ブラックロック・インド株ファンド/ ブラックロック・ジャパン

ブラックロック・ジャパン/ブラックロック・インド株ファンド
オススメ度:
2
運用会社:
ブラックロック・ジャパン
商品名:
ブラックロック・インド株ファンド
地域/決算:
インド / 年1回
対象資産:
株式
基準価額:
13,270円(2017年7月)
手数料:
3.0%(申込手数料 ※大和証券) 1.7%(信託報酬)

ブラックロック・インド株ファンドは他社より明らかに数字が劣る!?

この投信は、ブラックロックが選定するインド企業の株式に投資し配当・売買益で運用している。為替ヘッジをしていないため、株価変動だけでなく為替要因にも損益が左右される。ブラックロックは聞き慣れないかもしれないが、3兆ドル(約225兆円)という一国の国家予算にも匹敵する運用資産を持っており、世界最大手の資産運用会社として知られている。分配金は2014年は1500円と高額だったが、それ以降は500円のことが多い。

ブラックロック・インド株ファンドの基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社のインド株式型投信と同様の動きをしており、2015年の下落前の水準まで戻っている。直近1年だけで考えれば上出来の上昇だ。分配金再投資基準価額は基準価額と同じにちかいが、2009~2010年に700円の分配金を出した実績があり、僅かに乖離しているのは間違いない。

他社の同型投信との比較は後述するが、ベンチマークにしているS&PとMSCIの数字に劣っているのは頂けない。ベンチマークの1つはリーマンショック前の水準を超えているがにも関わらず、この投信は超えていない。運用力の差ということになるのか。

純資産は横ばいが続いている。これだけの上昇にも関わらず個人投資家からは無視されている格好だ。他社の投信は純資産が増加しているものもあるのだが。。。

ブラックロック・インド株ファンドの業種比率及び上位構成銘柄

次に、この投信が投資している株式だが、業種別では銀行・素材・資本財の順に比率が高い。数年前までは他社のインド株式型の投信とは異なり、エネルギーがトップでソフトウェア・自動車も相当に高比率だったが方針転換したようだ。業種別では他社と大きな差はない構成になった。

個別の株式銘柄ではインドの大手銀行の1つであるインドステイト銀行、インド最大のガス会社であり国有企業でもあるGAIL Indiaがワンツーで高比率だ。他社にない独自性のある銘柄だが、思ったほど最近は株価が上昇をしていない。かつて高比率だったエネルギー会社の「Reliance Industries」や「Bharat Petroleum」は銘柄群から消えている。

インド経済のGDP等の経済指標

今後のインド経済の見通しだが、インドは新興国らしく高い経済成長率をしている。いずれは中国を抜くと言われている人口といい、長期でみればポジティブな材料が多いのは確かだ。現に株価はモディ首相の経済政策も相まって最高値を更新している。

ただし、インドのGDPは度重なる産出基準の改定などで信憑性に疑問符が投げかけられており、さらに足元の経済指標もPMIは節目の50を割ることもあり、一点の曇り無しということはない。長期で上昇しても短期では激しい上下があることは覚悟しておく必要がある。

次に純資産ランキング上位のインド株式型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。

商品名 HSBC
インドオープン
イーストスプリング
インド株式
アムンディ
りそなインド
野村
インド株投資
ブラックロック
インド株
基準価額 20,809円 16,387円 10,531円 26,320円 13,270円
騰落率 +30.9% +28.2% +26.9% +29.7% +17.7%
分配金再投資
騰落率
+32.7% +28.2% +26.9% +32.1% +22.1%
手数料 3.0% 0% 3.0% 3.0% 3.0%
信託報酬 2.0% 1.22% 1.13% 2.0% 1.79%
信託財産
留保額
0% 0.5% 0% 0.5% 0%
1年間の
分配金額
14,417円 0円 0円 18,997円 37,679円
分配金の
健全度
0% 0% 0% 0% 16.4%
3年間の
分配金額
-46,749円 -41,600円 -63,900円 -38,009円 29,337円
3年後の
100万円
分配金除く
2,242,947円 2,106,998円 2,047,415円 2,181,825円 1,691,487円
予想利回り 9.9%
(-45%~35%)
7.3%
(-40%~30%)
5.6%
(-35%~28%)
8.9%
(-40%~35%)
3.6%
(-30%~25%)
インド株式型投資信託の比較表(HSBCインドオープン・イーストスプリング インド株式・アムンディ りそなインド・野村インド株投資・イーストスプリング インフラ株)

上図で「ブラックロック・インド株ファンド」を比較したが、基準価額は1年前から大きく上昇し、分配金が出ているため分配金再投資基準価額だと更に上昇している。ただし、他社のインド株式型の投信と比較すると明らかにパフォーマンスで劣る。また、手数料は新興国に投資する投信では珍しくない3%だが、信託報酬は上図の中でも高めの設定になっている。さらに分配金の原資を見ると、健全度は16%でしかない。そのため分配金は収益であげたものではなく、大半は資産を削って出していることになる。

各種数字で厳しいうえに、100万円を3年間運用した場合の数字も基準価額・分配金再投資基準価額の伸びが他社よりも劣るため大きなパフォーマンスの差を生み出している。もちろん、上図の数字は最大限ポジティブな数字を入れたもののため、経済情勢によっては予想利回りレンジの逆方向を意識しておく必要がある。つまりはマイナス30%のパフォーマンスになり、大きな赤字を生み出す可能性もあるということだ。

結論としては、数字面で厳しくオススメし難い投信といえそうだ。もちろん、他のインド株式型の投信とは構成銘柄が異なるため、この投信だけ今後良いパフォーマンスになる可能性は無くはない。とはいえ現状での差を鑑みると、その可能性も儚い夢でしかないように見える。この投信を検討しているなら、まずは他の投信も検討してみた方が賢明だろう。