野村グローバル高配当株プレミアム (通貨選択型) 通貨セレクトコース(毎月分配型) / 野村アセットマネジメント

野村アセットマネジメント・野村グローバル高配当株プレミアム (通貨選択型) 通貨セレクトコース(毎月分配型)
オススメ度:
3
運用会社:
野村アセットマネジメント
商品名:
野村グローバル高配当株プレミアム (通貨選択型) 通貨セレクトコース
地域/決算:
海外 / 毎月分配型(年12回)
対象資産:
株式
基準価額:
11,079円(2012年12月21日付け)
手数料:
4.0%(申込手数料 ※ふくおか証券) 0.88%(信託報酬)

野村グローバル高配当株プレミアムは歴史は浅いが今後の期待はある?

この投信は、世界各国にある企業の中で高配当の株式に投資し分配金を出している。さらに、この投信の名称の由来となっているコールオプションを利用した株式プレミアム戦略で、株式の配当とは別にプレミアムも利益に加えるのが特長といえる。面倒な方は読み飛ばして結構だが、株式プレミアム戦略を軽く説明すると、投資する株式のコールの売却(≒プット ※売る権利)を組み入れることで、株式が予想以上に下落した際にはコールの売却で収益を得るということだ。普通は株価が下落すれば投信の基準価額が下落するが、それを抑えるための戦略(理論)といっていい。ただ、個人投資家は詳細な仕組みの理解よりも、パフォーマンスを見て購入すれば問題ない。さて、過去1年の分配金履歴を振り返ると毎月120円を出している。ただ、この投信が誕生したのが2011年11月のため、真価が問われるのは今後の運用成績次第だ。

野村グローバル高配当株プレミアム (通貨選択型) 通貨セレクトコース(毎月分配型)の基準価額と累積投資額と純資産の推移チャート

基準価額だが、さすがに歴史が浅いだけあって、まだスタート時の10,000円は割り込んでいない。ただし、2012年5月の米国・中国経済の失速感が露になった際には大きく下落している。この間には円安も進行したのも寄与した可能性が高いが、どちらにせよ安定感には乏しい。コールの売りを入れているとはいえ、やはり大幅な下落には耐え切れないのは明白ということだ。

純資産は設定から微増で、伸び悩んでいる印象だ。販売会社が多くないのもあるが、個人投資家からの人気は高くはないのだろう。ただ、このままのパフォーマンスを維持して利益が出し続けられるようなら、注目を浴びる可能性は否定はできない。

野村グローバル高配当株プレミアム (通貨選択型) 通貨セレクトコース(毎月分配型)の国別比率・通貨比率・短期金利・上位構成銘柄

投資している株式の比率だが、地域別では米国・欧州・アジアで約3割ずつ投資している。ただ、通貨別ではユーロは15%程度のため、ユーロ圏外の国(スイス・イギリス等)の企業へも投資していると分かる。また、この投信は高金利の通貨で為替ヘッジをしているが、高金利の通貨であるインドのルピーとロシアのルーブルが25%と高比率だ。これらの通貨に対して円安が進行すれば、この投信にはプラスに働く。最後に業種だが、他社投信と異なり金融と生活必需品が高比率で、エネルギーは低めと一風変わっている。

個別銘柄では世界各国で資源開発し、世界最大級の鉱業企業で、鉄・ダイヤといった金属から、石油・石炭といったエネルギー資源まで幅広く扱う「BHP BILLITON」や、医薬品販売ランキングで世界トップ5に入り、最近では糖尿病患者向けの新薬開発に積極的な製薬会社であるフランスの「SNOFI」などが並んでいる。

オーストラリアの経済指標(GDP・企業景況感など)

この投信で投資比率が高いのは米国・欧州・豪州となるが、米国・欧州についてはピクテ・グローバルインカムを参照してほしい。

豪州経済の見通しだが、現在は一時期ほどの勢いはないが、堅調に成長している。2012年は豪州で大きな割合を占める中国向けの輸出が鈍化したのが景気を悪化させ、政府の公的需要も削減され成長率が伸びなかった。2013年以降も豪州政府は歳出削減に取り組むため公的需要は減少するが、低金利政策は継続され、中国経済が緩やかに回復していることで一定の景気は維持できそうだ。ただし、米国の安価なシェールガス・シェールオイルが早ければ2013年末~2014年には本格的な産出量となるために、資源価格が下落する恐れがある。輸出品目で資源が占める割合が大きいため、今後の資源価格の下落により景気が下押しされる可能性はある。

次に、他社の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 ピクテ
グローバルインカム
株式ファンド
ピクテ
新興国インカム
ファンド
野村ドイチェ
高配当インフラ株
レアル
大和
グローバル高配当
オープン
野村
グローバル高配当
プレミアム
基準価額 4,347円 4,536円 8,178円 3,998円 11,079円
増減率 -4.5% +0.4% -4.0% +13.3% +8.9%
手数料 2.0% 2.0% 3.5% 0% 4.0%
信託報酬 1.10% 1.15% 0.83% 1.08% 0.88%
信託財産
留保額
0% 0.5% 0.5% 0% 0.5%
分配利回り 12.7% 18.7% 18.2% 1.9% 12.1%
3年分の
利益額
361,079円 535,738円 507,367円 57,645円 318,527円
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
1,231,966円 1,546,395円 1,392,649円 1,512,912円 1,609,064円
最終予想
利回り
7.2% 15.6% 11.6% 14.8% 17.1%
海外株式型投資信託の比較表(ピクテグローバルインカム株式ファンド・ピクテ新興国インカムファンド・野村ドイチェ高配当インフラ レアル・大和グローバル高配当オープン・野村グローバル高配当プレミアム)

上図で「野村グローバル高配当株プレミアム」を比較したが、基準価額は1年前と比較すると設定時から間もない時期となるが、一応はプラスとなっていた。また、手数料は他社投信よりも高額だが、信託報酬は比較的安価になっている。分配利回りも12%と決して他社よりは高くはないが、平均程度の数字といえる。基準価額が上昇し分配金も一定額を維持しているため、最終予想利回りでは17%と高利回りになった。ただし、設定から間もない投信である点と、2012年後半は一気に円安が進行したための上昇とも考えられ、今後も継続して基準価額が上昇できるかは疑問で、この投信の真価が問われるといえよう。

結論としては、まだ歴史が浅いため様子見をしたいが、投信は年を経るにつれて廃れていく印象が強いため青田買いに近い感覚で購入するならアリかもしれない。ただ、冒頭に既述したコールオプションでは、理論的には下落を一定程度は抑える効果が期待できるが、チャートの部分でも記述したように、大きな相場の流れには逆らうことはできない。そのため安定した運用を求めて、この投信を購入するのは止めておいた方が良いだろう。運用資産の中で少額分を爆発的な利益確保を狙って、短期中期を視野に購入するのが賢明だ。また、歴史が浅いため、今後の動きが読めないため、随時、分配金やパフォーマンスには注視しておきたい。