HSBCインドオープン/ HSBC投信
- オススメ度:
- 運用会社:
- HSBC投信
- 商品名:
- HSBCインドオープン
- 地域/決算:
- インド / 年1回
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 20,809円(2017年7月)
- 手数料:
- 3.0%(申込手数料 ※みずほ証券) 2.0%(信託報酬)
HSBCインドオープンは数字面で他社より優秀!?
この投信はインド企業の株式に投資し、その配当・売買益等で運用している。さらに利益の大半をインド国内で稼いでいる外資企業も投資対象としている。そのため「マルチスズキ」のような日本の自動車メーカーのスズキのインド子会社も投資対象となる。
まず基準価額だが、2015年は大きな下落に見舞われたが、その水準に今では戻りつつある。とはいえ、ベンチマークにしているS&Pのインドの指数には大きく引き離されており、もっと良いパフォーマンスが出せた可能性は否定できない。
純資産は他社のように急増しているわけではなく、投資家からは無視されているに近い。分配金は年1回だが、2009年から出し続けている。その中身は収益外からではあるが、翌期繰越分配対象額には余裕がある。
この投信が組み入れている株式だが、業種別では銀行が19.0%とトップで、次いで自動車・ソフトウエァ・素材が続く。数年前まではエネルギーや不動産も上位に来ていただけに、銘柄の変更が随時行われているのは間違いない。
とはいえ個別銘柄ではICICI銀行が数年間はトップの比率となっている。同行はインドで最大規模を誇りNY市場にも上場している。経営規模は大きく安心感があるが、株価は2014年に1600ルピーから急落して、今では300ルピーまで落ちている。配当に妙味があるのかもしれないが、銘柄としては如何なものか。。。2番手には日本でも展開しているインフォシス、3番手には冒頭でも記述したマルチスズキが入っている。
今後のインド経済の見通しだが、GDPは一時期ほどの伸びはないものの、概ね4~6%は成長しており先進国とは比較にならないほど伸びている。人口も増えているため長期でみれば成長が見込める状況にはある。他方で、財政収支はマイナス圏から浮上していない。外貨準備は昔よりも急増しているが、何か世界的な景気後退かショックが起きればルピー安になり、急激なインフレが襲う可能性は依然として残っている。ルピー安・円高にならないか為替動向には注意が必要だ。
また、インドの株式指数だが、各インド株式型の投信が上昇しているだけに大きく上昇していると思いがちだが、実は現在は2015年の最高値を少し上回ったに過ぎない。前年比でみれば大幅な上昇には違いないが、株価が伸び悩んでいるという解釈もできる。アメリカの金融緩和の縮小(正常化)によって世界的なマネーの巻き戻しが起きれば、インド株式にも相応の調整が来ることは忘れずにおきたいところだ。
次に純資産ランキング上位のインド株式型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。
商品名 | HSBC インドオープン |
イーストスプリング インド株式 |
アムンディ りそなインド |
野村 インド株投資 |
イーストスプリング インフラ株 |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 20,809円 | 16,387円 | 10,531円 | 26,320円 | 10,161円 |
騰落率 | +30.9% | +28.2% | +26.9% | +29.7% | +25.8% |
分配金再投資 騰落率 |
+32.7% | +28.2% | +26.9% | +32.1% | +25.7% |
手数料 | 3.0% | 0% | 3.0% | 3.0% | 1.5% |
信託報酬 | 2.0% | 1.22% | 1.13% | 2.0% | 1.22% |
信託財産 留保額 |
0% | 0.5% | 0% | 0.5% | 0.5% |
1年間の 分配金額 |
14,417円 | 0円 | 0円 | 18,997円 | 0円 |
分配金の 健全度 |
0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
3年間の 分配金額 |
-46,749円 | -41,600円 | -63,900円 | -38,009円 | -56,600円 |
3年後の 100万円 分配金除く |
2,242,947円 | 2,106,998円 | 2,047,415円 | 2,181,825円 | 1,990,866円 |
予想利回り | 9.9% (-45%~35%) |
7.3% (-40%~30%) |
5.6% (-35%~28%) |
8.9% (-40%~35%) |
4.6% (-40%~28%) |
上図で「HSBCインドオープン」を比較したが、基準価額・分配金再投資基準価額は他社よりも上昇している点に注目したい。ベンチマークに負けていると記述したが、それでも他社の同型の投信よりも優秀ということだ。その分だけ諸経費である手数料・信託報酬は高額だが、それでも3年後の100万円のパフォーマンス(あくまで直近1年のパフォーマンスが今後も続くと仮定した楽観的なものだが)では、諸経費を加味しても他社よりも良い数字になっている。諸経費分は運用のプラスで相殺できる計算だ。
最終予想利回りは9.9%としたが、値動きが激しいインド株式に加え、通貨ルピーも大きく上下に動く。ルピーが対円で1.5~2.0円のため、動いても見かけは大したことがないが、2.0円から1.5円まで円高になればパーセンテージでは25%の下落になる。トータルで直近の上昇幅と同じか、上回る赤字になる可能性も十二分にある点を忘れずにおきたい。とはいえ数字の上では他社の同型の投信よりは優秀というのは間違いない。
結論としては、そこかしこに不安点はあるものの数字面が優秀なため、検討に値する投信といえるだろう。ただ、マイナスになった時の赤字幅が相当に大きいため、全ての資産の中で数%程度に留めておくのが肝要だ。さらに購入に際しては短期か超長期で保有するかを考えておいた方が賢明だ。短期で早々に利益確定するか、下落があっても倍になるまで待つような長期スタンスのいずれかが必要だ。超長期で考えれば、中国を越えて世界トップクラスの人口になるインドは、英語力やITに長けた国民性もあり投資先としての魅力はある。どちらかを熟慮のうえで購入するか否かを判断するといいだろう。