高成長インド中型株式ファンド/ 三井住友アセット

三井住友アセット/高成長インド中型株式ファンド
オススメ度:
3
運用会社:
三井住友アセットマネジメント
商品名:
高成長インド中型株式ファンド
地域/決算:
インド / 年4回
対象資産:
株式
基準価額:
10,290円(2017年7月)
手数料:
2.0%(申込手数料 ※岡安証券) 1.05%(信託報酬)

高成長インド中型株式ファンドは分配金狙いの新しいインド株型の投信か!

この投信はインド企業の株式に投資し配当・売買益等で運用しており、2011年設定と歴史の浅い投信だ。他社が年1回決算だが、この投信は3回多い年4回の決算があり、その都度高額な分配金を出している。インド株式型投信は上昇が利益になるものが多いが、定期的な分配金を好む個人投資家には敬遠されがちとなりやすい。そのニーズを埋めるために設定された投信かもしれない。

高成長インド中型株式ファンドの基準価額及び純資産の推移チャート

さて基準価額だが、基本的に収益が上がれば分配金に充てているため、設定来の10,000円をキープするように動いている。そのため分配金再投資基準価額が大きく上下に動いている。直近1年で30%の上昇をしている反面、2015年の下落時には30%程度の下落をしている。他社の同じタイプの投信と同様に、かなりのハイリスク・ハイリターンな投信ということが窺い知れる。

純資産は分配金を出し始めた2014年に急激に増加し、今でも増加傾向にある。その分配金は決算の回数こそ多いが実際には無配の決算もあるようだ。ただ、1300円の分配金のうち大半が収益によるもので、無理して分配金を出しているわけではない点には好感が持てる。

高成長インド中型株式ファンドの上位構成銘柄及び業種

次に投資している株式だが、中型の成長株に投資すると謳っているだけあって、業種別の比率でも他社とは異なる風景となっている。トップは銀行ではなく素材で、次いで資本財・銀行・自動車が続いている。

個別銘柄では他社でも見かける大手銀行のYES銀行とICICI銀行もあるが、Federal銀行・IndusInd銀行などの他社では上位には見かけない銘柄も散見される。業種でトップの素材ではCentury Textilesが上位にある。聞き慣れない企業だが、日本の素材会社の東レの関連会社であり日本にも馴染み深い企業だ。

インドのGDP・自動車・販売台数・消費者物価・ビジネス環境ランキング

今後のインド経済の見通しだが、一般的に知られているようにインドは新興国らしく5~7%という高いGDP成長率で経済が拡大している。かつてのような10%を超える高いインフレ率ではなく、概ね2~6%のインフレのためハイパーインフレといった懸念もなく堅調な成長をしていると考えられている。

しかし、物価がGDPのわりに上昇しておらず、消費の代表格である乗用車・二輪車の販売台数が前年比で落ち込む場面があるなど、今後を占うえで気がかりな点も幾つか存在する。さらにビジネス環境ランキングで130ヶ国の中でも100位前後と外資が算入するには厳しく、依然としてカースト制度の名残が根強く残っており閉鎖的な面もある。新興国らしく懸念点もあることは忘れずにおきたい。

次に純資産ランキング上位のインド株式型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。

商品名 HSBC
インドオープン
イーストスプリング
インド株式
アムンディ
りそなインド
野村
インド株投資
三井住友
高成長インド
基準価額 20,809円 16,387円 10,531円 26,320円 10,290円
騰落率 +30.9% +28.2% +26.9% +29.7% +6.8%
分配金再投資
騰落率
+32.7% +28.2% +26.9% +32.1% +30.6%
手数料 3.0% 0% 3.0% 3.0% 2.0%
信託報酬 2.0% 1.22% 1.13% 2.0% 1.05%
信託財産
留保額
0% 0.5% 0% 0.5% 0.5%
1年間の
分配金額
14,417円 0円 0円 18,997円 223,518円
分配金の
健全度
0% 0% 0% 0% 81.3%
3年間の
分配金額
-46,749円 -41,600円 -63,900円 -38,009円 614,054円
3年後の
100万円
分配金除く
2,242,947円 2,106,998円 2,047,415円 2,181,825円 1,218,186円
予想利回り 9.9%
(-45%~35%)
7.3%
(-40%~30%)
5.6%
(-35%~28%)
8.9%
(-40%~35%)
4.9%
(-35%~35%)
インド株式型投資信託の比較表(HSBCインドオープン・イーストスプリング インド株式・アムンディ りそなインド・野村インド株投資・三井住友高成長中型インドファンド)

上図で「高成長インド中型ファンド」を比較したが、基準価額は他社よりも上昇していないが、その分だけ分配金再投資基準価額が伸びている。その上昇幅は他社とは遜色ないレベルにあるがトップではない。諸経費面では手数料が他社の3%より僅かに安い2%だが、信託報酬は上図の中では最安値の1.05%と優秀だ。他社と異なり分配金が多く出ているが、80%以上がしっかりと収益から出ているため健全度は高い。

100万円を運用した場合の3年後だが、分配金を加算しても他社には劣る数字だ。そのため予想利回りも他社よりも低めになった。注意してほしいのは、上図の数字は最大限バラ色のシナリオであり、基準価額の箇所で記述したように真逆に振れてマイナス30%という大赤字に陥る可能性も十二分にある。さらに過去には分配金が出ない期間があり、分配金目当てにしても当初の予想より分配金が受け取れないこともあるだろう。

結論としては、数字面では他社のインド株式型の投信の方が薦められるが、投信の分配金が欲しい人には悪くないかもしれない。分配金の健全度が高く、資産を削ってまで分配金を出さないのも良い点だ。ただ、裏を返せば分配金目的なのに分配金が受け取れないこともあるというパラドックスにも陥る。それが本来の投資信託ではあるが、毎月分配型に慣れていると、そうは考えられないかもしれない。それなら他社の分配金は無いがパフォーマンスが良好な投信を選ぶのもいいかもしれない。