野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(通貨選択型)ブラジルレアルコース・毎月分配型/ 野村アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 野村アセットマネジメント
- 商品名:
- 野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信/ブラジルレアルコース
- 地域/決算:
- 海外 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 8,178円(2012年12月21日付け)
- 手数料:
- 3.5%(申込手数料 ※野村證券) 0.83%(信託報酬)
野村ドイチェ・インフラ関連株(レアル)は市場が良好でもレアルが足を?
この投信は、海外のインフラ関連企業の株式に投資し、さらにブラジル通貨・レアルで為替ヘッジすることで運用し分配金を出している。海外のインフラ関連企業とはアバウトな説明だったが、具体的にはアメリカとイギリスを中心に、主に石油・ガスなどの資源関連の企業、電力・水道などの公益インフラに従事する企業に投資している。ちなみに、ブラジルレアル以外にも、円・米ドル・豪ドルコースが存在するが、最も純資産の大きいのがレアルコースだ。さて、この投信の過去1年の分配履歴を振り返ると、分配金は毎月130円を出している。ファンドが設定されたのが2010年と歴史は浅く、130円はそれ以来維持してきた金額だ。
まず基準価額だが、レアルで為替ヘッジしているため、レアル相場に大きく影響されている。特に、2012年初頭にはレアルが対円で40円から47円までレアル高円安が進行したため、大きく基準価額も押し上げたが、その後は再び39-40円に落ち着いたため基準価額を大きく下げた。今後の円安次第では上昇もありうるが。。。
純資産は、2010年に設定されたファンドだが、早くも減少が顕著だ。既に2011年のピーク時の半分である2000億円を切って1300億円前後を推移している。このまま減少が続くようなら、ファンド設定来で維持してきた130円の分配金が減額されるのも時間の問題だろう。
組み入れている株式の国別比率では、米国が半数以上を占め、次いで英国が20%前後と高比率、それ以降はカナダ・イタリアと続く。他社投信では見慣れない租税回避地(タックス・ヘブン)として有名なバミューダがある。業種別では、既述の通り石油ガスなどのエネルギー関連企業、電気・水道などの公益インフラ関連企業が高比率だ。
個別銘柄ではイギリスの「National Grid Plc」がトップで、同社は2万人の従業員を抱え、英国と米国北東部で電気・ガスを提供する企業だ。利益は37億ポンド(日本円で4,800億)で財務体質も優秀だ。日本では電力会社は厳しい状況だが、海外は別ということだ。ただし、株価は600~700ポイントを行き来するだけで伸び悩んでいる。配当金は堅調なため、成長より安定で組み入れた銘柄なのだろう。
投資比率が高い米国だが、経済全体としては未だに回復途上といえる。失業率の回復・住宅着工の底打ちからの反発などのプラス要因はあれど、製造業の景況感が、好不況の境目の50に留まり、輸出でも対中国・欧州向けが低調と、回復の伸びしろは十分にあり、今後の景気回復により株式相場に資金が流入し上昇すれば、この投信にもプラスに働く。
一方で、為替ヘッジをしているブラジルのレアルの状況が芳しくない。ブラジル政府の低金利政策もあるが、同国の成長率が市場予測を下回る成長が続いており、国力低下=通貨安という悪いスパイラルに入りつつあり、長期スパンではレアル安が対ドルでも対円でも止まる気配がない。この点は、この投信には明らかにマイナスファクターで、今後もパフォーマンスの足を引っ張りそうだ。
次に、他社の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | ピクテ グローバルインカム 株式ファンド |
ピクテ 新興国インカム ファンド |
野村ドイチェ 高配当インフラ株 レアル |
大和 グローバル高配当 オープン |
野村 グローバル高配当 プレミアム |
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基準価額 | 4,347円 | 4,536円 | 8,178円 | 3,998円 | 11,079円 |
増減率 | -4.5% | +0.4% | -4.0% | +13.3% | +8.9% |
手数料 | 2.0% | 2.0% | 3.5% | 0% | 4.0% |
信託報酬 | 1.10% | 1.15% | 0.83% | 1.08% | 0.88% |
信託財産 留保額 |
0% | 0.5% | 0.5% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 12.7% | 18.7% | 18.2% | 1.9% | 12.1% |
3年分の 利益額 |
361,079円 | 535,738円 | 507,367円 | 57,645円 | 318,527円 |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
1,231,966円 | 1,546,395円 | 1,392,649円 | 1,512,912円 | 1,609,064円 |
最終予想 利回り |
7.2% | 15.6% | 11.6% | 14.8% | 17.1% |
上図で「野村ドイチェ・高配当インフラ株投信」を比較したが、基準価額は1年前の2011年12月の8,517円から2012年12月の8,178円まで僅かなマイナスで済んでいる。他型の、例えば米国ハイ債型投信でレアルで為替ヘッジしているタイプと比較すれば、かなり健闘している方だ。また、信託報酬は安価だが、手数料が高額な点には要注意だが、分配利回りは相応に高い数字だ。以上の数字を鑑みた最終予想利回りは11%となかなかの数字だ。ただ、分配金が減配されれば7~8%に落ち込む可能性は十分にある。
結論としては、数字は悪くないため微妙なところだ。。。懸念されるのは、まずは減り続けている純資産が影響しての分配金の減配でパフォーマンスが悪化する点、さらにレアル相場でレアル安いが更に進行する点が挙げられる。やはり為替ヘッジは、パフォーマンスを大きく引き上げる側面もあるが、負の側面も大きく、ある程度の安定した運用を望むなら、この投信はパスした方が良いだろう。そもそも海外株式型の投信自体がリスクが高めなのだが。。。ただ、今後の米国市場が回復基調にあり、さすがにレアルも底打ちが近いとも考えれば、期待を込めて購入するという手はある。その場合にも、リスクを勘案して購入金額は控えめにしておいた方が賢明だ。