財産3分法ファンド(不動産・債券・株式) 毎月分配型『愛称:財産3分法ファンド』/ 日興アセットマネジメント

日興アセットマネジメント/財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型『愛称:財産3分法ファンド』
オススメ度:
3
運用会社:
日興アセットマネジメント
商品名:
財産3分法ファンド(不動産・債券・株式) 毎月分配型 愛称:財産3分法ファンド
地域/決算:
グローバル / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
不動産・債券・株式
基準価額:
4,859円(2012年2月2日付け)
手数料:
1.5%(申込手数料 ※楽天証券) 0.99%(信託報酬)

日興 財産3分法ファンドは想定利回りが高いが不安要素が無いわけではない

この投信は、不動産(リート)と債券と株式の3分法で運用している投信だ。その比率は不動産が25%、株式が25%、債券が50%となっている。とはいえ、中身を見れば、不動産は全てが日本版の不動産投信(Jリート)で、東証リート指数に連動する資産が占める。株式も日経平均株価に連動する日経225で占められている。一方で債券は、世界の国債の市場と連動する「シティ世界国債インデックス」が占めている。

すなわち、この投信の成績は日本の不動産市場の景気、日本の株式市場の景気、世界各国(主に先進国)の債券市場に左右されるということだ。大半が日本を占めるため、日本経済次第ともいえる。また、過去1年を振り返ると、分配金は毎月分配型(年12回)で近々は毎月70円を出している。ただし、2009年2月までは80円の分配金を出しており、今後も60円に減額する可能性は十分にある。他社との主な相違点は下記3点。
①財産3分法でも日本への投資比率が高い
②債券の構成銘柄では他社よりドイツ国債の比率が高め
③想定利回りは高く、基準価額の騰落率を加味してもプラス運用になる可能性あり(後述)

財産3分法ファンド(不動産・債券・株式) 毎月分配型 愛称:財産3分法ファンドの基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社の大半の3分法型の投信と同様に下落している。このまま下落するのは間違いなさそうだ。純資産も減少しているが、分配金再投資は基準価格ほど下落していないところを見ると、ファンドが多少は無理している懸念はある。

個別資産では、当然ながら債券は大きく動かないためJリートと日経225に引っ張られ上下している。

財産3分法ファンド(不動産・債券・株式) 毎月分配型 愛称:財産3分法ファンドの国別比率及び上位構成銘柄

この投信の上位の組み入れ銘柄は左図。不動産と債券と株式の比率は前述した通りの比率。各資産別に見ても、不動産投信はJリート指数に連動させるため、指数への構成率の高い日本ビルファンドやジャパンリアルデステイトなどが、構成銘柄の上位に名を連ねている。

株式も同様で、日経225への構成率が高いファーストリテイリング(ユニクロ)やファナック、ソフトバンクが並ぶ。特別な特徴は無い。債券もアメリカ・ユーロ建て債券の比率が高く、ここも特別な特徴は見られない。

東証REIT指数とTOPIXの連動性のグラフ

この投信の中では利回りが高く、パフォーマンス向上の要因である不動産(J-REIT)だが、2011年から下降を続けている(左図ご参照)

震災等の影響もあり、一部の大型物件が販売を停止したこと等から低迷を続けているようだ。ただし、J-REIT自体の物件取得の勢いはあり、2012年からの指数上昇はありうる。また、日銀が2012年6月までに買い入れるJ-REITは700億は残っており、日銀の買い付けを機にした指数上昇も見込める。

次に、基準価額、騰落率、手数料、信託報酬、分配利回り、100万円分を5年運用して解約した際の利益額も比較する。その計算式は下記だが、分配金は2012年現在の金額から変動しないと考える。
「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」※信託財産留保額は投信解約時に発生する解約金

そして、基準価額の増減も加味して5年後に100万円の元がとれるか?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の騰落率が、今後の5年間も繰り返すと仮定し、分配金も現状維持だとした場合に、運用していた100万円が5年後に赤字か黒字かを検証した。
計算上での考え方は以下の通り(面倒な方は読み飛ばして頂いて構いません)
「過去1年間の基準価額の騰落率がマイナス5%で、現在の基準価額が10,000円とすると、1年後は9,500円(10,000×95%)、2年後は9,025円(9,500円×95%)、3年後は8,573円・・・・・と基準価額は減少すると仮定する。5年後の減少した基準価額×口数(=目減りした資産)に、5年分の分配金を足すと100万円を超えているか否か?」これを他社の財産3分法型の投信(純資産ランキングで上位4商品)と比較した。

商品名 日興
財産3分法ファンド
三井住友
グローバル3資産
ファンド
日興
世界の財産3分法
ファンド
野村
世界三資産バランス
ファンド
みずほ
MHAMトリニティ
オープン
基準価額 4,859円 4,755円 4,854円 6,714円 5,335円
騰落率 -9.0% -3.0% -8.0% 0.03% -8.6%
手数料 1.5% 2.1% 1.5% 1.0% 1.5%
信託報酬 0.99% 1.47% 0.99% 1.15% 1.15%
分配利回り 16.3% 7.4% 6.4% 3.3% 3.3%
信託財産
留保額
0.3% 0.25% 0.2% 0.15% 0.2%
5年分の
利益額
796,875円 344,640円 304,328円 154,414円 150,430円
100万で
5年運用
※基準価額増減考慮
1,420,908円 1,203,374円 963,410円 1,155,915円 788,298円
財産三分法の投資信託の比較表(日興 財産3分法ファンド(毎月分配型)・三井住友グローバル3資産ファンド・日興 世界の財産3分法ファンド・野村 世界三資産バランスファンド・みずほMHAMトリニティオープン)

上図の通り「日興 財産3分法ファンド(毎月分配型)」の想定利回りは高いが、基準価額の騰落率でのマイナス幅はワースト1だ。ただし、分配金が現状維持で基準価額が毎年9%ずつ減少すると、5年後にはプラスになっている可能性がある。そのプラス幅は他社比較すればトップで、上図には無いが、基準価額を考慮しての最終予想利回りは7.2%程度で、数字面では非常に優秀と言えそうだ。

最後に結論だが、これからも基準価額が下落しても、そのマイナス幅が-9%以内であれば5年後にはプラスになる可能性は高い。そのプラス幅も他社比較で最高額のため十分に検討に値する投信といえる。ただし、構成銘柄の50%が日本経済に連動する商品のため、日本経済の状況次第では、パフォーマンスの低下が危ぶまれるため注意したい。しかし、今後も低成長が続くと思われる日本経済では大きな天災・外的要因が無ければ、無事に運用できる可能性は十分に考えられる。

現在保有中の人は、基準価額の減少幅次第だが、2012年の日本経済は緩やかに回復(復興需要も見込める)していくと考えられるため、今年いっぱいは様子見をしても良いのではないだろうか。仮に2006年の基準価額がピーク時に購入していても、現在の分配金再投資額は当時の基準価額に近いところまで来ているため、プラスマイナスゼロまで持っていける可能性は十分にある。