ワールド・リート・オープン(毎月決算型)(Wリート毎月)/ 国際投信投資顧問

国際投信投資顧問・ワールド・リート・オープン 毎月決算型(Wリート毎月)
オススメ度:
3
運用会社:
国際投信投資顧問
商品名:
ワールド・リート・オープン 毎月決算型(Wリート毎月)
地域/決算:
海外 / 毎月分配型
対象資産:
不動産投信
基準価額:
4,153円(2012年8月2日付け)
手数料:
0%(申込手数料 ※カブドットコム証券) 1.55%(信託報酬)

国際投信・ワールドリートオープンは分配金だけの利回りは高いが!?

この投信は、世界各国の不動産からの賃料・売却益を収益として分配金を出している。ラサールグローバルリートと同様に、世界とはいえ米国への投資比率が60%と高く、同国の大きな影響を受ける。そもそも世界のリート市場の時価総額の約60%を米国が占めるため、比率が高くなるのは必然か。。。

また、2012年現在の純資産額は約4,000億円で、ワールドリート型の投信の中では、規模はラリートに次ぐナンバー2だ。現在の分配金は年12回で毎月65円だが、2012年1月までは毎月75円であった。欧州問題に耐え切れなかったか、下落し過ぎた基準価額を戻すためだろう。

国際投信投資顧問・ワールド・リート・オープン 毎月決算型(Wリート毎月)

まず基準価額だが、他社同様に2011年末に一段下落したが、何とか下落が止まった。とはいえマイナス幅は16%と大きい。一気に900円近く下落するのは心臓に悪い。

純資産の増加は2011年の5,000億円を境に下落に転じている。この点も他社同様だが、ここ数ヶ月は何とか持ち直している感もある。再び、投資家の目が向いてきた可能性もあるだろう。

ワールド・リート・オープン 毎月決算型(Wリート毎月)の国別・業種比率及び上位構成銘柄

上位の組入銘柄は米国が60%と高く、ラリート同様に前年より比率が増加し依存度が高くなった。業種では小売・複合が大きい点は他社同様だが、ヘルスケアは相違点だ。年々、米国は予防医療(健康医療)等の医療市場が拡大しているのもプラスだ。

上位銘柄に変動はなく、HCP、SIMON PROPERTY GROUP INC等が並んでいる。HCPがトップなのは珍しく、さすがにヘルスケアの比率が高いだけのことはある。ちなみにHCPは、病院だけでなくシニア向け住宅・リハビリ施設などの不動産も手がけているリートだ。米国も日本同様に高齢化が進んでおり、2000年から2020年までに65歳以上の人が1.5倍の6,000万人に増える試算で、やはり今後の成長は期待できる。

米国の景況感・リートの参考指標

投資比率が高い米国の見通しは、製造業・非製造業で共に景況感は改善しており、2012年は全体としては緩やかな回復が続くだろう。経済の牽引役である個人消費は、失業率の高止まりと企業の賃金抑制が影響し伸びに勢いを欠く。米国は感謝祭~クリスマスまでが個人消費の山場のため、その結果次第ともいえるが、この投信は小売セクターへの投資が大きく一抹の不安はある。

ただしリートの指数自体は堅調で、特に小売が大きなリターン結果を残しているのは好材料だ。セクター別ではオフィスが金融危機が影響してか弱い。リージョナルモールと呼ばれる高級志向のモールも好調だが、2013年にブッシュ減税(高所得者向けの減税)が解除されると先行きは暗そうだ・・・

次に、他社のワールドリート型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。

計算上での考え方は以下
「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 ラサール
グローバルREIT
国際投信
ワールドリート
オープン
ダイワ
グローバルREIT
DIAM
世界リート
インデックス
野村
グローバルREIT
プレミアム
基準価額 3,651円 4,153円 3,369円 3,677円 9,365円
増減率 -16.8% -16.8% -10.5% -6.7% -6.3%?
手数料 1.2% 0% 1.5% 2.5% 4.0%
信託報酬 1.50% 1.55% 1.48% 0.85% 0.88%
信託財産
留保額
0% 0% 0% 0.5% 0.5%
分配利回り 18.2% 17.2% 12.8% 10.6% 11.9%
3年分の
利益額
546,619円 516,948円 383,027円 317,171円 358,010円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,111,425円 1,093,082円 1,084,513円 1,099,368円 1,134,351円?
最終予想
利回り
3.58% 3.01% 2.74% 3.21% 4.29%?
ワールドリート型の投信の比較表(ラサールグローバルリート・国際投信ワールドリートオープン・ダイワグローバルリート・DIAM世界リートインデックス・野村グローバルREITプレミアム)

上図の通り「国際投信・ワールドリート・オープン」は、ラリートに次いで分配利回りが高く、元金100万円で3年運用すると約50万円の分配金を受け取ることになる。ただし、ラリートに次いで基準価額のマイナス幅も大きく、このペースで下落していくと、結果としては年利3%程度になる公算が大きい。

他社比較すると、分配金で基準価額のマイナス幅をカバーしているが、DIAMの世界リートには最終予想の利回りでは劣る。基準価額の落ち込みが最小、さらに信託報酬が半分に近く安いのが原因だ。DIAMの手数料が値引き合戦でも始まれば、今後の数字では逆転の余地もあるだろう。

最後に結論だが、どれだけ基準価額が下落しようと、利回りを追求するなら悪くない。だが、数字を追求するなら、同じような運用方針のラリートの方がパフォーマンスが上のためオススメだ。とはいえラリートの純資産は1年で2,000億円近い減少だが、この投信は1,000億円近い減少で済んでいる。1年前の両者の純資産額の差も2,400億円から、1,300億円まで縮んでいる。減少するチャートを見ても、国際投信のワールドリートの方が減少するペースが緩い。

その点を考えると、投資信託は基本的に純資産を削って分配金を出しているため、純資産が減少が緩い方が分配金が削られるまでの時間を稼げる。2~3年での乗り換えを考えず5年先を見越すなら、このワールドリートの方がオススメだ。ただし、さらに先を見越した長期保有を考えるなら、減少幅が最小のDIAMの方がオススメだ。現在保有中の人は、上昇に転じている今ではなく、上昇に一服感が出たところで解約・乗り換え判断をするのが賢明だろう。