新光ピュア・インド株式ファンド/ 新光投信
- オススメ度:
- 運用会社:
- 新光投信
- 商品名:
- 新光ピュア・インド株式ファンド
- 地域/決算:
- インド / 年1回
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 13,849円(2017年7月)
- 手数料:
- 2.0%(申込手数料 ※岡安証券) 1.1%(信託報酬)
新光ピュア・インド株式ファンドは信託報酬は安いが安い分だけ・・・?
この投信はインド企業の株式に投資し、その配当・売買益等で運用している。特にインド有数の財閥(自動車から金融まで手広い)であるTATAグループと連携している点で他社と異なる。さらに上場企業以外も投資対象にするため他社にない爆発力も秘めている。さて、過去の分配履歴を振り返ると、分配金は年1回だが2011~2012年は0円であった。2007年には2,400円と高額な分配金を出してきたが、その後は激減していき2010年に出した50円が直近で最後の分配金であった。
まず基準価額だが2015年に大きく下落したが、今では下落前の水準まで戻ってきている。他社のインド株式型投信と同様だが、他社とは異なり分配金再投資基準価額との乖離が大きい。これは2007年に2400円という高額な分配金を出し、2013年までは無配だったが2014・2015年に1000円以上の分配金を出した結果だ。そのため分配金再投資基準価額ではリーマンショック前の水準を超えているが、基準価額では超えていない。
純資産は左図にはグラフがないが、現在は概ね200億円前後で停滞している。2011年の500億円からは半減し、2007年時の1,000億円からは5分の1になっている。もはや反転するとは考えにくい。
次に、この投信が投資している株式だが、業種別では他社投信と同様に金融・銀行への投資比率が高く、次いで自動車・非耐久消費財が高比率だ。かつてはインドのお家芸であるソフトウェア(及び情報通信)が高比率だったが、現在ではトップ5から消えている。
個別銘柄では他社でも見かける大手銀行のHDFC、たばこ・ホテル経営から線香まで手がけるITC、日本でもお馴染みの自動車のスズキのインド子会社マルチスズキなどが名を連ねている。
今後のインド経済の見通しだが、現在はGDP成長率が概ね5~7%の伸びをしている。以前は自動車販売台数の伸びが前年比で鈍化していたが、足元では持ち直してきており、前述したマルチスズキなどの自動車メーカーにとってはポジティブな状況にある。
しかし、インドは新興国であるため不安定な要素も散見される。高額紙幣廃止の際には庶民の足である二輪車の販売台数が急減し、物品サービス税は改革で簡素化し切れず物によって5%・12%・18%・28%が係る状態にある。政治の影響が大きいのは、かつてと同様のようだ。さらに株価は上昇しているが物価は伸びておらず、グローバルデフレの渦中に巻き込まれている感もある。
次に純資産ランキング上位のインド株式型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。
商品名 | HSBC インドオープン |
イーストスプリング インド株式 |
アムンディ りそなインド |
野村 インド株投資 |
新光 ピュア・インド |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 20,809円 | 16,387円 | 10,531円 | 26,320円 | 13,849円 |
騰落率 | +30.9% | +28.2% | +26.9% | +29.7% | +23.5% |
分配金再投資 騰落率 |
+32.7% | +28.2% | +26.9% | +32.1% | +23.4% |
手数料 | 3.0% | 0% | 3.0% | 3.0% | 2.0% |
信託報酬 | 2.0% | 1.22% | 1.13% | 2.0% | 1.15% |
信託財産 留保額 |
0% | 0.5% | 0% | 0.5% | 0.5% |
1年間の 分配金額 |
14,417円 | 0円 | 0円 | 18,997円 | 0円 |
分配金の 健全度 |
0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
3年間の 分配金額 |
-46,749円 | -41,600円 | -63,900円 | -38,009円 | -59,500円 |
3年後の 100万円 分配金除く |
2,242,947円 | 2,106,998円 | 2,047,415円 | 2,181,825円 | 1,883,653円 |
予想利回り | 9.9% (-45%~35%) |
7.3% (-40%~30%) |
5.6% (-35%~28%) |
8.9% (-40%~35%) |
3.9% (-40%~25%) |
上図で「新光ピュア・インド株式ファンド」を比較したが、まず基準価額は1年前から23%の上昇を果たしたが、この伸び率は上図でも最下位だ。手数料は2.0%と他社と同レベルだが、信託報酬が新興国が投資対象なのに安めなのは一応はプラスだ。とはいえ、それだけでは他社との差は埋められず、直近1年のパフォーマンスが3年継続したなら他社とのパフォーマンスは大きく水をあけられる。もちろん、プラスではなく逆に振れる可能性も大いにある。その際にはプラス分が丸々マイナスになると考えた方がいいだろう。ハイリスク・ハイリターンである点は他社の投信と同様に考えておく必要がある。
結論としては、他のインド株式型の投信よりも数字が劣るためイマイチな投信といえそうだ。同じハイリスクを負うなら少しでもパフォーマンスが良好なものを選んだ方が賢明だ。重ねてになるが、直近は数十%の驚異的な上昇をしているが、これがマイナスになる可能性も十二分にある点を忘れずにおきたい。超長期の目線で保有するか、超短期で逃げるかも購入前には熟慮しておく必要もありそうだ。