新生・UTIインドファンド/ 新生インベストメント・マネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 新生インベストメント・マネジメント
- 商品名:
- 新生・UTIインドファンド
- 地域/決算:
- インド / 年1回
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 17,346円(2017年7月)
- 手数料:
- 2.0%(申込手数料 ※楽天証券) 1.14%(信託報酬)
新生・UTIインドファンドは想定利回りは高いが他社と比較すると?
この投信はインド企業の株式に投資し、その配当・売買益等で運用している。ファンド・オブ・ファンズ形式のため、実際の投資先は「Shinsei UTI India Fund」というモーリシャス籍の円建て外国投資法人となる。株価上昇と円安はプラスに働き、株価下落と円高はマイナスに働く。
まず基準価額だが、現在ではリーマンショック前の高値である14000円をも超える水準にある。他社の同じタイプの投信も最高値圏にあるだけに珍しいことではないが、今の水準がバブルか、大幅下落の前の最後の高値だともいえなくもない。また、ここ数年では通貨ルピーが大幅に売られることはないが、ひとたび円高になれば半値近くまで行くこともあるだけに油断はできない。
分配金は2008年から出ておらず、分配金再投資基準価額との乖離は小さいが、過去に800円だけ分配金を出していたことはある。純資産は最悪期であった2009年に近い水準に留まっている。他社では急増しているものもあるだけに、少し寂しい状況ともいえる。
この投信が投資する株式銘柄だが、業種別では他社と同様に銀行・金融がトップだ。次いで消費財・ヘルスケア・自動車が高比率だ。かつてはインドの代名詞である情報通信サービスもトップ3に入っていたが、今では4位にまで後退している。
個別銘柄でトップの比率なのは金融サービスの「バジャジ・ファイナンス」だ。同社は住宅ローンを始め金ローン(ゴールドローン)や医師向けのローンといった多様な個人向けローンを主軸にしている。次いで比率が高いのもインダスインド銀行・イエス銀行と金融業がトップ5を占めている。それも前述の3銀行は、他社であまり見かけない銘柄のため独自性がある構成銘柄といえる。
今後のインド経済の見通しだが、実質GDP成長率では個人消費と政府支出が絶妙のバランスで支えあって、5~6%程度の成長を繰り返している。これに加えてモディ政権の経済政策が相まって株価は最高値圏にある。
ただ、GDPで見れば堅調に見えるインド経済だが、足元の物価は前年同月比2%程度に低迷している。先進国であれば上出来の数字だが、これだけの経済成長をしているため物価の伸びは物足りない。さらに製造業・サービス業のPMIでもサービス業の振れが大きく、節目の50を割ることもあり足元では黄色信号が出つつある。
次に純資産ランキング上位のインド株式型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。
商品名 | HSBC インドオープン |
イーストスプリング インド株式 |
アムンディ りそなインド |
野村 インド株投資 |
新生UTI インドファンド |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 20,809円 | 16,387円 | 10,531円 | 26,320円 | 17,346円 |
騰落率 | +30.9% | +28.2% | +26.9% | +29.7% | +27.4% |
分配金再投資 騰落率 |
+32.7% | +28.2% | +26.9% | +32.1% | +27.3% |
手数料 | 3.0% | 0% | 3.0% | 3.0% | 2.0% |
信託報酬 | 2.0% | 1.22% | 1.13% | 2.0% | 1.14% |
信託財産 留保額 |
0% | 0.5% | 0% | 0.5% | 0.5% |
1年間の 分配金額 |
14,417円 | 0円 | 0円 | 18,997円 | 0円 |
分配金の 健全度 |
0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
3年間の 分配金額 |
-46,749円 | -41,600円 | -63,900円 | -38,009円 | -59,200円 |
3年後の 100万円 分配金除く |
2,242,947円 | 2,106,998円 | 2,047,415円 | 2,181,825円 | 2,067,799円 |
予想利回り | 9.9% (-45%~35%) |
7.3% (-40%~30%) |
5.6% (-35%~28%) |
8.9% (-40%~35%) |
4.6% (-40%~30%) |
上図で「新生・UTIインドファンド」を比較したが、基準価額の上昇幅は他タイプの投信であれば十分だが、上図の中では平凡な数字になっている。むしろ若干だが同じタイプの中では見劣りする数字ともいえる。諸経費面では、上図では特に目立たない手数料・信託報酬だが、こちらは逆に他タイプの投信よりも高めともいえる。
100万円を3年間運用した場合だが、ここ1年のパフォーマンスが維持できれば2倍の200万円になる計算だ。とはいえ、そう上手くいかないのが相場の常であり、上下があってよくて5%のパフォーマンスが妥当なところだろうか。もちろん、上手く逃げられれば予想よりも良いパフォーマンスになるが、逆にマイナス30~40%の運用成果になる可能性も十二分にある。
結論としては、構成銘柄などで特色があり悪くは無いが、いかんせん数字面で他社に劣るため微妙だ。同じ新興国の大きなリスクをとるなら少しでもパフォーマンスの良い投信を選ぶのが人情だろう。また、重ねてになるが株価に加え通貨ルピーの影響を大きく受けるため、購入するにしても全体の資産の数%に留めておいた方が賢明だ。インド自体のリスクもさることながら、何か金融危機が起きたときに真っ先に売られるのが新興国だからだ。注意深く価格動向をウオッチしておく必要があるだろう。