DIAM世界リートインデックスファンド(毎月分配型)/ DIAMアセットマネジメント

DIAMアセットマネジメント・DIAM世界リートインデックスファンド(毎月分配型)
オススメ度:
4
運用会社:
DIAMアセットマネジメント
商品名:
DIAM世界リートインデックスファンド(毎月分配型)
地域/決算:
海外 / 毎月分配型
対象資産:
不動産投信
基準価額:
3,677円(2012年8月2日付け)
手数料:
2.5%(申込手数料 ※ゆうちょ銀行) 1.55%(信託報酬)

DIAM世界リートインデックスは投信の王道に近いパフォーマンス?

この投信は、他のワールドリートとは異なり、投資成果はS&P 先進国REITインデックスをベンチマークとした連動を目指している。名称からは、先進国全体のリート市場の景気に左右される印象を受ける。しかし、実際には米国リート市場の規模は他国を圧倒しているため、米国への投資比率は50%を超え、同国の影響を多いに受ける。この点は他のワールドリートと同様だ。

また、2012年現在の純資産額は約2,000億円で、ラリート・国際投信ワールドリートとの差は大きいが、ダイワと共に3番手の位置づけだ。現在の分配金は毎月35円だが、2011年2月までは毎月50円であった。他リートが2012年後半に欧州問題で分配金を減額している点を考えれば評価できる。

DIAM世界リートインデックスファンド(毎月分配型)の基準価額・純資産の推移チャート

まず基準価額は他社同様に2011年は苦しい場面があったが、現在は上昇に転じている。2010年時のピークを超えており、チャートを見る限りでは好調だ。

純資産の動きは他社と異なる。他社は2010年より右肩下がりで減少しているが、この投信は増加傾向にある。販売会社がゆうちょ銀行限定で、同行の販売強化もあり得るが、何にせよ分配金を考えれば増加は心強い。

DIAM世界リートインデックスファンド(毎月分配型)の国別・業種比率及び上位構成銘柄

国別の比率は、他社同様に米国・豪州の順に高比率だ。下位には欧州各国が並ぶが、これも合算すれば9%弱になり影響が無いとは言えない。業種では小売・オフィスが大半を占め、ショッピングモールやオフィス等の需給による影響が大きい。

上位のサイモン・HCPは他社と大差は無いが、5平米の個人向けから、大規模な工業用の倉庫スペースまでレンタルしている豪州のPubic Storage、ショッピングセンターだけでなくオフィス・展示施設まで拡充しているフランスのUnibail Rodamcoが上位なのは珍しい。特に後者の株価は過度な上下があるが、上値を伸ばしきれずにいる。米国以外の一部銘柄が、この投信に影を落とす可能性も大だ。

世界各国のリート指数(北米・オセアニア・欧州・アジア)

世界各国のリート指数だが、2011年末を基準にすると、復興需要のある日本、豊富な資源開発があり為替が早々に回復したオーストラリアが堅調にプラスに推移している。2009年のサブプライムを底に回復基調にある米国も悪くない。

ただし、数年スパンでは米国・カナダ・香港・ニュージーランドと、その他で明暗が分かれる。近1年で好調に見えた豪州・日本も07~08年の水準に遠く及ばず、ジリジリと上昇しているに過ぎない。まだまだ上昇の余地はあると見ていい。逆にフランスは2008年の水準まで来ており、近隣諸国の債務問題が深刻化すれば、この投信にも大きなマイナス影響が及ぶのは必至だ。

また、この投信での投資比率は低いが、香港は慢性的な地価・賃料の上昇で堅調だ。シンガポールも悪くない。一抹の不安はあれど、先進国は回復基調で新興国が牽引する良い形で今後が期待できる。

次に、他社のワールドリート型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。

計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 ラサール
グローバルREIT
国際投信
ワールドリート
オープン
ダイワ
グローバルREIT
DIAM
世界リート
インデックス
野村
グローバルREIT
プレミアム
基準価額 3,651円 4,153円 3,369円 3,677円 9,365円
増減率 -16.8% -16.8% -10.5% -6.7% -6.3%?
手数料 1.2% 0% 1.5% 2.5% 4.0%
信託報酬 1.50% 1.55% 1.48% 0.85% 0.88%
信託財産
留保額
0% 0% 0% 0.5% 0.5%
分配利回り 18.2% 17.2% 12.8% 10.6% 11.9%
3年分の
利益額
546,619円 516,948円 383,027円 317,171円 358,010円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,111,425円 1,093,082円 1,084,513円 1,099,368円 1,134,351円?
最終予想
利回り
3.58% 3.01% 2.74% 3.21% 4.29%?
ワールドリート型の投信の比較表(ラサールグローバルリート・国際投信ワールドリートオープン・ダイワグローバルリート・DIAM世界リートインデックス・野村グローバルREITプレミアム)

上図の通り「DIAM世界リート・インデックス」は分配金のみの利回りは、上位の投信の中ではワーストに低い。しかし、基準価額のマイナス幅が小さく、最終的にはラリートに次ぐ利回りになる。受け取れる分配金こそ少ないが、元金(運用資産)を減少させずに資産運用ができるということだ。

さらに細かく他社と比較すると、信託報酬が他社の半額近いのも大きなメリットだ。その一方で、手数料・信託財産留保額が高額なのが痛い。重ねてになるが、ゆうちょ銀行のみが販売会社となっており、手数料の値引き合戦が繰り広げられていないのが原因だろう。

最後に結論だが、基準価額の下落に一喜一憂したくない人、利回りの追求よりも資産の目減りを最小限にしながら分配金を受け取りたい人に向いている投信といえそうだ。ラリートの方が最終利回りは高く、受け取る分配金が多いのは確かだ。しかし、その差分は元金(ファンドの純資産)を余分に削って出しているだけで、この投信の方が純資産を削るのを抑えて、運用益で分配金を出す王道に近い形だ。一世代前には、投信の値上がりを待つのが定石であったが、現在の理想形の数字は、この投信が出している数字だろう。

ただし、あくまで数字上の話で、各国の経済情勢によっては状況が変化する点に注意したい。特に、投資比率が高い米国、合算すれば10%に近い欧州次第でパフォーマンスが下がる点を忘れずにおきたい。