ダイワ・グローバルREIT・オープン(毎月分配型)<愛称:世界の街並み> / 大和証券投資信託委託
- オススメ度:
- 運用会社:
- 大和証券投資信託委託
- 商品名:
- ダイワ・グローバルREIT・オープン(毎月分配型)<愛称:世界の街並み>
- 地域/決算:
- 海外 / 年12回(毎月)
- 対象資産:
- 不動産投信
- 基準価額:
- 3,369円(2012年8月2日付け)
- 手数料:
- 1.5%(申込手数料 ※農林中央金庫) 1.48%(信託報酬)
ダイワ・グローバルREIT・オープンは利回り等の数字が中途半端?
この投信は、世界各国の不動産から賃料収入や売却益で分配金を出す投信(リート)だ。交付目論見書には世界に分散投資と謳っているが、実際には米国が50%を占める。ただし、他社のワールドリートは米国の比率が60%を超えているものもある。その点を考慮すれば分散している方だ。現在の分配金を毎月40円だが、過去の分配履歴を振り返ると2011年8月までは60円を出していた。欧州債務問題のピーク直前での減額だが、分配額の据え置くリートもある中では微妙なところだ。
まず基準価額だが、概ね他社と似た動きを見せている。1年前の基準価額は3,765円近辺で、10%程度のマイナスだ。他社比較するとラリート等の15%以上のマイナスよりも健闘しているといえる。ただし、同時期に分配額を減額しているため、それで持ち堪えたとも考えられる。
純資産は減少の一途を辿っており、他社のように反発する気配が見えない。減少が続けば純資産を削って分配金を出すため、さらなる分配金の減額もありうる。
国別の構成銘柄では、アメリカ・オーストラリアの順に比率が高い。とはいえ他社より若干だがアメリカの比率は低い。また、他社との大きな相違点としてイギリスの比率が高い点がある。
個別銘柄では、サイモン・ウェストフィールドと他社でも馴染みの企業名が並んでいる。特徴的なのはイギリス銘柄の「ランドセキュリティーズ」というイギリス最大のリートだ。現在はショッピングセンター・アウトレット等の大規模物件から、レストラン・カフェ・駐車場などの小規模なものまでカバーしている。ただ、株価は2008年から半値近い額で低迷しており厳しい状況だ。
今後の見通しだが、米国市場は「ラサール・グローバルREIT」等を参照して欲しい。
比率が高いイギリスだが、五輪景気があるものの、2012年上半期のGDPは前年比マイナスと厳しい。政府の緊縮財政に加え、欧州の景気後退による輸出減が大きく足を引っ張った。さらに小売売上高の低迷・貯蓄率が高い点が、イギリス国民がサイフの紐を締めていることが分かる。住宅価格も低迷しているが、五輪直前の7月には上昇している。ただし、これは一時的な特需だろう。2013年以降、政府の緊縮財政等の政策が功を奏さなければ、この投信にもマイナス影響は必至だ。
次に、他社のワールドリート型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | ラサール グローバルREIT |
国際投信 ワールドリート オープン |
ダイワ グローバルREIT |
DIAM 世界リート インデックス |
野村 グローバルREIT プレミアム |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 3,651円 | 4,153円 | 3,369円 | 3,677円 | 9,365円 |
増減率 | -16.8% | -16.8% | -10.5% | -6.7% | -6.3%? |
手数料 | 1.2% | 0% | 1.5% | 2.5% | 4.0% |
信託報酬 | 1.50% | 1.55% | 1.48% | 0.85% | 0.88% |
信託財産 留保額 |
0% | 0% | 0% | 0.5% | 0.5% |
分配利回り | 18.2% | 17.2% | 12.8% | 10.6% | 11.9% |
3年分の 利益額 |
546,619円 | 516,948円 | 383,027円 | 317,171円 | 358,010円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,111,425円 | 1,093,082円 | 1,084,513円 | 1,099,368円 | 1,134,351円? |
最終予想 利回り |
3.58% | 3.01% | 2.74% | 3.21% | 4.29%? |
上図の通り「ダイワ・グローバルREIT・オープン」は、分配利回り・最終予想利回りでもトップにはなれない数字で、いかにも中途半端な印象だ。基準価額のマイナス幅は、ラリート・国際投信のワールドリートほどではないが、DIAMほど削るのを抑えているわけではない。信託報酬・手数料も決して安価とはいえない。上図には無いが、累積投資額の1年の騰落率でもマイナス3%と、他社のマイナス1~2%より高めで、分配金を含めた運用資産の増加にも陰りが見えている。やはり数字面では中途半端といえる。
最後に結論だが、中途半端な数字のため強くオススメできそうにない。純資産の減少が止まらず、分配金が維持されるかにも不安がある。ただし、他社には無いイギリスへの投資があり、これからイギリス経済が好転するようであれば、他社リートを出し抜いて、この投信のパフォーマンスが大きく向上する可能性もある。そこに賭けて購入してみるのはおもしろいが、自分の運用資産の配分(アセットアロケーション)の中では大きくせず、ある程度の比率に抑えておくことをオススメしたい。