SOMPOひまわり生命 新・健康のお守り ハートを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- SOMPOひまわり生命
- 名称:
- 新・健康のお守り ハート
- 加入年齢:
- 20~80歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術等
- 特徴:
- 健康に不安がある方のための医療保険です
SOMPOひまわり生命の新・健康のお守り ハートは、2015年4月から販売を開始した引受基準緩和型の医療保険です。この保険に先駆けて2014年から販売を開始していた健康のお守りという医療保険があり、そちらの保障内容を維持しつつ告知項目を緩和しています。
販売開始から7年以上が経過しているため、最近販売を開始した他社の引受基準緩和型の医療保険と比べると見劣りする可能性があります。それが本当か否か以下で新・健康のお守り ハートの保障内容・保険料・返戻率等を解説し、他社の引受基準緩和型(限定告知型)の医療保険と比較していきます。
告知・保障内容
医療保険は通常は告知項目が7~8項目はありますが、この保険は3つの告知項目で済みます。「過去3ヶ月以内の入院手術の予定」「過去2年以内の入院・手術」「過去5年以内のがん・肝硬変等の診察・治療」の3つです。ただ、特約を付加しようとすると告知項目が追加されます。
告知項目が追加される特約は、三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)になると保険料の支払が免除される特定疾病診断保険料免除特約と、三大疾病で入院すると入院日数を無制限にする三大疾病支払日数無制限特則です。どちらも三大疾病の保障を手厚くする特約のため、告知項目には「2年内に心筋梗塞・脳梗塞等になったか?」が追加されます。
その他に通院すると通院日数に応じて給付金が受け取れる通院特約、先進医療時に給付金が受け取れる先進医療特約があります。これらの特約を付加する場合は告知項目は追加されません。特約なしでも基本保障として入院日数に応じて受け取れる入院給付金、手術・放射線治療で受け取れる手術・放射線治療給付金があります。
手術給付金は手術の回数に関係なく何回でも受け取れますが、造血幹細胞移植を目的とした骨髄幹細胞の採取術を受けた時の手術給付金は1回限りとなっています。この造血幹細胞移植は白血病等の血液がんの治療の一環として行われます。保険の契約者が患者の血縁者でドナーとなる場合もあるため、その関係で回数を1回に制限していると考えられます。
保険料・返戻率を他社と比較
この保険は30歳男性・入院日額5000円で契約すると保険料は月額3345円です。40際男性だと月額3905円、50歳男性だと4580円となります。仮に30歳で契約して10年後の40歳時にがんになり、手術して17日間の入院(厚労省 患者調査のがんの平均入院日数)をしたとします。
この場合に受け取れる給付金額は28.5万円ですが、10年間で支払った保険料総額は約40万円です。返戻率にすると71%で100%を下回り貯金よりも損をします。しかし、手術後に放射線治療(1回あたり10万円の給付金)を複数回受たり、入院日数が平均日数より長引く可能性もあります。また、数百万円の給付金が受け取れる先進医療を受ければ返戻率は数百%になります。
このように入院日数や手術の回数・再発等々で給付金の合計額は変化するため、返戻率は目安でしかありません。そのため他社の引受基準緩和型の医療保険と保険料を比較する必要があります。下図で他社の医療保険と保険料等で一覧表で比較しました。
この保険の保険料は他社と比較すると平均的な額か、少し高いのが分かります。30歳・40歳の保険料でいえば最安値圏の保険料は2000円台ですが、この保険は3000円台です。毎月1000円の差額は単月で考えると小額ですが、10年で12万円、20年で24万円と考えると看過はできません。保険料の高さ分に見合うメリットがあるのでしょうか。
メリット
この保険のメリットには、まずは告知内容が緩和され既往歴や持病がある人でも加入しやすい点が挙げられます。それも告知項目のうち、過去5年の病歴の項目で対象となるのはがん・肝硬変だけです。他社にはがん以外に脳卒中等も対象とする保険があり、その意味ではメリットといえます。
また、通院特約・三大疾病支払日数無制限特約・特定疾病診断保険料免除特約が付加できるのもメリットです。通院特約は珍しくない特約ですが、こと引受基準緩和型の医療保険では付加できないケースがあります。特約を付加するかはさておき用意されているだけでもメリットといえます。三大疾病支払日数無制限特約は三大疾病での長期入院への備えになります。
特定疾病診断保険料免除特約は三大疾病になると保険料の支払いが免除がされるため、返戻率の上昇に直結する特約です。過去に三大疾病になっていても2年が経過(がんは5年経過)すれば加入でき、再発した場合には大きな支えになるでしょう。
基本保障である入院給付金も日帰り入院が対象で、入院給付金も60歳以上なら最低額が3000円に設定できます。他社では5000円のケースもあるためメリットといえそうです。手術給付金も入院・外来を問わず受け取れます。
デメリット・注意点
この保険のデメリットは、他社と比べて告知項目が緩和し切れていない点が挙げられます。他社では過去5年以内~という告知項目を削除し、さらに過去2年内の告知を過去1年内に短縮している保険があります。この保険は特定の特約を付加すると告知が厳しくなるオマケ付きです。この保険の古さが告知項目には見て取れます。
通院特約は退院日の翌日以後の180日以内の通院が対象ですが、ネオファースト生命等はがんに限って退院日の5年内の通院を対象としています。また、特約が豊富に用意されているといっても他社にもある特約ばかりで、この保険ならではの特徴的な特約はありません。他社にはメットライフのように認知症までサポートする特約、アフラックのように女性疾病までカバーする特約などがあります。
最後に支払削減期間があるのもデメリットです。加入から1年間は入院等をしても受け取れる給付金額は半額になります。通院特約も同じく1年間の削減期間があります。他社も削減期間がある医療保険が多いのですが、アクサダイレクト生命・なないろ生命等は削減期間なしです。
評判・苦情
SOMPOひまわり生命の2020年度(2020年4月~2021年3月)の決算資料によると、全体での新契約件数は前年比で104.1%と増加しました。医療保障の保険の年換算保険料(新契約)でも前年比で112%と増加していました。この保険以外の医療保険が牽引している可能性もありますが、契約数等から考えると評判は良さそうです。
生命保険協会の苦情数のデータでは、SOMPOひまわり生命全体に寄せられた苦情数は7048件(2021年度第3四半期実績)で、総顧客数の310万件で割った苦情率は0.22%です。1000契約のうち2.2件で苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.2~0.3%台が多いため、苦情数は平均か少なめのため評判は普通か良い方と考えられます。
調査会社のJ.D.パワーの「2022年 生命保険契約満足度調査」では、SOMPOひまわり生命は22社中で7位で業界平均を上回ります。顧客満足度は決してトップクラスではないものの、満足度は高めと考えても良いでしょう。この調査は保険を新規購入・更新した約6000人を対象としており、数十人程度の口コミよりも信頼が置けます。
さらにオリコンの2022年の医療保険ランキング(8000人対象の調査)では、25社中で5位とJDパワーの調査よりも順位を上げています。この調査は、加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額とスピードの5つが評価項目です。少し気がかりなのはアフターフォローの項目だけ上位4社と評価に差がある点です。それどころか順位が下の保険会社よりも低いことがあり、その意味でアフターフォローに不安が残ります。
ちなみに30人のFP(ファイナンシャル・プランナー)を調査対象にしたオリコンの「引受基準緩和型医療保険ランキング2021」では10社中7位と評価は低めです。この調査では保険料・保障内容の独自性・商品内容の充実度が評価項目となっています。
以上のデータから考えると、SOMPOひまわり生命全体の評判は普通よりは良さそうです。この保険自体の評判は良い可能性もありますが、専門家からすると保険自体への評価は高くはありません。保障の独自性・充実度が他社に劣るのは既述のデメリットの箇所を読めば納得できるでしょう。
総合評価・おすすめか?
結論としては、新・健康のお守り ハートはイマイチな保険です。メリットもあるにはありますが、他社にも共通するか注釈が付くようなものばかりです。やはり販売から結構な年数が経過したのが大きく、他社と比較すると見劣りするのかもしれません。
そのため、この保険を検討している人は他の医療保険も検討すべきでしょう。保険料の安さならネオファースト生命・メディケア生命あたりが候補になります。充実した保障内容を求めるならメットライフ・アフラックあたりが候補になります。メットライフなら認知症までカバーできます。