グローバル・ハイインカム・ストック・ファンド(グロハイ)/ 野村アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 野村アセットマネジメント
- 商品名:
- グローバル・ハイインカム・ストック・ファンド(グロハイ)
- 地域/決算:
- 海外 / 年4回(3ヶ月に1回)
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 6,212円(2012年12月21日付け)
- 手数料:
- 2.0%(申込手数料 ※ワイエム証券) 1.10%(信託報酬)
野村グローバル・ハイインカム・ストックは近々の実績は悪くないが?
この投信は、欧米・欧州・アジアオセアニアに資産を3分割して株式に投資し分配金を出している。特に為替ヘッジなどは行っていない。為替ヘッジやコールオプションを利用した投信には、同じ野村であれば「野村グローバル高配当株プレミアム」が存在している。他社のように業種をエネルギー・資源関連に集中していない点も特徴といえる。さて、過去1年の分配金履歴を振り返ると、3ヶ月に1回(年4回)で80~100円を出している。長らく100円をキープしてきたが、2012年10月に基準価額の低迷を勘案して分配金を減額したようだ。
まず基準価額だが、2009年から6,000円前後で推移してきたが、米国債格下げから端を発した欧州債務問題、米国・中国経済の失速などのマイナス局面に抵抗できず下落し、5,000円近辺が定位置となってしまった。ただ、分配金を減額し市場環境も改善してきた10月から基準価額は上昇し、減配した割には累積投資額も伸びている。それでも、05~06年に購入した人には、未だに含み損がある状況だ。
純資産は基本的に減少している。2007年がピークで、ピーク時の約4分の1の750億まで減少した。投資家離れは間違いなく、このままの減少が続くと分配金維持にも悪影響が出てくる可能性がある。
投信に組み入れている株式銘柄だが、国別ではアメリカ・イギリス・イギリス・オーストラリア・日本の順に高比率となっている。その中でも米国の比率が30%と高く、同国の株式市場には大きく影響を受けることになる。ただ、他社の海外株式型投信の中には、50%近い比率に設定しているものもあり、それらと比較すれば影響は軽微ともいえる。
上位の個別銘柄では、豪州のメルボルンに本社を置くエネルギー鉱業企業である「Bhp Billiton」がある。同社の売上は08年の594億ドルが最高で、09年は激減したが、その後は回復基調にある。その他、英国に本社を置く「BP PLC」はメキシコ湾原油流出事故を起こしたエネルギー企業だ。2010年は補償金などで利益は6分の1の37億ドルにまで落ち込んだが、その後は徐々に回復している。どちらも今後の躍進に期待は持てる銘柄だ。
今後の見通しだが、投資比率がトップの米国経済は、緩やかな回復の途上にある。住宅着工件数が底打ち、失業率の改善、小売売上高が微増とプラス要因はあるが、企業の景況感や製造業の指数が振るわない。これらの数値が上昇してきたなら、本格的な好景気に進むといっていいだろう。2番手のイギリスは、完全に低迷状態にある。失業率は依然として高く、鉱工業の景況感も悪く、結果的に内需も振るっていない。こちらは景気回復までには、近隣の欧州経済が回復と共に、かなりの時間を要することが予想される。また、各国の経済情勢の詳細は、他投信のページになるが、米国は「野村ドイチェ・高配当インフラ株」を、英国は「大和グローバルハイインカム」を、オーストラリアは「野村グローバル・プレミアム」を参照してほしい。
次に、他社の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | ピクテ グローバルインカム 株式ファンド |
ピクテ 新興国インカム ファンド |
野村ドイチェ 高配当インフラ株 レアル |
大和 グローバル高配当 オープン |
野村 グローバル ハイインカム |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 4,347円 | 4,536円 | 8,178円 | 3,998円 | 6,212円 |
増減率 | -4.5% | +0.4% | -4.0% | +13.3% | +19.4% |
手数料 | 2.0% | 2.0% | 3.5% | 0% | 2.0% |
信託報酬 | 1.10% | 1.15% | 0.83% | 1.08% | 1.10% |
信託財産 留保額 |
0% | 0.5% | 0.5% | 0% | 0% |
分配利回り | 12.7% | 18.7% | 18.2% | 1.9% | 4.1% |
3年分の 利益額 |
361,079円 | 535,738円 | 507,367円 | 57,645円 | 101,540円 |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
1,231,966円 | 1,546,395円 | 1,392,649円 | 1,512,912円 | 1,804,417円 |
最終予想 利回り |
7.2% | 15.6% | 11.6% | 14.8% | 21.7%? |
上図で「野村グローバル・ハイインカム(グロハイ)」を比較したが、特筆すべきは基準価額の上昇幅といえる。1年前の2011年12月には5,202円であったが、2012年12月には6,212円にまで回復し、その上昇幅は20%近い数字だ。2012年10月の分配金の減額と市場環境の改善、2012年後半に円安が進行したのが3つの相乗効果で押し上げたといえる。他の投信も分配金以外は同じ状況だが、ここまでの上昇はしていない。この点は素直に評価しても良いだろう。一方で、分配金は減額したのと毎月分配ではなく年4回という点で、他社には見劣りする。ただし、基準価額と分配金を加味して計算した最終予想利回りでは、驚異の20%という数字を超えている。4年で運用資産が2倍になる計算だが、こんなポジティブな環境が4年も継続するわけがなく、1年間継続するのも難しいだろう。最終予想は10%以下が妥当なライン、為替次第ではプラマイゼロかマイナスというのが妥当だろう。
結論としては、2013年以降も好景気が続くと微かな希望を持てれば良いが、それ以外の人はスルーしていい投信だろう。特に海外株式型の投信は、債券型などの投信よりも景気の影響(=株式市場の動向)に大きく影響を受ける。それを考えると、実績をベースにした予想利回りとはいえ、このパフォーマンスを継続できるとは考えにくい。短期で勝負してもいいが、手数料を考えると、2%の上昇がないと損をするため、最低でも3ヶ月以上の保有で基準価額が上昇を願うか、分配金で確実に元をとるなら半年間は保有する必要がある。そこまで忙しなく取引するのは、安定した長期保有を旨とした投信の基本的な理念に反するため、オススメはしないが。。。