世界三資産バランスファンド 『愛称 : Session』/ 野村アセットマネジメント

野村アセットマネジメント/世界三資産バランスファンド『愛称:Session』
オススメ度:
2
運用会社:
野村アセットマネジメント
商品名:
世界三資産バランスファンド 『愛称 : Session』
地域/決算:
グローバル / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
不動産・債券・株式
基準価額:
6,714円(2012年2月2日付け)
手数料:
1.0%(申込手数料 ※マネックス証券) 1.15%(信託報酬)

世界三資産バランスファンドは基準価額・騰落率では安定してはいるが・・・

この投信は、不動産(リート)と債券と株式の3分法で運用している投信だ。ただし、3分法とはいえ債券が70%と大半を占め、株式が残り20%、リートは10%と、債券に大きく依存している。他社では、単純に3分の1ずつの比率もあるなかで、他社との大きな差といえる。

また、過去1年を振り返ると、分配金は毎月分配型(年12回)で近々は毎月25円を出している。ただし、2010年9月までは35円の分配金を出しており、今後も25円を切る可能性は十分にある。他社との主な相違点・特徴は下記3点。
①財産3分法でも債券への投資比率が高い
②国別の構成ではアメリカ・日本の比率が高い
③想定利回りは低めだが、基準価額の騰落率は安定しておりプラス運用になる可能性あり(後述)

世界三資産バランスファンド 『愛称 : Session』の基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社よりも緩やかではあるが下落している。ただし、1年の騰落率は他社比較した中で唯一のプラスで0.03%となっている。さすがに債券の比率が高いだけのことはあるか。。。
分配金再投資では緩やかに上昇しているが、今後の大きな伸びは期待できなそうなチャートだ。

一方で純資産は減少が止まらず、分配金を出していることもあるが、減少するのは傾向が継続していきそうだ。各資産別に見ると、やはり債券は大きく動かず、株式とリートが足を引っ張っている。今後の伸びは、この2つに懸かってきそうだ。

世界三資産バランスファンド 『愛称 : Session』の国別比率及び上位構成銘柄

この投信の上位の組み入れ銘柄は左図。国別ではアメリカ・日本で半数以上の比率を占め、二国の経済に大きな影響を受けることになりそうだ。

パフォーマンス向上の鍵を握る株式とリートだが、やはりアメリカの比率が高い。株式では医薬品・食品・エネルギーの比率が多い。

株式の個別銘柄で上位の「MERCK」はアメリカでファイザーに次ぐ2位の規模を誇る製薬会社だ。株価は08年のリーマンショック以来大きく回復はしていない。伸び悩んでいる印象だ。

豪州・リート市場の各種指標

今後の見通しだが、米国の次にリートで比率が高いオーストラリアだが、2011年12月に利下げがあり、さらにオフィス市場が好調のため、現在のリート指数は回復基調にある。このペースでいけば、半年後~1年後には850ポイント超まで伸びてくる可能性がある。小売売上高も2011年のクリスマス商戦は想定よりも不振に終わったようだが、堅調な動きを見せているため商業施設も伸びてくるかもしれない。

また、世界中と比較すると、オーストラリアはかなり安定した動きなのが分かる。年間のマイナス幅も小さく(米国は前年が悪すぎたためプラス)、底固くプラスに転じていくと予想される。投資環境は悪くない印象だ。

次に、基準価額、騰落率、手数料、信託報酬、分配利回り、100万円分を5年運用して解約した際の利益額も比較する。その計算式は下記だが、分配金は2012年現在の金額から変動しないと考える。
「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」※信託財産留保額は投信解約時に発生する解約金

そして、基準価額の増減も加味して5年後に100万円の元がとれるか?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の騰落率が、今後の5年間も繰り返すと仮定し、分配金も現状維持だとした場合に、運用していた100万円が5年後に赤字か黒字かを検証した。
計算上での考え方は以下の通り(面倒な方は読み飛ばして頂いて構いません)
「過去1年間の基準価額の騰落率がマイナス5%で、現在の基準価額が10,000円とすると、1年後は9,500円(10,000×95%)、2年後は9,025円(9,500円×95%)、3年後は8,573円・・・・・と基準価額は減少すると仮定する。5年後の減少した基準価額×口数(=目減りした資産)に、5年分の分配金を足すと100万円を超えているか否か?」これを他社の財産3分法型の投信(純資産ランキングで上位4商品)と比較した。

商品名 日興
財産3分法ファンド
三井住友
グローバル3資産
ファンド
日興
世界の財産3分法
ファンド
野村
世界三資産バランス
ファンド
みずほ
MHAMトリニティ
オープン
基準価額 4,859円 4,755円 4,854円 6,714円 5,335円
騰落率 -9.0% -3.0% -8.0% 0.03% -8.6%
手数料 1.5% 2.1% 1.5% 1.0% 1.5%
信託報酬 0.99% 1.47% 0.99% 1.15% 1.15%
分配利回り 16.3% 7.4% 6.4% 3.3% 3.3%
信託財産
留保額
0.3% 0.25% 0.2% 0.15% 0.2%
5年分の
利益額
796,875円 344,640円 304,328円 154,414円 150,430円
100万で
5年運用
※基準価額増減考慮
1,420,908円 1,203,374円 963,410円 1,155,915円 788,298円
財産三分法の投資信託の比較表(日興 財産3分法ファンド(毎月分配型)・三井住友グローバル3資産ファンド・日興 世界の財産3分法ファンド・野村 世界三資産バランスファンド・みずほMHAMトリニティオープン)

上図の通り「野村 世界三資産バランスファンド」の想定利回りは高くないのだが、かろうじて基準価額の騰落率がプラスになっているため、利回りでは倍以上の差がある三井住友に近い運用になる可能性がある。騰落率以外でも手数料や信託財産留保額も安価で、それも起因している。上図には無いが、基準価額を考慮しての最終予想利回りは2.9%程度で、なかなか数字面では悪くない。

最後に結論だが、日々の基準価額の上下動に一喜一憂をしたくない人には向いている投信といえそうだ。基準価額が大きくは動かないのは相当の比率を占める債券が大きく動いていないためで、株式・リート、特にアメリカ経済で今後の躍進の度合いが変わる。その米国経済米国経済は2012年は悪くはない状況になっている。もちろん、再び欧州債務という外的要因に左右される可能性は否定できないが。。。ただし、純資産の減少スピードが早く、いつまで25円の分配金を出し続けられるかは疑問が残る。そういった意味では三井住友や日興の財産3分法の方が無難か。。。

現在保有中の人は、保有し続けてもいいが、大きな伸びは期待できないため、解約してしまうのも手だ。まだ見限れない人は分配金が再び減少するタイミングで検討してもいいかもしれない。