太陽生命 My介護Bestプラスを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 太陽生命
- 名称:
- My介護Best+
- 加入年齢:
- 15~70歳
- 保障期間:
- 10年or一時払
- 保障内容:
- 介護・死亡
- 特徴:
- 一生涯の介護保障を準備できる保険
My介護Bestプラス(マイ介護ベストプラス)は太陽生命の介護保険で、金融機関のみで申し込める保険です。三菱UFJ銀行・新生銀行・みずほ銀行の他、北海道銀行・横浜銀行・千葉銀行・福岡銀行といった各県にある地方銀行でも契約できます。
この介護保険以外に太陽生命には一時払いのMy介護ベストという保険もあります。そちらとは保障内容が異なるため注意して下さい。それでは以下で、My介護Bestプラスの概要を記載し他社の介護保険と比較していきます。
保障内容
この保険には介護基本プランと認知症充実プランがあります。介護基本プランは要介護2以上に認定されるか所定の要介護状態になると介護年金が死亡するまで受け取れます。初回年金割増特則が付加されており、初回の介護年金のみ金額が2倍になります。これで要介護状態になってからの初期費用をカバーできます。
介護年金は死亡するまで受け取れますが、要介護状態になってから数年後に死亡する可能性もあります。その点、この保険には介護年金には支払保証期間20年があり、仮に要介護2以上になってから10年目に死亡しても残りの10年分は死亡一時金として遺族が受け取れます。もしも要介護状態にならずに死亡しても、解約返戻金相当の死亡給付金が受け取れます。
認知症充実プランは介護保障(介護年金)に加えて認知症の保障が加わります。認知症保障は認知症と診断されると受け取れる認知症保険金と、認知症で意識障害か見当識障害になると受け取れる認知症年金があります。認知症保険金は1回きりで、認知症年金は条件に該当すれば死亡するまで受け取れます。認知症年金も介護年金同様に、20年の支払保証期間があり死亡すれば死亡一時金があります。
認知症充実プランは介護保障と認知症保障が独立しているため、保険金・年金が同時に受け取れることもあればタイムラグがあって受け取れることもあります。例えば、80歳で軽度の認知症と診断されて83歳で見当識障害になり、84歳で要介護2となり93歳で死亡したとします。この場合は80歳で認知症保険金を受け取り、83歳で認知症年金を受け取り始め、84歳から介護年金(+認知症年金は継続)を受け取り始めることになります。
さらに各々が20年の支払保証期間があるため、93歳の死亡時には認知症年金の残り10年分の死亡一時金、介護年金の残り11年分の死亡一時金が受け取れます。その一方で要介護状態にはなったが認知症にはならなかった場合、認知症保障の保険料分の死亡給付金が受け取れます。つまりは保険料が返って来るということです。
メリット
この保険のメリットには、まずは介護年金が一生涯受け取れる点が挙げられます。このタイプの介護保険があるのは他社でも数社だけです。1回限りの介護保険金ではなく介護年金を一生涯受け取れるなら、要介護状態になっても長生きするほど得となります。
それも介護年金は20年の最低保証期間があり、要介護状態が短くても年金を受け取り損ねません。保証期間の20年も長めで、要介護状態が短くても残り分は死亡一時金が受け取れます。介護状態にならなくても、この保険には死亡給付金があります。どちらも支払った保険料を下回らず大きな損をしないのもメリットです。
さらに介護年金だけではなく認知症年金まで受け取れる保険は他社にはありません。認知症年金も介護年金と同様のメリットがあり、それも両者を同時に受け取ることも別々に受け取ることも可能です。それも要介護状態ではなく認知症だけでも一生涯年金が受け取れる介護保険となると他社には見当たりません。
また、解約して受け取れる解約返戻金でも損をしにくい点もメリットでしょう。認知症充実プランで40歳で契約して保険料払込期間を10年にすると、保険料を支払い終えた時点で解約返戻率が100%を超えます。何か資金が必要だから解約しても損はしないことになります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットは、まずは認知症充実プランはイメージより得ではない点が挙げられます。仮に40歳男性が基本年金額12万円・認知症年金額6万円で保険料払込期間10年で契約すると、保険料は月額33800円で保険料総額は405万円となります。
介護年金12万円・認知症年金6万を20年間受け取り、それに認知症保険金50万円を加えると合計410万円となります。つまり405万円の保険料を支払って410万円の保険金を受け取るだけなのです。返戻率が101%なら貯金と大差ないともいえます。
そうなると20年以上の長生きをするしか手はありませんが、長生きするにしても限度があります。厚労省の介護保険事業状況報告によると要介護・要支援状態になる平均年齢は75歳のため、介護年金を20年以上受け取るには95歳以上まで長生きする必要があります。日本人の平均寿命が80代半ばのため相当に厳しい数字と言わざるを得ません。死亡給付金・死亡一時金も同様に支払った保険料に対して受け取れる保険金はイコールに近い額です。
また、この保険は低解約返戻金型のため保険料の払い込みが完了する前に解約すると、解約返戻金は保険料総額の70%程度に制限されるため損失大です。また、解約返戻金は保険料払込期間が終了時点で返戻率100%になりますが、その5年後になっても解約返戻率は0.2%ほど上昇するだけです。解約返戻金で利益が出ても少額に留まります。
保険料と保障を他社と比較
この保険で介護保障プランを40歳男性・基本年金額12万円・初回年金割増特則付加すると、保険料払込期間10年で保険料は月額20214円です。10年間で支払う保険料総額は242万円となります。仮に80歳で要介護2以上になって90歳で死亡したとすると、生存中に132万円、死亡後に遺族が120万円の死亡一時金を受け取れます。252万円の保険金に対して242万円を支払うため返戻率は約104%となります。
同じ条件で50歳男性だと保険料総額は244万円、60歳男性だと252万円となります。受け取る保険金は同額で保険料は高くなるため、それぞれ返戻率は約103%と100%になります。認知症充実プランの保険料は既述しましたが、そちらも返戻率は大差ありません。
それでは他社と比較して返戻率は高いのか低いのか、下図で15以上の介護保険を返戻率で比較しました。返戻率は80歳で保険金を受け取り始めて、90歳で死亡する想定で計算しています。さらに介護保険を比較する上で重要な保険金の支払条件、介護年金の受取期間等も比較しました。下図の比較図を見て下さい。
My介護Bestプラスの返戻率は100%以上のため悪くないのですが、他社には返戻率が200~300%を超える介護保険もあります。そのため返戻率で考えると他社に劣るといえます。この保険は介護年金が死亡するまで受け取れるため長生きした分だけ返戻率は高まりますが、ソニー生命・明治安田生命も同様に介護年金は一生涯受け取れます。
それらの保険とは他の部分で仕組みが違うのですが、何にせよ返戻率で劣るのは間違いありません。返戻率を重視するなら他社の介護保険の方が良いことになります。
評判・苦情
太陽生命の決算資料によると2020年度(2020年4月~2021年3月)の終身生活介護年金保険の新契約件数は2169件です。前年度の4.4万件から激減しており、前年度比で4.8%(95.2%減)と非常に厳しい数字です。コロナによる影響があったとはいえ、契約件数から考えると評判は良くはないといえます。
ただ、生命保険協会のデータでは太陽生命全体に寄せられている苦情数は6023件(2020年度実績)で、総契約数の779万件で割った苦情率は0.07%です。1000契約のうち0.7件で苦情が発生している計算です。日本生命等の他の大手が0.2%台のため、太陽生命は苦情が少なめといえます。各保険会社で主力商品が異なりますが、苦情面では評判は良さそうです。
その一方で大規模調査となると様相が異なります。調査・コンサルティング会社のJ.D.パワージャパンの「2021年 生命保険契約満足度調査」で同社は20社中は19位と最下位近辺です。平均値も大きく下回り、下には不適切営業をしたかんぽ生命があるだけです。この調査は保険を新規購入・更新した約6000人を対象としており数十人程度の口コミよりも信頼が置けますが、顧客満足度は明らかに低いと言わざるを得ません。
さらにオリコンの生命保険会社ランキング(9000人対象の調査)でも太陽生命は26社中で19位と下位に位置しています。加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローの全ての項目で上位の保険会社には遠く及びません。特に保険料については太陽生命より下位の幾つかの保険会社よりも低評価です。
以上のデータから考えると、介護保険そのものの評判はコロナの分を差し引いても良くはなく、太陽生命全体への顧客満足度・評価は低いといえます。苦情数が少ないため大きな問題は無いのかもしれませんが、問題が無いだけで対応はイマイチという可能性が高そうです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、悪くはないものの微妙にオススメできない保険です。支払った保険料がほぼ戻ってくるだけと考えると、損はしないものの保険としての意味が薄いからです。さらに同じ太陽生命でも一時払いのMy介護ベストよりも返戻率が落ちるのも気になります。
この保険に近いのはジブラルタ生命ですが、そちらの方が返戻率も僅かに高いです。もしくは介護保障だけですが返戻率が高いソニー生命・コープの介護保険も検討すべきでしょう。要支援2から保険金が受け取れる朝日生命も検討の余地があるかもしれません。