世界の財産3分法ファンド(不動産・債券・株式) 毎月分配型『愛称:世界の財産3分法ファンド』/ 日興アセットマネジメント

日興アセットマネジメント/世界の財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型『愛称:世界の財産3分法ファンド』
オススメ度:
2
運用会社:
日興アセットマネジメント
商品名:
世界の財産3分法ファンド(不動産・債券・株式) 毎月分配型
地域/決算:
グローバル / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
不動産・債券・株式
基準価額:
4,859円(2012年2月2日付け)
手数料:
1.5%(申込手数料 ※フィデリティ証券) 0.99%(信託報酬)

日興 世界の財産3分法ファンドは世界の名が付くが日本経済次第の投信!

この投信は、不動産(リート)と債券と株式の3分法で運用している投信だ。その比率は1:1:1、3分の1ずつだ。3分の1の中身としては、債券・不動産・株式共に半数は国内で占められている。整理すると、国内株式、国際株式、国内債券、海外債券、国内リート、海外リートが6分の1ずつということだ。50%が日本に関連した商品であるため、日本経済次第では大きな影響を受けるだろう。さらに中身を見ると、全てがインデックス連動型となっているため、各市場の全体的な景気に左右される。

また、過去1年を振り返ると、分配金は毎月分配型(年12回)で近々は毎月30円を出している。ただし、2009年2月までは70円の分配金を出しており、2010年1月まで60円、2010年8月で50円、2010年10月で30円まで減額してしまった。今後も20円、10円になる可能性は十分にある。他社との主な相違点は下記3点。
①財産3分法でも日本への投資比率が高い
②インデックス系の商品で構成されているため他社よりも信託報酬が安価
③想定利回りは高めだが、基準価額の騰落率を加味するとマイナス運用になる可能性あり(後述)

世界の財産3分法ファンド(不動産・債券・株式) 毎月分配型の基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社の大半の3分法型の投信と同様に下落している。1年の騰落率でもマイナス8%は大きい幅だ。このまま下落傾向が続きそうなチャートに見える。

また、純資産も順調に減少している。分配金再投資も下落傾向にあり、状況は厳しそうだ。

世界の財産3分法ファンド(不動産・債券・株式) 毎月分配型の国別比率及び上位構成銘柄

この投信の上位の組み入れ銘柄は左図。各資産別に見ても、不動産投信はJリート指数に連動させるため、指数への構成率の高い日本ビルファンドやジャパンリアルデステイトなどが、構成銘柄の上位に名を連ねている。

株式も同様で、TOPIX(東証株価指数)への構成率が高いトヨタ自動車や三菱UFJが並ぶ。特別な特徴は無い。債券もアメリカ・ユーロ建て債券の比率が高く、ここも特別な特徴は見られない。

各資産の運用状況

この投信を構成している各資産のインデックスの上下が左図となる。インデックスと連動させているため、各基準価額とベンチマークに大きな乖離は見られない。

2010年からで、基準価額が下落しているのは、日本債券以外の全てとなっている。特に下落が目立つのは日本リート、日本株式、海外債券だ。日本では震災もあり、タイ洪水、円高等の影響で国内経済が芳しくないため止むをえない面もある。この投信は日本の比率が高いため、これが大きく影響していることが分かる。ただし、今後は徐々に回復していくだろうが、その上昇幅は?だ。

海外債券は、欧州債務問題が解決しない限りは上昇は難しいだろう。ギリシャからポルトガル、スペインにまで飛び火しそうな現状では、回復の先が見えない。。。

次に、基準価額、騰落率、手数料、信託報酬、分配利回り、100万円分を5年運用して解約した際の利益額も比較する。その計算式は下記だが、分配金は2012年現在の金額から変動しないと考える。
「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」※信託財産留保額は投信解約時に発生する解約金

そして、基準価額の増減も加味して5年後に100万円の元がとれるか?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の騰落率が、今後の5年間も繰り返すと仮定し、分配金も現状維持だとした場合に、運用していた100万円が5年後に赤字か黒字かを検証した。
計算上での考え方は以下の通り(面倒な方は読み飛ばして頂いて構いません)
「過去1年間の基準価額の騰落率がマイナス5%で、現在の基準価額が10,000円とすると、1年後は9,500円(10,000×95%)、2年後は9,025円(9,500円×95%)、3年後は8,573円・・・・・と基準価額は減少すると仮定する。5年後の減少した基準価額×口数(=目減りした資産)に、5年分の分配金を足すと100万円を超えているか否か?」これを、他社の財産3分法型の投信(純資産ランキングで上位4商品)と比較した。

商品名 日興
財産3分法ファンド
三井住友
グローバル3資産
ファンド
日興
世界の財産3分法
ファンド
野村
世界三資産バランス
ファンド
みずほ
MHAMトリニティ
オープン
基準価額 4,859円 4,755円 4,854円 6,714円 5,335円
騰落率 -9.0% -3.0% -8.0% 0.03% -8.6%
手数料 1.5% 2.1% 1.5% 1.0% 1.5%
信託報酬 0.99% 1.47% 0.99% 1.15% 1.15%
分配利回り 16.3% 7.4% 6.4% 3.3% 3.3%
信託財産
留保額
0.3% 0.25% 0.2% 0.15% 0.2%
5年分の
利益額
796,875円 344,640円 304,328円 154,414円 150,430円
100万で
5年運用
※基準価額増減考慮
1,420,908円 1,203,374円 963,410円 1,155,915円 788,298円
財産三分法の投資信託の比較表(日興 財産3分法ファンド(毎月分配型)・三井住友グローバル3資産ファンド・日興 世界の財産3分法ファンド・野村 世界三資産バランスファンド・みずほMHAMトリニティオープン)

上図の通り「日興 世界の財産3分法ファンド(毎月分配型)」の想定利回りは悪くないのだが、基準価額の騰落率でのマイナス幅が痛い。分配金が20円になる可能性がある中、分配金が現状維持だとしても基準価額が毎年8%ずつ減少すれば、5年後にはマイナスになっている可能性が高い。マイナス幅はみずほ程ではないが、購入時の資産額を割り込みそうだ。上図には無いが、基準価額を考慮しての最終予想利回りはマイナス0.7%程度で、数字面では厳しい結果となった。

最後に結論だが、日本経済次第で大きく影響するため、今後、復興需要などでパフォーマンスが上昇する可能性はあるが、どこまで伸びられるかに疑問が残る。日本の比率が高いのは日興の別型の財産3分法でも同様で、この不安を大きく感じる人は、三井住友を購入した方が良さそうだ。単純に、利回り重視であれば日興の別タイプの方を検討した方がいいだろう。

現在保有中の人は、日本経済の復活を待って保有し続ける手もあるが、解約するのも手だろう。基本的には含み損が大きくなっていくだけの可能性が高そうだからだ。2006年の基準価額がピーク時に購入した人は、チャート分析すると、当時の金額まで戻るのは厳しそうなため、他投信への乗り換えを考えていいだろう。