世界銀行債券ファンド(毎月分配型)愛称:ワールドサポーター/ 日興アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 日興アセットマネジメント
- 商品名:
- 世界銀行債券ファンド(毎月分配型)愛称 ワールドサポーター
- 地域/決算:
- 海外・先進国 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 4,185円(2012年11月14日付け)
- 手数料:
- 1.5%(最安手数料 ※クレディ・スイス証券) 0.90%(信託報酬)
世界銀行債券ファンド(毎月分配型)は社会貢献の意味はあれども数字が悪い!
世界銀行債券ファンドは世界銀行(World Bank)の債券に投資して分配金を出す世界初の投信だ。投資するのは世界銀行の債券のみで、それを異なる国の通貨建てで保有している。世界銀行はIMF(国際通貨基金)と共に世界の金融秩序の安定も担っているが、現在は新興国・紛争国などの資金援助を中心にしている。そのため、世界銀行の債券を購入しているのは間接的に新興国への援助に貢献していることになる。
また、それだけではなく、信託報酬の一部を国際開発協会に寄付している。ちなみに、寄付・社会貢献に興味がある人は「クレジットカードで寄付」も参照してほしい。さて、この投信の過去1年の分配金履歴を振り返ると、毎月40~60円を出していた。2009年から60円を維持していたが、2012年11月に持ち堪えられずに40円に減配された。今後も情勢次第では減配の可能性は否定できない。
基準価額は、2008~2011年まで右肩下がりで下落を続けており、2012年後半から何とか下げ止まって横ばいを維持している。この状況であれば、分配金を減額して基準価額の維持に充てるのも止むをえないといえる。累積投資額は2012年より反発を始めているが、減配したため今後の伸びの勢いが鈍化するのは間違いない。
純資産は、2011年をピークに減少している。他社投信よりも減少が始まったのは遅いが、およそ1年前の2,400億円から一気に半分の1,200億円まで減少しており、このままなら2013年には600~700億円も視野に入る。そうなると、分配金は20円程度まで減配される可能性がある。
構成銘柄は前述の通り世銀の債券だが、通貨は異なる比率で組み入れられている。トップはブラジルレアルの約20%、次いでチリのペソ、ロシアのルーブルが続く。他社ソブリン債型では見受けられない南アフリカランド・ポーランドのズウォティ・インドのルピーも名を連ねている。南アフリカランドもアフリカでは相当に流通しているが、社会貢献を謳っているわりには、アラブの春で政情悪化しているアフリカ諸国の数は少ない。
これらの国の債券の本来の格付けは、よくてトリプルBといったところだが、世銀が発行する債券のため格付けは全てトリプルAとなる。
投資比率の高いブラジル経済の見通しだが、現在はブラジル中央銀行の金融緩和策とレアル安への後押しに舵を切った施策で、輸出中心の経済は復調の兆しを見せた。その結果、2012年下半期はGDP成長率も4%になる見通しで、製造業景況感指数も長らく前年比マイナスであったが、ようやくプラスに転じ始めており、一時期の最悪期は脱しつつある。ただし、レアル相場と経済成長に明らかに連動性が見られるため、再び投機マネー・先進国の金融緩和マネーがレアルに流れてレアル高になるようなら、成長に暗い影を落とすことは確実だ。決して、安心はできない状況だ。
また、各国の経済情勢については他投信ページの該当箇所を参照してほしい(アメリカ経済見通し・カナダ経済見通し・トルコ経済見通し・メキシコ経済見通し)
次に、他社のソブリン債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益・分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で現在の基準価額がマイナス5%の場合、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額すると仮定して、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 国際投信 グローバルソブリン オープン |
DIAM 高格付けインカム オープン |
大和投信 グローバル債券 ファンド |
日興アセット 高金利先進国債券 オープン |
日興アセット 世界銀行債券 ファンド |
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基準価額 | 4,775円 | 7,608円 | 6,304円 | 7,134円 | 4,185円 |
増減率 | -1.2% | +2.4% | -2.0% | -0.8% | -11.1% |
手数料 | 0% | 1.0% | 2.0% | 1.0% | 1.5% |
信託報酬 | 1.25% | 1.00% | 1.25% | 1.25% | 0.90% |
信託財産 留保額 |
0.5% | 0.5% | 0% | 0% | 0% |
分配利回り | 7.5% | 4.5% | 3.5% | 10.5% | 10.6% |
3年分の 利益額 |
221,374円 | 120,615円 | 85,266円 | 305,738円 | 302,086円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,184,606円 | 1,195,089円 | 1,025,868円 | 1,281,739円 | 1,004,027円 |
最終予想 利回り |
5.81% | 6.12% | 0.85% | 8.63% | 0.13% |
上図で「日興・世界銀行債券ファンド」を他社比較したが、基準価額のマイナス幅が1年前の4709円からマイナス11%と大きい。他のソブリン型投信がマイナス2%で抑えている中で、パフォーマンス悪化の大きな原因といえそうだ。手数料は安価ではないが、信託報酬は最安値だ。この中から0.05%を寄付に回していることも考えれば、かなり安価といえる。分配金の利回りは減配したとはいえ、トップの数字で優秀だ。ただ、基準価額を大きく削っているため、最終的な予想利回りでは0%を挟んだ数字になりそうだ。下手をすると赤字になるのは厳しい。
結論としては、数字が宜しくないためオススメできない。社会貢献的な側面を持っているため、それはプライスレスの価値があるとも言えるが、それなら社会貢献を別の形で実行した方がベターだろう。投資信託の目的は資産の安定的な成長にあるなら、やはり数字は無視できない。大人しくDIAM高格付け・日興高金利あたりを検討するか、純資産額では未だ安心感があるグロソブを検討するのが妥当だろう。