日興五大陸債券ファンド(毎月分配型)/ 日興アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 日興アセットマネジメント
- 商品名:
- 日興五大陸債券ファンド(毎月分配型)
- 地域/決算:
- 海外・先進国 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 6,993円(2012年11月14日付け)
- 手数料:
- 2.0%(最安手数料 ※ゆうちょ銀行) 1.00%(信託報酬)
日興五大陸債券ファンド(毎月分配型)はゆうちょ銀の販売に期待するしか!
日興五大陸債券ファンドは、格付けの高い先進国の債券に80%、リスクは高いが利回りが高い新興国債券に20%分を投資して分配金を出している。投資対象の80%が先進国債券のため、便宜上、ソブリン債型の投信として他社比較する。また、販売会社はゆうちょ銀行に限定されているため注意したい。さて、過去1年の分配金履歴を振り返ると、毎月20円を出していた。2010年から維持している金額だが、さらに遡ると2009年には40円、2010年前半は30円であった。今後も減配の可能性は否定できない。
基準価額は、チャートの作り方もあるが、純資産と同じ位置関係で下落している。もちろん両者に相関関係はあるが。。。直近数ヶ月は反発をしているようにみえる。しかし、過去幾度も上昇局面はあったが、その後はだらしなく下落している。今回も同様になる可能性は高かろう。累積投資額もベンチマークである世界国債インデックスと乖離せずに、よく連動している。2009年のピークの上を抜いてきたのは評価できるが、どこまで勢いを維持できるかが問題だ。純資産は減少の一途で止まる気配は無い。2013年には分配金維持も厳しくなる水準になるだろう。ゆうちょ銀に新たに販売する気が無いのかもしれない。
構成銘柄の債券は全て国債だが、全体の8割を占める先進国ファンドと、残り2割を占める新興国ファンドで大きく異なる。
先進国では、米国債が4割でトップで、次いでフランス・イタリア・ドイツ・イギリス・スペインが続く。欧州債務問題の震源地でもあるイタリア・スペインは不安はあるが、比率が低めのため突発的な事象が起きても影響は限定的だろうが。一方で新興国は投信全体の2割だが、それを更に主に7カ国で分散している。自動車産業・機械・鉄鋼が主力のトルコ、豊富な資源を誇るロシア、北米向けの自動車・製造業輸出が盛んなメキシコ、W杯・五輪と大イベントに向けたインフラ整備投資と豊富な資源があるブラジル、石油の輸出量が中南米でも大きいベネズエラ、外資系メーカーが安価な労働力を求めて進出を強化しているフィリピンなど、政情等で不安はあれど将来有望な新興国の国債が並んでいる。
今後の債券市場の見通しだが、現在は先進国の相次ぐ金融緩和で債券にも相当の資金が流入している。そのため債券価格は上昇し、債券利回りは低下する傾向にある。この投信のように債券に投資している投信への影響は、債券価格の上昇で資産額が上昇し基準価額の上昇と売却益にプラス寄与する一方で、債券利回りの低下で利子収入が減少するため分配金の維持にマイナス影響を及ぼす。運用はファンドマネージャーの腕次第ということになりそうだ。また、各国の経済情勢については他投信ページの該当箇所を参照してほしい(アメリカ経済見通し・カナダ経済見通し・トルコ経済見通し・メキシコ経済見通し)
次に、他社のソブリン債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益・分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で現在の基準価額がマイナス5%の場合、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額すると仮定して、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 国際投信 グローバルソブリン オープン |
DIAM 高格付けインカム オープン |
大和投信 グローバル債券 ファンド |
日興アセット 高金利先進国債券 オープン |
日興アセット 世界五大陸 債券ファンド |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 4,775円 | 7,608円 | 6,304円 | 7,134円 | 6,993円 |
増減率 | -1.2% | +2.4% | -2.0% | -0.8% | +6.2% |
手数料 | 0% | 1.0% | 2.0% | 1.0% | 2.0% |
信託報酬 | 1.25% | 1.00% | 1.25% | 1.25% | 1.00% |
信託財産 留保額 |
0.5% | 0.5% | 0% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 7.5% | 4.5% | 3.5% | 10.5% | 2.4% |
3年分の 利益額 |
221,374円 | 120,615円 | 85,266円 | 305,738円 | 47,960円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,184,606円 | 1,195,089円 | 1,025,868円 | 1,281,739円 | 1,246,137円 |
最終予想 利回り |
5.81% | 6.12% | 0.85% | 8.63% | 7.61% |
上図で「日興五大陸債券ファンド」を他社比較したが、まずは基準価額の上昇が際立っている。1年前の2011年11月の6,584円から2012年11月の6,993円までの6%の上昇は、他社のソブリン債型の投信を圧倒している。また、手数料はゆうちょ銀行が販売しているためんか2%と高額だが、信託報酬は上図の中では最安値になっている。一方で、分配金は少なく分配利回りは2%前後だ。しかし、基準価額の上昇が寄与して最終予想利回りでは7%超と高い。ただし、前述の基準価額のチャートでは下落傾向なのは間違いない。2012年は偶然とも考えられ、基準価額の上昇が利益の大半を占めるため基準価額が上昇しなければ相当数字に狂いが出てくる。最終的には1~2%の利回りになる可能性は十分にある。
結論としては、これからの購入はあまりオススメはできそうにない。前述の通り利益の大半が基準価額の上昇で、それも長期のチャートでは下落傾向にあり偶然の可能性が高く、さらに純資産が明らかに減少中で分配金が減配される時も近いと予想されるためだ。これから、ゆうちょが株式上場し、民間企業として利益を追求せねばならない等の状況変化で、この投信も販売強化が起これば、おもしろいことになる可能性はあるが、そんな不確実過ぎる未来を待つのは賢明ではあるまい。やはり大人しくDIAM高格付け・日興高金利あたりを検討するか、純資産額では未だ安心感があるグロソブを検討するのが妥当だろう。