ネオファースト生命 ネオdeいりょうを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- ネオファースト生命
- 名称:
- ネオdeいりょう
- 加入年齢:
- 20~80歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術等
- 特徴:
- 持病がある方も健康維持で保険料が割り引き
ネオファースト生命のネオdeいりょう(健康プロモート)は、2016年3月から販売を開始した引受基準緩和型の医療保険です。2016年時点で健康状態によって保険料が割引される健康割引は業界初でしたが、2022年現在でも引受基準緩和型で健康割引があるのは同社だけです。
また、もともと数多くの特約がある保険でしたが、2020年3月の改訂で3つの特約が追加され2つの特約の保障が拡充されました。以下では改訂による変更点を確認しつつ、保障内容・保険料・返戻率等を解説し、他社の引受基準緩和型(限定告知型)の医療保険と比較していきます。
告知・保障内容
医療保険は通常は告知項目が7~8項目はありますが、この保険は3つの告知項目で済みます。「最近3ヶ月以内に入院・手術を勧められたか?」「過去2年以内に入院・手術等をしたか?」「過去5年内にがん・肝疾患・腎疾患等で入院・手術等をしたか?」の3つです。
ただ、いくつかの特約を付加したい場合には告知項目が追加されます。がん診断特約・抗がん剤治療特約といったがん関連の特約は「過去5年内に上皮内新生物を含むがんで入院・手術したか?」と「過去1年内に上皮内新生物を含むがん・子宮頚部異形成の疑いや指摘を受けたか?」が追加されます。
特定疾病一時給付特約・特定疾病払込免除特約といった三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)関連の特約は、前述の2つの告知に加えて「過去2年内に心筋梗塞または脳卒中の診察・治療等を受けたか?」が追加されます。その他の通院特約・女性疾病特約は付加しても告知項目は追加されません。
この保険の基本保障ですが、入院日数に応じて受け取れる入院給付金だけが必須となっています。前述の特約を含めて他の保障は自分で取捨選択する必要があります。他社の多くの医療保険では手術時に受け取れる手術給付金も必須ですが、この保険では手術給付金ですら外すことが可能です。
数多くの特約がありますが、死亡保障特則・通院特約・先進医療特約は多くの他社の保険にもあります。1回の入院で数日分の給付金が受け取れる入院一時給付特約、がんになると給付金が受け取れるがん診断特約、三大疾病になると給付金が受け取れる特定疾病一時給付金、三大疾病になると保険料が免除される特定疾病、女性疾病になると給付金が受け取れる女性疾病特約は、通院特約ほどではないものの複数の他社の保険でも付加できます。
他社で付加できるケースが少ないのは抗がん剤治療特約・女性疾病特約です。抗がん剤治療特約は抗がん剤治療に加えてホルモン療法や経口薬によるがん治療を受けると給付金が受け取れます。女性疾病特約は女性特有の病気になると入院給付金が受け取れます。前者はFWD生命等、後者はアフラック等でも付加できます。
治療保障特約は他社にないオリジナルな特約で、治療費の実費が給付金として受け取れます。仮に治療費で数十万円を病院から請求されれば、その金額と同額が給付金として受け取れる仕組みです。ただ、この実費を補償するという形式はAIG損保の引受基準緩和型の医療保険でも採用されています。
保険料・返戻率を他社と比較
この保険を入院日額5000円・手術給付金5万円・先進医療特約のみで契約すると、保険料は30歳で月額3497円、40歳で月額3950円、50歳で月額4680円となります。ただ、健康割引が適用されれば保険料は30歳で月額2365円、40歳で月額2777円、50歳で月額3495円まで低下します。
健康割引が適用されるには、契約してから5年間は入院日数が5日未満である必要があります。つまり5年間は入院しないか、入院しても4日で退院すればOKです。4日以内の入院なら複数回の入院しても良いため、条件としては厳しくはありません。
返戻率は30歳で契約して健康割引が適用され、10年後の40歳時にがんになったケースで考えてみます。手術して17日間の入院(厚労省 患者調査のがんの平均入院日数)をすると、この保険では合計13.5万円の給付金が受け取れます。10年間で支払った保険料総額は約35万円(20.9万円+14.1万円)のため、返戻率は45%で貯金の100%を下回ります。しかし、複数回の入院・手術をしたり、入院日数・放射線治療が長期化すると返戻率は上昇します。
入院日数や手術の回数・再発等々で給付金の合計額は変化するため、返戻率は目安でしかありません。そのため他社の引受基準緩和型の医療保険と保険料を比較する必要があります。下図で他社の医療保険と保険料等で一覧表で比較しました。
この保険(総合医療特約)の保険料を他社と比較すると、健康割引適用後の保険料は安く最安値圏の保険といえます。ベースの保険料が安いため、数多くある特約から1~2つを付加しても保険料は3~4000円程度に収まるでしょう。とはいえ契約から5年間は、想定より1~2000円は上乗せされた保険料を支払う必要があります。
メリット
この保険のメリットには、まずは健康割引が挙げられます。健康割引により20~30%ほど保険料が安くなること自体もメリットですが、それを目的とした健康維持も大きいでしょう。そもそも持病・既往症のある人は健康に気遣っているでしょうが、そこに5年間の健康維持というゴールの見える目標ができます。ゴールに向かってなら、健康維持のモチベーションも上がるでしょう。
さらに数多くの特約が用意されているのもメリットです。どの特約を付加するかによって、自分の不安に対応した保険にできます。最も不安なのが女性疾病なら女性特約、最も不安なのが三大疾病なら特定疾病給付特約と特定疾病払込免除特約を付加すれば良いでしょう。
さらに、がんだけに絞った保険にすることも可能です。基本保障の入院給付金で入院をカバーしつつ、がん診断特約と抗がん剤特約で入院による収入減少と手術後の治療をカバーできます。抗がん剤治療特約に加えて通院特約も付加すれば、通院で抗がん剤・ホルモン療法を受けた場合以外の経過観察等でも給付金が受け取れます。
がん以外の病気での長期入院が心配な人(脳卒中後にリハビリなど)なら、実費を補償する治療保障特約を付加する手があります。この特約のⅢ型を選択すれば、病院の窓口で請求される治療費の3割の自己負担額が保障されます。保険料を抑えたいなら、2割だけ保障されるⅡ型や1割だけ保障されるⅠ型を選ぶのも良いでしょう。
最後に支払削減期間が無いのもメリットです。多くの保険には保険に加入してから1年間の支払削減期間があり、1年間は病気等になっても給付金が半額になります。さらに終身保険特約で受け取る死亡保険金も半額になります。この保険なら加入して数ヵ月後に入院しても満額の給付金が受け取れます。
デメリット・注意点
この保険のデメリットは、まずは告知項目が挙げられます。告知が緩和されている意味ではメリットですが、他社の引受基準緩和型と比べると告知は厳しめです。この保険は特約を付加すると最多で6つの告知が必要になります。なないろ生命等のように告知項目を最大限まで緩和している保険では、現在入院中ではなく過去1年以内に入院・手術をしていなければ加入できます。
さらに健康割引もデメリットになる可能性があります。健康割引が5年後に適用されなかった場合、予定よりも高い保険料を支払い続けることになります。前述した保険料の比較では健康割引前の保険料だと、他社と比べて中間か少し高い金額でした。
また、多くの特約がありますが、どの特約が本当に必要か見極めるのが難しい点もデメリットかもしれません。がんに絞った保障にしても、実際には脳卒中になる可能性もあります。三大疾病に絞っても腎不全や肝硬変といった他の7大疾病には対応できません。どの病気になるか自分で選べない以上、予想を外して保険料が無駄になる可能性があります。
さらに細かい点ですが、女性疾病特約は入院給付金の上乗せだけである点に注意が必要です。他社では乳がん時の乳房再建術等に対応した女性特約があります。治療保障特約も保険期間が10年のため、10年後に更新すると年齢に応じて特約分だけ保険料が上がる点に注意が必要です。
評判・苦情
ネオファースト生命の2020年度(2020年4月~2021年3月)の決算資料によると、全体では新契約件数は15万件で前年度の14.7万件から12%の減少をしています。2~30%は減少している保険会社もあるため健闘している部類に入ります。また、新契約の年換算保険料で医療保障等の保険は前年度比で101%と横ばいです。そのため契約数等から考えると評判は悪くないでしょう。
生命保険協会の苦情数のデータでも、ネオファースト生命全体に寄せられた苦情数は1326件(2021年度第3四半期実績)で、総顧客数の59.2万件で割った苦情率は0.22%です。1000契約のうち2.2件で苦情が発生している計算です。他社の苦情率も0.2~0.3%台が多いため、苦情数で考えても評判は普通か悪くないと考えられます。
調査会社のJ.D.パワーの「2022年 生命保険契約満足度調査」でも、ネオファースト生命は22社中で10位で顧客からの満足度は平均に近いです。この調査は保険を新規購入・更新した約6000人を対象としており、数十人程度の口コミよりも信頼が置けます。
ただ、もう1つのオリコンの2022年医療保険ランキング(8000人対象の調査)では、25社中で20位とJDパワーの調査と異なり下位に入っています。この調査は、加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額とスピードの5つが評価項目です。商品内容・保険料への評価は高めですが、アフターフォロー・受取額と受取スピードへの評価は低めです。
また、30人のFP(ファイナンシャル・プランナー)を調査対象にしたオリコンの「引受基準緩和型医療保険ランキング2021」ではネオdeいりょうは10社中4位と悪くない順位です。この調査では保険料・保障内容の独自性・商品内容の充実度が評価項目となっています。プロの目から見れば保険料・商品の充実度が評価されたのでしょう。
以上のデータから考えると、ネオdeいりょうの評判は良さそうですが、ネオファースト生命全体では評判は普通と考えられます。オリコンの調査が気がかりですが、医療保険ではなく生命保険ランキングなら10位のため特別良くはなくとも平均的な部類には入るでしょう。ただ、医療保険ランキングでアフターフォローや受取スピードが低評価な点を完全に見過ごすことはできません。これらは加入後に注意が必要な点といえます。
総合評価・おすすめか?
結論としては、ネオdeいりょうはオススメできる保険です。総合的に考えると保険料・保障内容でバランスが取れており、特約によって自分だけの独自性が出せます。シンプルな保険が欲しい人から何らかの病気にフォーカスした保険が欲しい人まで満足できるでしょう。
他社の保険も気になる人は、この保険と類似しているメディケア生命あたりを比較して検討しても良いかもしれません。この保険にない保障が欲しい人は、認知症までカバーできるメットライフや、生活習慣病までカバーできるアフラックあたりが候補になります。