リボン少短 リボン認知症保険/ 保障・保険料・返戻率・評判を比較して評価

リボン少額短期保険 リボン認知症保険
おすすめ度:
2
保険会社:
リボン少額短期保険
名称:
リボン認知症保険
契約年齢:
制限なし
保障:
損害賠償・緊急措置
保険料:
月1650円 ※60歳契約
返戻率:
~1262.6% ※60歳契約

リボン少額短期保険は軽度認知障害でも認知症でも加入できる貴重な保険!

リボン少額短期保険は2017年に事業を開始した新しい会社で、現在は主にリボン認知症保険を販売している。少額短期保険(ミニ保険)らしく、大手の保険会社がカバーしにくい認知症の人が起こす事故を補償するというのが最大の特徴だ。以下でリボン認知症保険の補償とメリット・デメリットを公式HP等を元に解説し、他社の認知症保険と保険料・評判等でも比較する。

まず、認知症保険には治療費・施設入所の費用のための生命保険型と、認知症の人が起こす事故・トラブルを補償する損害保険型がある。前者には第一生命太陽生命朝日生命等の認知症保険が該当し、後者にはリボン認知症保険・東京海上あんしんプランが該当する。一般的に家族が他人をケガさせたり他人の物を壊した場合、個人賠償責任保険(特約)があれば賠償額を保険金で受け取れる。個人賠償責任は自動車保険や火災保険にも特約で数百円から加入できるため、個人賠償責任で十分だと思われることがある。ただ、事はそう簡単ではないのだ。

リボン少額短期保険 リボン認知症保険の仕組み・保険料・保険金支払事由など(出典:リボン少額短期保険の公式ホームページより抜粋)

個人賠償責任は基本的に他人をケガさせるか、他人の物を破壊する必要がある。例えば、線路に侵入して電車を遅延させ振替輸送をさせたり、バスに乗って運転士と口論になり運行をストップさせても、ケガや破壊は無いため個人賠償責任の補償外となる。鉄道会社のような大企業がまさかと思うかもしれないが、2007年に認知症患者(91歳)が線路に侵入して死亡した事故で鉄道会社が親族に損害賠償を求める訴訟を起こしている。この訴訟は一審・二審が損害賠償の支払いを命じたが、2016年に最高裁で棄却され損害賠償は免れた。親族の妻(85歳)という点も勘案された可能性もあり、今後の事案次第では損害賠償が命じられることは考えられる。

さらに個人賠償責任は古いものだと、補償対象を同居する家族か生計を一にする家族に限定し、遠方に住む両親は対象外にすることがある。認知症患者による賠償責任を「心神喪失に起因する賠償責任」として保険金が支払われないこともある。特に火災保険は契約期間が10年~30年ということもあり、満期になるまで特約は変更できない。古い火災保険に加入していれば、満期まで待つか火災保険から見直す必要がある。最新の自動車保険に付帯させるにしても、約款を読み込んだり更新時に変更がないかを確認せねばならない。そのため家族が認知症の人には、個人賠償責任補償を補完する意味でリボン認知症の必要性がある。

リボン認知症保険の補償には個人賠償責任の他に、争訟費用・緊急措置費用・損害防止費用の補償がある。争訟費用は弁護士費用等が該当するが、前述の例でいえば裁判は10年近くに及んでおり、前例が少なく長期化する可能性がある裁判の助けになるだろう。緊急措置費用は認知症の人がトラブルを起こした後の移送費用などが該当する。例えば、夜間に徘徊した後に病院への入院を拒み家族が移送できない場合、民間救急サービスや搬送会社(ケアサポート・トップ等)に説得と移送を依頼することがある。そういった場合の移送費用などを保険金として受け取れる他社には無い稀有な補償だ。

次に下図で各社の認知症保険を、契約年齢・加入条件(認知症に発症後も加入が可能か?)・保険期間・保険金額・保険金の支払事由・保障・特典・特記事項で比較した。保険料は50~70歳で終身払いで契約した場合で比較し、返戻率は80歳で認知症が発症したと想定して計算した。80歳での発症は国立長寿医療研究センターの年齢層別の認知症有病率で、80歳前半になると有病率が20%近くに到達することを根拠としている。また、保険の評判が良いか悪いかは生命保険協会のデータで苦情率(苦情数÷契約数)を算出して比較し、販売件数も参考にしながら判断した。

名称 第一生命
認知症
アフラック
介護EVER
朝日生命
あんしん介護
認知症
太陽生命
認知症予防
SOMPO
ひまわり
認知症
プラス少短
認知症
ささえ
りぼん少短
認知症
東京海上
あんしん
契約年齢 40~85歳 50~85歳 40~75歳 20~85歳 20~70歳 40~90歳 制限なし 40歳~
加入条件 発症前 発症前 発症前 発症前 発症前 発症前 発症後も可 発症後に可
保険期間 終身・定期 終身 終身・定期 10年・終身 終身 1年更新 1年更新 終身1年更新
保険金額 200~1000万 30~500万 30~1000万 10~100万 10~500万 20~80万 500~1000万 15万~1億
保険金
支払事由
認知症診断
かつ
要介護1以上
認知症で介護
または
要介護2以上
認知症診断
かつ
要介護1以上
認知症診断
または
認知症継続
軽度認知症
または
認知症診断
認知症診断 損害賠償
損害防止
緊急措置
損害賠償
行方不明
ケガ
保障 認知症のみ 認知症・介護
入院・手術
認知症・死亡 予防・認知症
死亡
認知症・骨折 認知症 損害賠償 損害賠償
傷害
特典 代わりに訪問
診断書代行
電話相談 診断書代行
緊急通報
血液検査
歩行
業者紹介
認知チェック
情報提供 なし ステッカー
捜索
特記事項 削減2年 単体不可 死亡給付 削減1年 180日待機 保険料上昇 補償の重複 補償の重複
苦情率 0.04% 0.08% 0.04% 0.01% 0.03% - - -
保険料
返戻率
50歳
\2,606
255.8%
\3,805
146.0%
\3,405
407.9%
\5,361
75.1%
\3,050
91.1%
- \1,650
~841.8%
\1,300
~21,367%
保険料
返戻率
60歳
\3,238
257.4%
\6,016
138.5%
\2,340
356.1%
\5,720
94.7%
\4,140
100.6%
\650~
323.4%
\1,650
~1262.6%
\1,300
~32,051%
保険料
返戻率
70歳
\5,158
323.1%
\10,704
155.7%
\4,488
371.4%
\7,588
126.3%
\6,650
125.3%
\1,041~
472.3%
\1,650
~2525.3%
\1,300
~64,102%
認知症保険の契約年齢・加入条件・保険期間・保険金額・保険金支払事由・保障・特典・特記事項・苦情率・返戻率・保険料の比較表(第一生命・アフラック・朝日生命・太陽生命・SOMPOひまわり生命・プラス少短・りぼん少額短期・東京海上日動の各社の公式ホームページの数値を元に当社が独自作成)

上図で右から2番目のリボン認知症保険だが、東京海上を除く他の生命保険型の認知症保険とは一概に比較はできない。その上で押さえておきたいポイントは、保険金額が500万円と1000万円の二択である点、1年更新だが保険料は上昇しない点が挙げられる。また、特記事項として補償の重複も挙げられる。自動車保険・火災保険等の個人賠償責任の重複で、他人をケガさせたり物を壊した際の賠償が重複する他、大手の損保会社が最新の火災保険で認知症の家族のための特約を拡充させていることがある。先ほどの電車の事故の訴訟を受けて「電車等運行不能賠償追加型特約」ができたように、最新の火災保険にも加入すると、重複する部分が出てきて保険料の無駄に繋がることがある。苦情率は少額短期保険のため比較はできない。ただ、日経新聞・東洋経済等で紹介されたり、300人以上の家族が認知症の人にアンケート調査をしているあたり、静かに評判を上げている可能性がある。

保険料は年齢に関係なく保険金500万円なら年間19800円(月額1650円)で、保険金1000万円なら年間24800円(月額2066円)となる。返戻率は保険金500万円で60歳契約で、80歳で認知症で500万円が補償されたら
5,000,000÷(1,650×12×20) =12.62×100=1,262.6%
と計算できる。この数字も他社とは一律に比較はできず、同じ損保型の東京海上とも補償内容が微妙に異なるため比較できない。この保険については結局は数字抜きで判断するしかないだろう。

以上のことから総合評価としては、認知症の症状によっては必要性の高い保険といえるだろう。特に徘徊したことがあったり、暴力行為が散見されるようなら加入した方が良いだろう。せん妄・夕暮れ症候群でも症状によっては検討の余地がある。まだ認知症が発症していないなら加入を急ぐ必要はないが、軽度認知障害(MCI)なら様子見しながら加入を検討し始めた方が良いだろう。年齢によって保険料が上昇はしないが、いざという時に手遅れにならないようにしたいところだ。