かんたん告知 はなさく医療を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- はなさく生命
- 名称:
- かんたん告知はなさく医療
- 加入年齢:
- 20~80歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術等
- 特徴:
- 持病がある方や不安がある方でも加入しやすい
かんたん告知 はなさく医療は、はなさく生命が2020年1月から販売を開始した引受基準緩和型の医療保険です。比較的新しい保険ですが、はなさく生命自体が2018年設立のため歴史が浅いです。日本生命グループですが、評判の箇所で記述するように歴史が浅いせいか評判面で不安があります。
また、この保険から4ヶ月遅れた2020年5月には「かんたん告知 はなさく一時金」の販売を開始しました。この保険と同じく引受基準緩和型ですが、保障の対象となるのが三大疾病のみとなっています。それでは以下で「かんたん告知 はなさく医療」の保障内容・保険料・返戻率等を解説し、他社の引受基準緩和型(限定告知型)の医療保険と比較していきます。
告知・保障内容
医療保険は通常は告知項目が7~8項目はありますが、この保険は3つの告知項目で済みます。「最近3ヶ月以内に入院・手術を勧められたか?」「過去2年以内に入院・手術等をしたか?」「過去5年内にがん・肝疾患・腎疾患等で入院・手術等をしたか?」の3つです。
ただ、いくつかの特約を付加したい場合には告知項目が追加されます。特定疾病一時給付特約(がん)・抗がん剤ホルモン剤治療特約だと「過去2年内に医師の診察・健康診断等でがん・ポリープ等で異常指摘されたか?」が追加されます。特定疾病一時特約(三大疾病)・3大疾病保険料払込免除特約だと前述の告知に加えて「過去2年内に心疾患・脳血管疾患等で診察を受けたか?」と「過去2年内に心電図検査で要検査等を指摘されたか?」が追加されます。
この保険の保障ですが、基本保障には入院日数に応じて受け取れる入院給付金、手術をすると受け取れる手術給付金、放射線治療をすると受け取れる放射線治療給付金が含まれています。その他の保障は特約を付加することで付けられます。
数多くの特約がありますが、大半は他社でも付加できる特約です。入院時にまとまった給付金が受け取れる入院一時給付特約、通院時に給付金が受け取れる通院特約、先進医療をすると給付金が受け取れる先進医療特約、三大疾病になると給付金が受け取れる特定疾病一時給付特約、三大疾病になると保険料の支払いが免除される3大疾病保険料払込免除特約が該当します。
他社で付加できるケースが少ないのは抗がん剤ホルモン剤治療特約・女性疾病入院特約です。前者は抗がん剤治療に加えてホルモン療法や経口薬による治療を受けると給付金が受け取れます。女性疾病特約は女性特有の病気になると入院給付金が受け取れます。これらの特約はネオファースト生命やアフラック等でのみ付加できます。
保険料・返戻率を他社と比較
この保険を入院日額5000円・手術給付金5万円・先進医療特約のみで契約すると、保険料は30歳で月額2494円、40歳で月額2989円、50歳で月額3754円となります。40歳で契約して10年後の50歳時にがんになり手術して17日間の入院(厚労省 患者調査のがんの平均入院日数)をすると、この保険では合計13.5万円の給付金が受け取れます。
その一方で10年間で支払った保険料総額は35.8万円のため、返戻率は37%で貯金の100%を下回ります。しかし、複数回の入院・手術をしたり、入院日数が平均以上に長期化したり、退院後の放射線治療が数回受ければ返戻率は上昇し100%を超えることもあります。
このように給付金の合計額は変化するため返戻率は目安でしかありません。そのため他社の引受基準緩和型の医療保険と保険料を比較する必要があります。下図で他社の医療保険と保険料等で一覧表で比較しました。
この保険(総合医療特約)の保険料を他社と比較すると、他社の大半の保険より安く最安値圏の保険といえます。基礎の保険料が安いため特約を1~2つ付加しても保険料は3~4000円程度に収まりそうです。ちなみに、この保険に似ているネオファースト生命は健康割引が適用された後の保険料です。どちらも保険料面から考えて特約を付加しやすい保険ですが、この保険の方が健康割引が無い分だけ安いとも考えられます。
メリット
この保険のメリットには、まずは告知項目が緩和され加入しやすい点が挙げられます。特約を付加すると告知が追加されますが、がん関連の特約はネオファースト生命等だと過去5年内のがんでの入院・手術が問われます。この保険だと2年内で済むため、類似の保険と比較して告知は緩和されています。
さらに数多くの特約が用意されているのもメリットです。特約を付加すれば自分好みの保険にできます。昨今の入院短期化+通院長期化が気がかりなら、入院一時給付特約+通院特約で対応できます。がんの治療費が心配なら特定疾病一時給付特約(がん型)+抗がん剤ホルモン剤特約で対応できます。三大疾病が心配なら特定疾病一時給付特約(三大疾病保障型)+3大疾病保険料免除特約で対応できます。
特定疾病一時給付特約はがん・三大疾病の2つの型から選択できる他、初回2倍型と同額型が選択できます。初回2倍型を選択すれば、病気になって1回目の給付金だけ2倍になります。3大疾病保険料免除特約は超初期の上皮内がんを保障の対象にするか否か選択でき、保障外にすれば保険料は安くなります。このように、がん・三大疾病により手厚い保障にしつつ保険料を多少なりとも抑えるよう設定できます。
ほとんどの保障に支払削減期間が無いのもメリットでしょう。他社の多くの保険には保険に加入してから1年間の支払削減期間があり、1年間は病気等になっても給付金が半額になります。この保険なら加入して数ヵ月後に入院しても満額の給付金が受け取れます。
デメリット・注意点
この保険のデメリットは、まずは告知項目の緩和具合が引受基準緩和型の中では弱い点が挙げられます。この保険は特約を付加しなくても過去5年内の病歴が問われますが、他社では過去5年の項目を廃止している保険もあります。なないろ生命は現在入院中ではなく過去1年以内に入院・手術をしていなければ加入できます。
特約が多いため、どの特約が必要か見極めるのが難しい点もデメリットかもしれません。がんに絞った保障にしたが、脳卒中になる可能性もあります。三大疾病に絞っても腎不全や肝硬変といった他の7大疾病になる可能性もあります。どの病気になるか自分で選べない以上、予想を外して保険料が無駄になる可能性があります。
さらに細かい点ですが、女性疾病特約は入院給付金の上乗せだけである点に注意が必要です。他社では乳がん時の乳房再建術等に対応した女性特約があります。また、ほぼ全ての保障において削減期間はありませんが、先進医療特約だけ削減期間があり、加入から1年間は給付金が半額になります。
評判・苦情
はなさく生命の2020年度(2020年4月~2021年3月)の決算資料によると、全体での新契約件数は7.7万件で前年度の6.3万件から20%ほど増加しています。2~30%は減少している保険会社もあるため新契約は順調です。また、疾病入院の保険の保有契約高も前年度から2倍近い増加をしているため、契約数等から考えると評判は良さそうです。
一方で生命保険協会の苦情数のデータでは、はなさく生命全体に寄せられた苦情数は2424件(2021年度第3四半期実績)で、総顧客数の20.4万件で割った苦情率は1.19%です。1000契約のうち10.9件で苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.2~0.3%台が多いため、苦情数で考えると評判は悪いと考えられます。
どちらが正しいのか客観的なデータが欲しいところですが、調査会社のJ.D.パワーの「2022年 生命保険契約満足度調査」やオリコンの「2022年医療保険ランキング(8000人対象の調査)」では調査の対象外です。オリコンの「2022年生命保険ランキング」では調査対象ですが、調査対象数が少ないためか28位以下です。
唯一の指標となるのは、30人のFP(ファイナンシャル・プランナー)を調査対象にしたオリコンの「引受基準緩和型医療保険ランキング2021」です。この調査ではなさく医療は10社中5位と中間の順位にランクインしています。この調査では保険料・保障内容の独自性・商品内容の充実度が評価項目となっています。プロの目から見て保険料・商品の充実度が評価されたのでしょう。
以上のデータから考えると、はなさく医療の評判は良さそうですが、はなさく生命全体での評判は良くはない可能性があります。苦情率で他社の5倍近い数字であり、明らかに顧客数・契約数に対して苦情数が多すぎます。苦情の内訳では、他社では保全関係・保険金関係が多いか満遍ないところが、この保険では圧倒的に新契約関係で苦情が多めになっています。保険自体は良いかもしれませんが、加入時には手間・面倒があるか情報の錯誤に注意すべきです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、はなさく医療は悪くない保険です。総合的に考えると保険料・保障内容でバランスが取れており、特約によって自分だけの独自性が出せます。ただ、特約の取捨選択の手間に加えて、評判面で一抹の不安があるのも事実です。
そのため他社の保険も併せて検討してみるのも手です。この保険と類似しているネオファースト生命・メディケア生命あたりを比較して検討しても良いかもしれません。この保険にない保障が欲しい人は、認知症までカバーできるメットライフや、生活習慣病までカバーできるアフラックあたりが候補になります。