楽天生命 認知症保険を比較・評価

- オススメ度:
- 保険会社:
- 楽天生命
- 名称:
- 認知症保険
- 加入年齢:
- 50~75歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 認知症で保険金
- 特徴:
- 予防も、介護・入院も
楽天生命は認知症保険を2021年8月から募集・販売を開始しました。楽天生命と同時期に販売を開始した保険の多くが認知症と診断確定され保険金を受け取ると保障が終了するという中で、この保険は診断確定後の介護・入院まで保障する保険として登場しました。
また、楽天はネット申込のイメージが強いのですが、この保険はネット申込の他に楽天生命の代理店で対面でも契約できます。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の認知症保険と比較していきます。
保障内容
まず、この保険にはお手頃プラン・基本プラン・安心プランの3つのプランがあります。お手頃プランは認知症診断給付金に無事故給付特約で構成されています。認知症診断給付金は医師から認知症と診断されると受け取れ、金額は100~3000万円の範囲内で設定できます。無事故給付特約を付けると、無事故給付金が契約から3年毎に認知症になっていなければ受け取れます。無事故給付特約を外すことも可能です。

基本プランにすると介護の備えになる介護給付特約が付いてきます。この特約があると認知症と診断確定され、かつ公的介護保険の要介護1以上に認定されると要介護給付金が受け取れます。金額は100~2900万円の範囲内で設定でき、認知症診断給付金と合計して3000万円まで設定できます。
安心プランにすると精神疾患の備えになる精神疾患併発入院特約が付いています。この特約があると認知症と診断確定された後に、所定の精神疾患で入院すると精神疾患併発入院給付金が受け取れます。給付金は入院日数に応じて受け取れ、金額は1日あたり5000円~2万円の範囲内で設定できます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・保険金額・保険期間・プラン選択等で変動します。性別では基本的に男性より女性の方が保険料は高く、契約時の年齢が高いほど保険料は高くなります。保険金額が高いほど保険料は高くなり、特に認知症保険金を上げるほど保険料も高くなります。

プランでは充実プランの保険料が最も高く、次いで介護プラン、シンプルプランの順になります。充実プランと最も安いシンプルプランの保険料の差は1.5倍ほどですが、60歳以上だと2倍程度の差があります。その一方で充実プランと介護プランの保険料の差は、保険金が100万円程度なら年齢に関わらず数百円程度です。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の認知症保険と一覧表で比較しました。各社によって公にされている情報が異なるため、80歳で認知症になった場合の返戻率で比較しました。また、年金形式ではなく一時金で受け取るパターンで比較しました。

この保険(お手頃プラン・無事故給付金なし)の返戻率は、50歳で210%という平均値に近いものの、他社と比較して低めなため保険料は少し高めといえます。他社には楽天生命より返戻率が100%以上高い保険があり、トップである朝日生命とは200%近い差があり、住友生命とも返戻率で150%ほどの差があります。続いて保険料以外にメリットがあるのか、メリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは認知症診断給付金を3000万円まで設定できる点が挙げられます。他社の保険では保険金額300~500万円までとする保険が多い中で、この保険の3000万円という破格の金額です。さすがに3000万円に設定すると50歳男性で保険料は月額41400円のため安くありませんが、認知症になった後の金銭的な負担と不安は相当に軽減できます。
保障面では介護給付特約・精神疾患併発入院特約があるのがメリットです。他社の保険は保障が認知症に限られているのに対して、この保険は介護と精神疾患の保障があります。介護給付金は認知症後に要介護1認定されると受け取れ、認知症給付金と合算して3000万円まで設定できます。認知症給付金を1500万円、介護給付金を1500万円に設定すれば任地翔と介護の経済的な不安は相当に薄まります。
精神疾患併発入院特約は、認知症後に精神疾患で入院すると入院日数に応じて給付金が受け取れます。金額は入院1日あたり5000円~2万円まで設定でき、入院日数が無制限で保障されるため長期入院でも安心です。これらの特約は認知症になった後は特約分の保険料が免除されるのもポイントです。

無事故給付金も人によってはメリットでしょう。3年毎に認知症と診断確定されずに生存していれば、5万円か10万円が給付金として受け取れます。あくまで認知症になっていなければ受け取れるため、要介護1認定になっても認知症になっていなければ無事故給付金は受け取れます。
ちなみに楽天生命の保険は保険料を支払うと楽天ポイント付きます。保険の申込時に楽天IDと連携すると保険料の1%分にポイントが付き、保険料の支払いを楽天カードにすれば1%のポイントが付いて合計2%のポイントが付きます。

デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは返戻率が低い点が挙げられます。前述したように他社には返戻率が300~400%台の保険がある中で、この保険の返戻率は200%台です。楽天ポイントが付きますが、それを加味しても返戻率では他社を逆転できません。
さらに契約1年間は免責期間のため、認知症・介護状態・精神疾患になっても各給付金は受け取れません。給付金の代わりに支払った保険料が返金されるため、返戻率は200%ではなく100%に近くなります。また、認知症にならずに病死等で死亡すると、この保険の返戻率はゼロに近づきます。他社にある死亡給付金がないからです。

保障面では軽度認知障害の保障が無いのもデメリットでしょう。他社の多くの保険では認知症の前段階である軽度認知障害になると給付金が受け取れます。認知症にならずに軽度認知障害から回復するケース等も考えると、受け取れる保険金がゼロになる可能性を考慮すると、軽度認知障害の保障が無いのはデメリットです。
その代わりに介護・精神疾患の保障があるともいえますが、これらの保障はあくまで認知症になってからです。認知症にならずに介護状態・精神疾患で入院しても給付金は受け取れません。精神疾患についても入院が前提で、通院治療等では給付金が受け取れない点に注意が必要です。
ちなみに楽天生命の認知症保険を契約すると各種サービスが利用できますが、認知症に関する電話相談だけで認知機能のチェックアプリ等がありません。アプリの他に第一生命・朝日生命には、高齢者に異常があると駆けつけてくれる「ALSOKの代わりに訪問サービス」があります。太陽生命には健康維持・認知症予防のための「健康ウォーキングツアー」があります。
評判・苦情
楽天生命の2024年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は23.3万件で前年度の32.2万件から約28%の減少と不調でした。認知症保険も保険市場の人気ランキング(資料請求数)でランキング外となっているため、申込数・契約数等からすると評判は良くありません。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、楽天生命全体に寄せられた苦情数は883件(2024年度上半期実績)でした。総顧客数の742万件で割った苦情率は0.1%で、契約者1000人のうち1件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。
それに対して、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(ダイレクト部門)」では、楽天生命は8社中8位で最下位でした。7位のポイント数で結構な差があり顧客満足度は相当に低いと考えられます。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目です。

「オリコン顧客満足度 生命保険ランキング2025」でも、楽天生命は27社中27位以下でした。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、項目別のランキングでも全て10位以下でした。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「楽天から不要なメールが多くなった」「保険料の引き落とし日などが分かりにくい」「楽天ポイントが反映されるまで時間がかかる」「勝手に保険を更新されている気がする」等の意見がありました。さすがに下位だけあって満遍なく不満がありました。
同じオリコンの「2025年 FPが選んだ オリコン認知症保険ランキング」でも、楽天生命の認知症保険は6位でした。6位というと悪くない順位に見えますが、6社中の6位のため実質最下位です。評価項目である保険料・保障の独自性・商品内容では、保障の独自性・商品内容では順位を5位に上げていますが、保険自体への専門家の評価は高いとはいえません。

以上のデータから考えると楽天生命の評判は悪そうで、認知症保険の評判も良くはないでしょう。楽天生命の評判についてはJDパワーでもオリコンでも調査結果が芳しくなく、評判が良いといえる材料がありません。この保険自体の評判についても、資料請求数・専門家からの評価から考えて悪そうです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、楽天生命の認知症保険は微妙な保険です。認知症後の介護・精神疾患を保障する数少ない保険という意味では良い保険なのですが、いかんせん保険料とデメリットに難があります。評判面でも良い面がないため、せっかくの保険が保障以外の要素で台無しになっている感があります。デメリット・注意点に納得できれば加入を検討すべき保険といえそうです。
他社の保険も検討したい人は、総合的な良さでいえば朝日生命・ネオファースト生命あたりの認知症保険を検討すべきでしょう。介護状態・医療保障等も併せて検討したいならフコク生命・アクサ生命あたりの認知症保険も候補になります。