イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド/ イーストスプリング・インベストメンツ

イーストスプリング・インベストメンツ/イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド
オススメ度:
1
運用会社:
イーストスプリング・インベストメンツ(旧 PCAアセット)
商品名:
イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド
地域/決算:
インド / 年2回
対象資産:
株式
基準価額:
10,161円(2017年7月)
手数料:
1.5%(申込手数料 ※SBI証券) 1.22%(信託報酬)

イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンドは他社と比較すると?

この投信は「PCAインドインフラ株式ファンド」という名称だったが、PCAアセットがイーストスプリングへ名称変更したため「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」という名称になった。ただ、中身は変わらずインドのインフラ関連企業の株式に投資している。さて、過去の分配金履歴を振り返ると2008年5月から分配金は0円が続いている。おそらく今後も分配金は0円の可能性が高い。

PCAインド・インフラ株式ファンドの基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社のインド株式型の投信と同様に2015年を底に上昇してきている。分配金は2008年から出てはいないが、それ以前に出ていたようで基準価額と分配金再投資基準価額は乖離している。以前のように急速に純資産が増えるようなことがあれば、再び分配金が出る可能性がある。

純資産は横ばいか微増に留まっている。野村のインド株式型の投信は急激に増加しているが、これは販売会社のスタンスの違いということになりそうだ。

PCAインド・インフラ株式ファンドの国別上位構成銘柄

この投信が投資している株式銘柄だが、業種では名称の通り資本財(インフラ関連)がトップの29%だ。次いで他の投信と同様に銀行・素材などが高比率だ。かつては業種比率で銀行がトップで2位はエネルギーだったが、それが組み替えられたようだ。

ただ、個別銘柄の上位では銀行業のICICI銀行とアクシス銀行がワンツーで、3位に運輸業のインド・コンテナ(略称CONCOR)がランクインしている。同社は1988年の設立ながらインドで鉄道貨物の運輸に加え、港湾・航空貨物の管理でもマーケットリーダーとなっている。4位のブハルティ(バーティ)エアテルはインド全土で通信網を敷いている通信会社だ。同社の携帯電話の契約者数はインドで長らく1位をキープしており、アジア・アフリカを含めれば3億7千万人以上の利用者を抱えている。

インド経済のGDP等の経済指標

今後のインド経済の見通しだが、リーマンショック前は実質GDPで10%近い成長を見せていたが、現在では5~6%程度の成長に留まっている。それでも先進国と比べれば十分な成長率ではある。GDPの中身は民間消費が大部分を占めているが、統計誤差も相当に大きい点には注意が必要だろう。

さらに慢性化している停電、鉄道等の輸送面での不安、天候不順による農業への打撃、社会的に根強く残るカースト問題等の懸念点が残っている。いずれも改善されつつあるが、インドは新興国という点は忘れずにおきたい。

次に純資産ランキング上位のインド株式型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。

商品名 HSBC
インドオープン
イーストスプリング
インド株式
アムンディ
りそなインド
野村
インド株投資
イーストスプリング
インフラ株
基準価額 20,809円 16,387円 10,531円 26,320円 10,161円
騰落率 +30.9% +28.2% +26.9% +29.7% +25.8%
分配金再投資
騰落率
+32.7% +28.2% +26.9% +32.1% +25.7%
手数料 3.0% 0% 3.0% 3.0% 1.5%
信託報酬 2.0% 1.22% 1.13% 2.0% 1.22%
信託財産
留保額
0% 0.5% 0% 0.5% 0.5%
1年間の
分配金額
14,417円 0円 0円 18,997円 0円
分配金の
健全度
0% 0% 0% 0% 0%
3年間の
分配金額
-46,749円 -41,600円 -63,900円 -38,009円 -56,600円
3年後の
100万円
分配金除く
2,242,947円 2,106,998円 2,047,415円 2,181,825円 1,990,866円
予想利回り 9.9%
(-45%~35%)
7.3%
(-40%~30%)
5.6%
(-35%~28%)
8.9%
(-40%~35%)
4.6%
(-40%~28%)
インド株式型投資信託の比較表(HSBCインドオープン・イーストスプリング インド株式・アムンディ りそなインド・野村インド株投資・イーストスプリング インフラ株)

上図で「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」を比較したが、基準価額は25%という素晴らしい上昇を見せている。他のタイプの投資と比較すれば上出来の数字だが、同じインド株型の投信と比較すれば物足りない。インフラ関連の株式しか保有しないというのが、パフォーマンス面で裏目に出ているのかもしれない。手数料は1.5%と安く、信託報酬も安価な部類には入るのは評価できそうだ。

100万円を3年間投資した場合だが、今までと同じ投資環境が継続すれば100万円は倍近くになるが、その数字も他社よりも少ない。さらに、今からも同じ投資環境が継続するとは限らない。インド株式は新興国の株式であり、通貨ルピーも大きく上下に動く。ルピーは対円で1.5~2.0円だが、2.0円から1.5円まで円高になるなどはザラにある。この円高も見かけは小さいが、パーセンテージでは25%の下落になる。プラス幅が真反対のマイナス幅になる可能性にも留意が必要だ。

結論としては、直近1年のパフォーマンスは悪くはないが、それでも他社のインド株式投信には劣るためイマイチな投信といえる。同じインド株式に投資するなら、よりパフォーマンスの良い投信に投資した方が賢明だ。ただ、重ねてになるが値動きの激しい新興国という点に注意が必要だ。他社のインド株式投信の購入を考えている人でも、投資額は最小限に抑えた方が賢明だ。