SOMPOひまわり生命 認知症保険/ 保障・保険料・返戻率・評判を比較して評価

SOMPOひまわり生命 笑顔をまもる認知症保険
おすすめ度:
1
保険会社:
SOMPOひまわり生命
名称:
笑顔をまもる認知症保険
契約年齢:
20~70歳
保障:
軽度認知症・認知症・骨折
保険料:
月4,140円 ※60歳契約
返戻率:
100.6% ※60歳契約

SOMPOひまわり生命 認知症保険は軽度認知障害の保障が魅力だが!?

SOMPOひまわり生命は2018年10月から認知症保険を販売を開始している。同社の認知症保険は認知症の手前の軽度認知障害の段階でも保険金が受け取れるのが最大の特徴だ。以下で、SOMPOひまわり生命の認知症保険の保障とメリット・デメリットを公式HP等を元に解説し、他社の認知症保険と保険料・評判等でも比較する。

まず保険の大枠についてだが、この保険は骨折治療給付金と災害死亡給付金が主契約となる。前者は骨折すると1回につき5~10万円の給付金が受け取れ、後者は災害で死亡すると骨折治療給付金の10倍の額の保険金が受け取れる。この主契約に認知症一時金特約を付帯させるため、認知症一時金を受け取っても契約は継続できる。第一生命太陽生命の認知症保険は認知症保険金を受け取ると契約は消滅するが、SOMPOひまわりなら認知症の発症後も骨折と災害死亡の保障は残ることになる。保険料を支払い続けることにはなるが、保険料免除特約(三大疾病だが)も組み合わせれば意外と認知症後も役に立つ可能性がある。

SOMPOひまわり生命 認知症保険の仕組み・保険料・保険金支払事由・特約など(出典:SOMPOひまわり生命の公式ホームページより抜粋)

肝心の認知症一時金についてだが、軽度認知障害(MCI)だと軽度認知障害一時金、認知症と診断確定されれば認知症一時金が受け取れる。軽度認知障害一時金の金額は認知症一時金の金額の5%となるため、軽度認知障害一時金を受け取った後の認知症一時金の金額は残りの95%分となる。つまり先行して一時金の5%分を受け取るだけのため、その後に認知症になれば受取額は同額ということだ。5%というと少額に感じるかもしれないが、保険金額を500万円にすれば25万円になるため当面の治療費には十分な額となるだろう。

良いこと尽くしの保険に見えるが、この保険には落とし穴がある。その落とし穴とは「軽度認知障害(MCI)になったが、認知症にならなかった」という可能性だ。そうなると軽度認知障害一時金だけ受け取ることになり、あとの保障は無駄(災害で死亡すれば別だが)となる。一般的にMCIと診断されて治療せずに放置すると、数年後には認知症が発症するとされている。その一方で治療したり適度な運動や食事療法により発症が遅れるともされている。さらに日本神経学会の「認知症疾患診療ガイドライン」によると、MCIから認知症になる人は年間で5~15%なのに対して、MCIから正常に戻る人は年間で16~41%もいる。そのため必ずしも軽度認知障害一時金を受け取れば、認知症一時金が受け取れるとは限らないといえる。もちろん、他社のMCIを保障外とする保険だと認知症にならなければ保険金は0円となるため、それよりはマシともいえるが。。。

ちなみに、この保険には保険料免除特約の他に、介護一時金・介護年金の特約も付帯できる。どちらも要介護状態になれば一時金か年金が受け取れる特約だ。ただ、要介護度は大きく異なり、介護一時金特約は要介護1で一時金が受け取れるのに対して、介護年金特約は要介護3までいかないと年金が受け取れない。要介護3は相当にハードルが高いため、介護一時金だけを検討した方が良いだろう。

次に下図で各社の認知症保険を、契約年齢・加入条件(認知症に発症後も加入が可能か?)・保険期間・保険金額・保険金の支払事由・保障・特典・特記事項で比較した。保険料は50~70歳で終身払いで契約した場合で比較し、返戻率は80歳で認知症が発症したと想定して計算した。80歳での発症は国立長寿医療研究センターの年齢層別の認知症有病率で、80歳前半になると有病率が20%近くに到達することを根拠としている。また、保険の評判が良いか悪いかは生命保険協会のデータで苦情率(苦情数÷契約数)を算出して比較し、販売件数も参考にしながら判断した。

名称 第一生命
認知症
アフラック
介護EVER
朝日生命
あんしん介護
認知症
太陽生命
認知症予防
SOMPO
ひまわり
認知症
プラス少短
認知症
ささえ
りぼん少短
認知症
東京海上
あんしん
契約年齢 40~85歳 50~85歳 40~75歳 20~85歳 20~70歳 40~90歳 制限なし 40歳~
加入条件 発症前 発症前 発症前 発症前 発症前 発症前 発症後も可 発症後に可
保険期間 終身・定期 終身 終身・定期 10年・終身 終身 1年更新 1年更新 終身1年更新
保険金額 200~1000万 30~500万 30~1000万 10~100万 10~500万 20~80万 500~1000万 15万~1億
保険金
支払事由
認知症診断
かつ
要介護1以上
認知症で介護
または
要介護2以上
認知症診断
かつ
要介護1以上
認知症診断
または
認知症継続
軽度認知症
または
認知症診断
認知症診断 損害賠償
損害防止
緊急措置
損害賠償
行方不明
ケガ
保障 認知症のみ 認知症・介護
入院・手術
認知症・死亡 予防・認知症
死亡
認知症・骨折 認知症 損害賠償 損害賠償
傷害
特典 代わりに訪問
診断書代行
電話相談 診断書代行
緊急通報
血液検査
歩行
業者紹介
認知チェック
情報提供 なし ステッカー
捜索
特記事項 削減2年 単体不可 死亡給付 削減1年 180日待機 保険料上昇 補償の重複 補償の重複
苦情率 0.04% 0.08% 0.04% 0.01% 0.03% - - -
保険料
返戻率
50歳
\2,606
255.8%
\3,805
146.0%
\3,405
407.9%
\5,361
75.1%
\3,050
91.1%
- \1,650
~841.8%
\1,300
~21,367%
保険料
返戻率
60歳
\3,238
257.4%
\6,016
138.5%
\2,340
356.1%
\5,720
94.7%
\4,140
100.6%
\650~
323.4%
\1,650
~1262.6%
\1,300
~32,051%
保険料
返戻率
70歳
\5,158
323.1%
\10,704
155.7%
\4,488
371.4%
\7,588
126.3%
\6,650
125.3%
\1,041~
472.3%
\1,650
~2525.3%
\1,300
~64,102%
認知症保険の契約年齢・加入条件・保険期間・保険金額・保険金支払事由・保障・特典・特記事項・苦情率・返戻率・保険料の比較表(第一生命・アフラック・朝日生命・太陽生命・SOMPOひまわり生命・プラス少短・りぼん少額短期・東京海上日動の各社の公式ホームページの数値を元に当社が独自作成)

上図で右から4番目のSOMPOひまわり生命の認知症保険だが、契約年齢は20歳という若い頃から契約できる一方で、上限は70歳までと他社よりも厳しめだ。保険金額・保険金の支払事由・保障等は既述の通りだが、やはり軽度認知障害から保障される点は異彩を放っている。特典は認知症に関する各種サービス・パートナー企業の紹介に留まり、診断書取得の代行や訪問サービスなどは無い点で他社には劣る。

苦情率は他社と比べて平均か少し低めのため、各種手続き等の応対の評判は普通だろう。ただ、販売件数が何万件突破というニュースリリースが無いあたり、この保険の販売件数は伸びていないと予想される。保険そのものの評判は芳しくないといえる。保険料は保険金100万円の場合で他社が200万円のため、見かけより保険料は高い。返戻率でも60歳契約で80歳で認知症と診断されたとすると、
1,000,000÷(4,140×12×20) =1.006×100=100.6%
と計算できる。この数字は他社と比較して低めで、ほぼ返戻率が100%のため貯金と大差ないことになる。認知症ではなく軽度認知障害で留まるなら他社よりも返戻率は高くなるが、それだけで本来の目的である認知症が発症した時の他社との返戻率の差がある理由にはならない。

以上のことから総合評価としては、イマイチな保険といえるだろう。軽度認知症まで保障するという点は評価できるが、細かく見ていけば粗も目立つ。今後、保障内容が改訂されて軽度認知症への保障が手厚くなってくるようなら、改めて検討するのが良いのではないだろうか。