ラサール・グローバルREITファンド 毎月分配型(ラリート) / 日興アセットマネジメント

日興アセットマネジメント・ラサール・グローバルREITファンド 毎月分配型(ラリート)
オススメ度:
5
運用会社:
日興アセットマネジメント
商品名:
ラサール・グローバルREITファンド 毎月分配型(ラリート)
地域/決算:
海外 / 毎月分配型
対象資産:
不動産投信
基準価額:
3,651円(2012年8月2日付け)
手数料:
1.2%(申込時の最安手数料 ※SMBC日興証券) 1.57%(信託報酬)

日興・ラサールグローバルREITファンドは利回り重視であればオススメ!

この投信は、世界各国のオフィス・商業施設・住宅等の不動産を運用し、その賃料収入・売却益を収益として分配金を出している。ダイワ グローバルREIT等とは異なり、日本も投資対象に含まれており、投資対象は内外不動産とも呼ばれる。

また、2012年現在の純資産額は5,000億円超だ。ワールドリート型の投信の中では、2番手と1,000億円以上の差をあけてトップだ。純資産額は投資家からの人気も表すため、最も人気のあるワールドリートといえる。現在の分配金は年12回で毎月60円だが、2011年9月までは毎月70円であった。欧州債務問題の影響だろう。

ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型) (ラリート)の基準価額の推移

まず基準価額だが、2008年から4,500円近辺で横バイを維持したが、さすがに欧州債務問題が深刻化した2011年後半に、一度は3,100円台まで落ち込んでいる。分配金こそ減額したが、よくぞ回復してきたともいえる。累積投資額は、分配金を減額したため、同時期より伸びが鈍化している。

純資産は2011年夏の8,000億円をピークに、減少の一途を辿っている。その間の経済情勢が良くないのもあるが、個人投資家からの人気には陰りが見えてきたのか。

ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)の業種比率・上位構成銘柄

上位の組入銘柄だが、国別ではアメリカが60%を超えて抜群に比率が高い。2011年時の55%よりも比率が高くなり、米国市場への依存度が高くなっている。業種では小売・オフィスの比率が高いのは他社リートと同様だ。ちなみに、分散型は複数の種類を混ぜ合わせたリートのようだ。

2011年より上位の銘柄に大きな変動は無い。10%を占める「サイモン・プロパティ」は米国最大の小売物件を中心とした不動産会社だ。米国に本社を置くが、管理するショッピングセンター・アウトレット等は、北米だけでなくアジア・ヨーロッパまで拡大している。2012年上半期の業績は前年比で利益が2倍近く伸び好調で、株価も1年で1.5倍まで膨らんでいる。この銘柄に不安は無さそうだ。

米国経済の各指標・リート指数の推移

比率が高い米国の見通しだが、GDPは堅調な成長だが、家計所得が弱く経済全体としては緩やかな回復基調といえる。ただし、2012年は大統領選挙もあり、選挙前は政権与党が経済対策を打ち出すことを考えれば、回復は一段加速するかもしれない。しかし年明けの2013年1月からは「財政の崖(フィスカルクリフ)」と呼ばれるブッシュ減税の期限切れ(増税)、歳出削減が起こる可能性があり油断はできない。

肝心のリート指数は、2012年7月には年初来高値をつけるなど好調だ。サブプライム問題の際の下げ幅が大きかったこともあるが、株式と比較しても回復度合いは著しい。製造業の景況感が下落しても、住宅市場指数が上昇しているのも心強い。不安はあれど投資環境としては決して悪くない。

次に、他社のワールドリート型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。

計算上での考え方は以下
「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後も2年後も3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 ラサール
グローバルREIT
国際投信
ワールドリート
オープン
ダイワ
グローバルREIT
DIAM
世界リート
インデックス
野村
グローバルREIT
プレミアム
基準価額 3,651円 4,153円 3,369円 3,677円 9,365円
増減率 -16.8% -16.8% -10.5% -6.7% -6.3%?
手数料 1.2% 0% 1.5% 2.5% 4.0%
信託報酬 1.50% 1.55% 1.48% 0.85% 0.88%
信託財産
留保額
0% 0% 0% 0.5% 0.5%
分配利回り 18.2% 17.2% 12.8% 10.6% 11.9%
3年分の
利益額
546,619円 516,948円 383,027円 317,171円 358,010円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,111,425円 1,093,082円 1,084,513円 1,099,368円 1,134,351円?
最終予想
利回り
3.58% 3.01% 2.74% 3.21% 4.29%?
ワールドリート型の投信の比較表(ラサールグローバルリート・国際投信ワールドリートオープン・ダイワグローバルリート・DIAM世界リートインデックス・野村グローバルREITプレミアム)

上図の通り「ラサールグローバルREIT」は、分配利回りはトップで、100万円運用であれば3年間で54万円分の分配金を受け取ることになる。ただし、1年前の基準価額は4,386円で、そのマイナス幅は-16.8%と、純資産額が上位の他の投信と比較するとワーストの大きさだ。このまま下落が続くようであれば、実質は年利で3.5%程度の利回りで、10万ほどしか資産は増えていない計算だ。あくまで予想値で、これからの景気次第では資産は予想より大きくなる可能性は十分にある。もちろん逆にマイナス利回りに落ち込む可能性もある。

他社と比較すると、分配利回りだけでなく最終予想の利回りでもトップで優秀な数字だ。基準価額のマイナス幅を補って余りある分配金といえる。また、累積投資の基準価額の騰落率はマイナス1%前後で、他社ではマイナス3~4%が多い中では、よく運用できている方だ。

結論としては利回りを重視するなら検討してもいい投信だろう。最終予想利回りの3.5%は決して高い数字とはいえないが、前述した通り昨年から基準価額は上昇している点も評価できる。波はあるが、2012年に一時は3,800円まで回復しており、景気次第では4,000円も夢ではない。そうなれば、利回りは10%近くまで上昇することになる。

しかし、この基準価額のマイナス幅は異常といえば異常で、かなり無理をして分配金を維持しているとも考えられる。多少の利回りの差は犠牲にできるなら 「DIAM世界リートインデックス」も同時に検討したい。基準価額のマイナス幅も小さめで、ある程度は安心して資産運用できるだろう。現在保有中の人は当面は様 子見を薦めたい。 上昇に一服感が出たタイミングで解約か否かの判断をするのが賢明だろう。