野村グローバルREITプレミアム(通貨セレクトコース)毎月分配型/ 野村アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 野村アセットマネジメント
- 商品名:
- 野村グローバルREITプレミアム(通貨セレクトコース)毎月分配型 ※Rプセ毎
- 地域/決算:
- 海外 / 毎月分配型
- 対象資産:
- 不動産投信
- 基準価額:
- 9,365円(2012年8月2日付け)
- 手数料:
- 4.0%(申込手数料 ※野村證券) 0.88%(信託報酬)
野村グローバルREITプレミアムは為替次第の未知の魅力があるが?
この投信は、世界の不動産投資信託証券に投資して、その配当・売却益(コールオプション)で分配金を出している。他社ワールドリートと大きく異なるのは、為替ヘッジを絡ませている点で、円コースとは別に通貨セレクトコースが設けられている。その場合、単一の通貨ではなく複数の通貨に分散投資されている。
また、2012年4月に設定され募集開始した投信なのだが、純資産額は約1,800億円に及び、ワールドリート型の投信ではトップ5に入る規模を誇る。野村の類稀な販売力が伺い知れる。分配金は2012年6月より開始され毎月100円を出している。まだ判断は難しいが、上々の滑り出しといえそうだ。
まず基準価額だが、設定開始から1ヶ月で大きく落とした。これは2月の金融緩和(俗に言う日銀のバレンタインデープレゼント)から、4月始めまでの世界的なリスクオフで相場が上昇した後の、ヨーロッパ問題で世界的に大きく下げた影響を早々に受けたと見える。運が悪かったと見るしかない。
純資産だが、他社が軒並み減少基調にある中、分配開始から間もないこともあり、横バイから微増になっている。ここから分配金を出し続けて純資産が減少し始めるようなら、先は暗いといえる。販売会社が野村に限定されているため、その販売力に期待するしかないか。。。
国別の比率は、他社同様に米国の比率が高いが、豪州の比率は抑え目で、代わりにユーロ・日本の比率が高めだ。業種は小売・オフィスが高く、倉庫・ヘルスケアなども比率が高く見えるが、合算しているために、そう見えるだけで実際には他社と大きな比率の差は無いと考えられる。
個別銘柄でも小売のサイモン・ウェストフィールドは他社と大差は無い。個人向けから工業用の倉庫スペースまでレンタルしているPubic Storage、2001年に不動産会社としては初めてS&P500に採用されたEquity Residentialもある。特段の相違点は無さそうだ。
冒頭でも述べた通り、この投信は通貨を分散投資している。近々の大まかな比率は、ブラジルのレアルが20%、トルコのリラが18%、インドのルピーが18%、ロシアのルーブルが22%、インドネシアのルピアが22%となっている。金利水準が高く、リスクオフの局面で上昇しやすい新興国通貨を選定している。ただし、逆に欧州問題の再燃や米国・中国の経済失速等が顕著になった場合などのリスクオンの局面では、この投信でも思わぬ損失が出る可能性が高く要注意だ。
現在は米ドルに対して新興国通貨は総じて弱く厳しい状況だ。堅調なのは豪ドルぐらいで、今まで高かったブラジル・レアルも2007年時に近い水準まで下落している。ただし、逆に現在は好機とも考えられ、これからの上昇の恩恵を存分に享受できるかもしれない。とりあえず期待は持てる。
次に、他社のワールドリート型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | ラサール グローバルREIT |
国際投信 ワールドリート オープン |
ダイワ グローバルREIT |
DIAM 世界リート インデックス |
野村 グローバルREIT プレミアム |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 3,651円 | 4,153円 | 3,369円 | 3,677円 | 9,365円 |
増減率 | -16.8% | -16.8% | -10.5% | -6.7% | -6.3%? |
手数料 | 1.2% | 0% | 1.5% | 2.5% | 4.0% |
信託報酬 | 1.50% | 1.55% | 1.48% | 0.85% | 0.88% |
信託財産 留保額 |
0% | 0% | 0% | 0.5% | 0.5% |
分配利回り | 18.2% | 17.2% | 12.8% | 10.6% | 11.9% |
3年分の 利益額 |
546,619円 | 516,948円 | 383,027円 | 317,171円 | 358,010円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,111,425円 | 1,093,082円 | 1,084,513円 | 1,099,368円 | 1,134,351円? |
最終予想 利回り |
3.58% | 3.01% | 2.74% | 3.21% | 4.29%? |
上図の通り「野村グローバルREITプレミアム」は設定から1年も経過していないため、現段階までのパフォーマンスから判断するしかない。現段階では基準価額のマイナス幅は6%程度と健闘してはいるが、分配利回りは他社に一歩劣る。それを加味すると最終予想利回りはトップなのだが、いかんせん数ヶ月の結果では、この数字の信頼性は低い。もう少し時が経つのを待つしかなさそうだ。また、手数料が高額な4%と高く足を引っ張りそうだ。。。
最後に結論だが、現段階では数字で判断するのは難しい。さりとて数字以外の銘柄等で他社よりも抜きん出ている点は見受けられない。基本的には待ちにするのが賢明だが、この投信は為替プレミアムを狙っている点から、前述した通りの追い風が吹く可能性は十分にある。想定以上のパフォーマンスが出ることに賭けて、購入してみるのは一興だ。ただし、自分の運用資産の中での配分(アセットアロケーション)は小さめにしておくことをオススメしたい。世界に分散されてはいるが、為替が絡んでいるため急激な下落の恐れがある。特にインド・ルピー、インドネシア・ルピアは下落が止まっていない。現在は好調な豪ドルも、竜巻などの天変地異のシーズンもあり安穏としていられない。。。