ピクテ新興国インカム株式ファンド 毎月決算型(新興イン)/ ピクテ投信投資顧問
- オススメ度:
- 運用会社:
- ピクテ投信投資顧問
- 商品名:
- ピクテ新興国インカム株式ファンド 毎月決算型(新興イン)
- 地域/決算:
- 海外 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 4,536円(2012年12月21日付け)
- 手数料:
- 2.0%(申込手数料 ※楽天証券) 1.15%(信託報酬)
ピクテ・新興国インカムは新興国株式に投資してハイリスク・ハイリターン!
この投信は、世界各国の新興国の株式に投資し分配金を出している。投資する新興国は幅広く合計で24カ国に及び、それを中国を筆頭した高成長国、台湾を筆頭した準先進国、ブラジル・ロシアを始めとした資源国で構成されている。狙いどころは非常に良いファンドなのだが、ファンドが設定されたのがリーマンショックの2008年と最悪の船出で、初期から購入していた人は厳しい結果になっているだろう。過去1年の分配履歴では分配金は毎月75円を出している。さらに過去を遡ると、2010年台は30~50円、2011年前半は60円と、現在まで着実に増配している点は評価できる。
まず基準価額だが、現在はリーマンショック時に付けた底値圏の4,000円近辺を推移している。ここを維持できなければ、ズルズルと際限なく下落していく可能性もある。累積投資額(分配込みの基準価額)は2012年にあった欧州問題・中国経済失速などがあったが、それでも上昇している点は心強い。
ただし、それでも2011年時のブラジルを中心とした新興国が盛り上がった際の数値は抜けておらず、どこまで伸びるかが期待される。
純資産は、他社の海外株式型投信と異なり、2012年に急増している。これだけの増加となると、運用ではなく明らかに個人投資家の買い入れがあったのは間違いない。人気急上昇中の投信と言っていい。
次に投資先の国別比率だが、トップは中国の19%で、次いでブラジルの17.5%、ロシアの12%、台湾の12%までが10%を超える比率だ。この4カ国の合計で約60%を占めるため、この投信は4カ国の株式市場の動きに影響を受けるといえる。通貨でも4カ国の影響を受けるため、4通貨に対して円高が進行しなければ、パフォーマンスの向上に寄与する。ちなみに、中国は元(アメリカ曰く為替操作された通貨)ではなく香港ドルになっている。
個別銘柄ではロシアの「ガスプロム」がトップになっている。その名の通りガス、天然ガスを中心にロシアで展開している企業で、ロシアの天然ガス生産量の8割近いシェアを誇る。磐石のシェアを誇るのだが、近々はロシアの隣国である欧州経済が不振、さらに米国のシェールガス生産が採算を取れるレベルまで技術が進歩し、天然ガスの輸出拡大をしたことで、天然ガス価格が大きく下落している点が業績に大きな影を落としている。
この投信が投資する株式の20%を占める中国経済の見通しだが、その中国株式が上場する上海市場の株価指数は低調だ。節目である2,000ポイントを割り込む場面も見られている。だが、それでもリーマンショック後の安値は割り込んでいないため強さもある。近々の下落は政権交代で、不正で得た資金を株式に回していた権力者が、相次いで株式を現金に変えて海外に移したのが大きく影響している。政権が落ち着けば、株価はジリ上がりする可能性は高いといえよう。
また、実体経済の指標を見ると、さすがにGDP成長率は底を打った可能性が高い。GDPを押し下げていた輸出だが、景気悪化している欧州への輸出がマイナスと厳しく、次いで領土問題で関係悪化した日本のマイナスが大きい。また、企業の国内回帰が著しい米国向け輸出も弱い。欧州以外は今後も低調な可能性が高く、今が底ともいえる。さらに小売売上が回復基調で内需拡大が見込めるため、今後は緩やかな回復・成長が続くと予想される。
次に、他社の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | ピクテ グローバルインカム 株式ファンド |
ピクテ 新興国インカム ファンド |
野村ドイチェ 高配当インフラ株 レアル |
大和 グローバル高配当 オープン |
野村 グローバル高配当 プレミアム |
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基準価額 | 4,347円 | 4,536円 | 8,178円 | 3,998円 | 11,079円 |
増減率 | -4.5% | +0.4% | -4.0% | +13.3% | +8.9% |
手数料 | 2.0% | 2.0% | 3.5% | 0% | 4.0% |
信託報酬 | 1.10% | 1.15% | 0.83% | 1.08% | 0.88% |
信託財産 留保額 |
0% | 0.5% | 0.5% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 12.7% | 18.7% | 18.2% | 1.9% | 12.1% |
3年分の 利益額 |
361,079円 | 535,738円 | 507,367円 | 57,645円 | 318,527円 |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
1,231,966円 | 1,546,395円 | 1,392,649円 | 1,512,912円 | 1,609,064円 |
最終予想 利回り |
7.2% | 15.6% | 11.6% | 14.8% | 17.1% |
上図で「ピクテ新興国インカム」を比較したが、基準価額は前述のチャートでも横バイであったが、1年前の2011年12月の4,552円から2012年12月の4,536円まで0.4%と極僅かだが上昇していた。他の同型の投信はマイナスが多いことを考えれば上出来だろう。基準価額をマイナスにしていないわりに、分配利回りも18%と他社に見劣らない高い数字だ。手数料・信託報酬は、特別に他社より安価というわけではない。基準価額の増減を加味した最終予想利回りでは、15%超と非常に優秀な数字となった。冒頭でも述べたが、分配金は増配傾向にあり、単純に数字だけで考えると非常に優秀な投信といえる。
結論としては、利回りなどの数字重視であれば、最もオススメに近い投信といえるだろう。純資産も増加傾向にあるのも、今後の分配金の維持を考えればプラス材料といえるだろう。
ただし、昨今では度重なる世界的なリスクオフの局面(欧州問題・中国経済失速など)により、個人投資家の間では安定重視の投信の人気が高まっている。2013年・2014年と純資産が増加し続けるかは微妙だ。純資産が減少に転じれば、純資産を削って分配金を出す傾向が強い毎月分配型の投信では、順次減配していくのは間違いない。そうなれば2013年が終わってみれば10%前後の利回りになる可能性も十分にある。また、投資地域が広い点もネックだ。投資する地域が広がるほどにリスクヘッジにはなるが、その分だけ世界的に好景気にならなければ大きなパフォーマンス上昇は見込めない。さらに、この投信の場合には新興国の株式というハイリスクの株式を中心にしている。カントリーリスクもあるが、資源国の比率も高く資源価格の動向次第ではパフォーマンスの大幅な悪化の可能性がある。数字面ではオススメしたいが、相応のリスクを考慮して、自分の資産の中でも少なめの配分(アセット・アロケーション)にした方が賢明だろう。