ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド 毎月分配型(グロイン)/ ピクテ投信投資顧問
- オススメ度:
- 運用会社:
- ピクテ投信投資顧問
- 商品名:
- ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド 毎月分配型(グロイン)
- 地域/決算:
- 海外 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 4,347円(2012年12月21日付け)
- 手数料:
- 2.0%(申込手数料 ※日本アジア証券) 1.10%(信託報酬)
ピクテ・グローバル・インカムは海外株式型で資産トップはダテじゃない!?
この投信は、世界各国の高配当を期待できる株式に投資し分配金を出している。投資しているのは、電力・ガス・水道・ガス・通信といった公益銘柄、俗に言うインフラ関連に投資している。国は限定せず、日本を含めたアジアから欧州・北米・新興国の株式に幅広く投資している旨を謳っている。とはいえ、世界的に米国に有力企業が集まっているため、米国への投資比率は43%と高く、次いでヨーロッパが約30%を占めている。また、過去1年の分配履歴では分配金は毎月50円を出している。2010年4月から維持している分配額で、その点は評価できる。
まず基準価額だが、2008年のリーマンショックで40%近く下落し、その後は6,000円近辺で推移してきたが、2011年の欧州債務懸念で4,000円台に突入した。チャートだけ見ればジリ貧状態だ。累積投資額(分配込みの基準価額)も10,000円を維持するのが精一杯で、設定時の2005年に購入した人も利益は僅かという状態だ。上昇気配が無い今、このまま下落しても不思議ではない。
純資産も、基準価額と同様に減少を続け、現在の約5000億円はピーク時の5分の1だ。毎月分配型の投信は純資産を削って分配金を出す傾向が強い点を考えれば、ここまで減少すると30~40円への分配金の減配の示唆とも考えられる。
次に投資先の国別比率は、冒頭でも述べた通り米国が40%とトップで、次いで欧州が30%、新興国が15%前後を占めている。2011年時には欧州への投資比率がトップだった時期もあり、その時期と比較すれば欧州への投資比率は確実に落としている。業種ではインフラ関連の業種が並んでいる。
個別銘柄に目を向けると「イタリア電力公社(エネル,ENEL)」がトップになっている。この銘柄がイタリアへの投資比率を高めている主要因だ。そのエネルはイタリア最大の電力会社で、かつては国営企業だったが、現在は政府を大株主にした一民間企業でミラノ証取に上場もしている。ヨーロッパ・ラテンアメリカへも進出し電力・ガスを供給し、売上は円換算で約6兆円前後を堅持している。ただし、その株価は2008年のピークから半減し現在は3ポイント前後と、非常に厳しい状況にある。
経済見通しでは、まず構成比率がトップの米国経済だが、現在は緩やかな回復基調である点は疑いようがない。雇用統計が回復しサブプライム問題から住宅着工が2012年に上向き始めたのが大きい。ただし、企業の景況感や製造業の景況を示す鉱工業生産は慎重な数字で、これらが上昇すれば本格的な好景気に向けて動き出す見通しが立つ。
その一方、一時期の債務問題で大きく景気後退した欧州経済だが、未だに景気は平均を大きく下回る。特に厳しいのがイタリアで、債務問題の震源地でもあるスペインよりも景気は悪い。今まで唯一の好景気国であったドイツもマイナス圏に突入し、欧州景気に暗雲が立ち込めた。しかし、まもなく反発を始め、再び欧州経済を上向きに引っ張っている。ただし、ドイツでも製造業の中心である自動車が、新車登録台数で見ると低調で楽観はできない。この投信のパフォーマンスにも悪影響なのは間違いない。
次に、他社の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | ピクテ グローバルインカム 株式ファンド |
ピクテ 新興国インカム ファンド |
野村ドイチェ 高配当インフラ株 レアル |
大和 グローバル高配当 オープン |
野村 グローバル高配当 プレミアム |
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基準価額 | 4,347円 | 4,536円 | 8,178円 | 3,998円 | 11,079円 |
増減率 | -4.5% | +0.4% | -4.0% | +13.3% | +8.9% |
手数料 | 2.0% | 2.0% | 3.5% | 0% | 4.0% |
信託報酬 | 1.10% | 1.15% | 0.83% | 1.08% | 0.88% |
信託財産 留保額 |
0% | 0.5% | 0.5% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 12.7% | 18.7% | 18.2% | 1.9% | 12.1% |
3年分の 利益額 |
361,079円 | 535,738円 | 507,367円 | 57,645円 | 318,527円 |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
1,231,966円 | 1,546,395円 | 1,392,649円 | 1,512,912円 | 1,609,064円 |
最終予想 利回り |
7.2% | 15.6% | 11.6% | 14.8% | 17.1% |
上図で「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」を比較したが、基準価額は1年前の2011年の12月の4,552円から、2012年12月の4,347円までマイナス4%の下落と健闘している。他社ではプラスに転じているものもあるが、分配利回りで12%を出していることを考えれば、よく粘ったといえる。手数料・信託報酬は他社と横並びで大きな差異はない。基準価額の増減を加味した最終予想利回りも7%前後と悪くない。ただ、他社の数字と比較すると見劣りはする。また、冒頭でも述べた通り純資産の減少しており、2013年・2014年に分配金が減配される可能性は高い。仮に減配されれば、最終予想利回りは4~5%辺りに落ち着くかもしれない。
結論としては、数字面では物足りないため微妙だが、購入しても悪くはなさそうだ。米国への投資比率が高く、米国の株価が今後は上昇する可能性が高い点から今後の期待が持てる。また、このピクテのグロハイの純資産額は減少傾向にあるとはいえ、海外株式型の投信では未だトップでもある。純資産が大きいほど、分配金の減配までの時間を稼げるため、中長期で考えれば安定度でも他投信よりも評価できる。海外株式型の投信自体がリスクは高めだが、その中でもリスクを抑え目にするなら悪くはないだろう。
ただ、海外株式型の投信は、よくも悪くも世界各国の株式に投資しているため、世界的に好景気(=株高)にならなければ、爆発的なパフォーマンスの上昇は見込めない。数年置きに来る好景気まで耐える必要があり、そこまで我慢ができるかが問題だ。それよりも短中期でのリターンを狙うなら、ピクテの新興国インカムファンドを選んだ方が良いだろう。純資産も急増中で、現在の数字は驚異の数字を叩きだしている。資産運用で短期で利ざやを狙う投信を探している人は、こちらを狙った方が良いだろう。もちろん、新興国の株式という高いリスクを背負っているため、アセットアロケーション(資産配分)は低めにしておいた方が賢明だ。