りに惑わされる良い例かもしれない。

また、手数料も高額で、上図には無いが、累積投資額の1年の騰落率もマイナス7%だ。他社がマイナスでも2~3%に抑えている中で、分配金込みの資産増加の意味でもパフォーマンスは悪いことが分かる。

最後に結論だが、数字面で厳しくオススメできそうにない。ただし、燃え燻っているブラジル人気が再燃するか、現在の円高が是正されれば、この投信のパフォーマンスが予想を上回る可能性が高い。そこに賭けて購入するのも一興だが、それならばブラジル関連の他投信も検討するのが賢明だ。ブラジル債券や株式に投資する投信も良いかもかもしれない。どちらにしても、自分の運用資産の中での比率(アセットアロケーション)は低めにした方が、いざという時の損害は抑えられるだろう。