資源ファンド(株式と通貨)南アフリカランド・コース/ 日興アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 日興アセットマネジメント
- 商品名:
- 資源ファンド(株式と通貨)南アフリカランド・コース
- 地域/決算:
- 日本 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 5,269円(2013年3月7日付け)
- 手数料:
- 3.0%(申込手数料 ※フィデリティ証券) 1.00%(信託報酬)
資源ファンド(株式と通貨)ランドはランドでの為替ヘッジが?
この投信は世界各国の資源関連企業の株式に投資し売買益や配当で分配金を出している。さらに南アフリカのランドで為替ヘッジすることで為替差益の上乗せも狙っている。資源関連企業とはいえ、大半が石油と金属関連を生業とする企業が投資対象となっている。また、南アフリカランドと円の動きに基準価額が左右され、円がランドに対して円安になれば収益、円高になれば損失が発生する。さて、過去1年の分配金は毎月120円を出している。2012年6月に150円から120円に減配しており、今後も為替動向などにより減配される可能性は十二分にある。
まず基準価額だが、ようやく近々で下げ止まってきている。これは円安も支えなのだが、世界的な金融緩和で投資マネーが高金利のランドに流れているのと、世界的な国債指標に南アフリカ国債が組み入れられる等、同国が再注目されているのもある。ただ、累積投資額(分配込みの基準価額)では1万円というスタート地点に戻っただけで、大半の投資家が利益が出ているわけではないはずだ。
純資産は2012年初に急増しており、その後は一進一退といったところだ。再び人気が出てくるかは微妙な分岐点にあるといえそうだ。
次に投信を構成するインフラ企業の株式だが、業種別ではエネルギーと素材(金属)で90%以上を占めている。国別では米国が50%以上でトップ、次いで英・加・仏・伯が続く。米国の経済動向・株価動向に大きく左右されることになる。
個別銘柄では、世界の石油市場を牛耳っているスーパーメジャーの各社(エクソンモービル・シェブロン・ロイヤルダッチシェル)が並ぶ。エクソンやシェルは日本でもガソリンスタンドで馴染み深いはずだ。素材金属でも資源メジャーのBHPビリトン・リオティント・フリーポートマクモランが並ぶ。特にエクソンの売上は約40兆円と大きく、株価の時価総額でも一時期はアップルに抜かれたが、2012年1月にはトップに返り咲き、実質は米国ナンバー1の企業と言っても差し支えない規模を誇る。
今後の見通しだが、投資比率の高い石油会社については「野村高配当インフラ」、素材金属は「資源ファンド・レアル」を参照してほしい。ここでは投信に大きく影響を与えている南アフリカと通貨のランドについて記述する。
さて、まず南アフリカの経済状況だが、GDP成長率からすると2%と新興国としては芳しくない。例えば中国の成長率が低迷していると叫ばれていても7%である点を考慮すれば、いかに南アフリカの数字が低いかが分かる。特に同国の経済を支えるのは鉱山資源なのだが、頻発するストライキ・停電の問題に加えて、資源の需給動向で輸出量が大きく上下するため非常に不安定な経済といえる。そのため対米ドルでも対円でもランド安が止まっていない。この投信にとってマイナス影響は必須だ。
その一方、現在の世界的な金融緩和で溢れたマネーが、今後のランド高に貢献することが期待できる。特に左図の一番下の棒グラフだが、南アフリカへの投資比率が他国より低いことが分かる。中国への投資熱が冷め、景気低迷に苦しむインドを考えれば、溢れたマネーが南アフリカまで及ぶ可能性はある。その際のランド高円安は、この投信の基準価額などにプラスに働くはずだ。
次に、他社の業種限定の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額・手数料・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)分配利回り等を比較した。また、分配金のうち実際にファンドの収益が何%あるかも投信の健全性として比較した。さらに基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。信託財産留保額は投信を解約時に発生する0.5%の費用
商品名 | 野村 高配当インフラ株 通貨セレクト |
日興 資源ファンド レアル |
日興 資源ファンド ランド |
DIAM 米国住宅株 1209 |
ピクテ バイオ医薬品 ヘッジなし |
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基準価額 | 12,090円 | 5,814円 | 5,269円 | 11,165円 | 12,114円 |
増減率 | +20.9% | -24.5% | -31.8% | +11.7% | +18.6% |
手数料 | 4.0% | 3.0% | 3.0% | 4.0% | 3.0% |
信託報酬 | 0.88% | 1.00% | 1.00% | 1.50% | 1.90% |
分配利回り | 9.0% | 23.8% | 26.3% | -1.5% | 11.0% |
3年分の 分配利益額 |
226,367円 | 683,034円 | 759,890円 | -90,000円 | 299,330円 |
分配金と収益 比率 |
\100=? (?%) |
\120=\120 (100%) |
\120=\120 (100%) |
- | \130>\35 (26%) |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
1,993,539円 | 1,113,682円 | 1,077,697円 | 1,301,798円 | 1,966,654円 |
最終予想 利回り |
25.8% | 3.6% | 2.5% | 9.1% | 25.2% |
上図で「日興・資源ファンド ランド」を比較したが、その基準価額のマイナス幅は上図の中ではワーストで大きい。1年前の2012年3月の7,721円から約31%も下落している。同型の投信でレアルで為替ヘッジしているものよりも大きい損失だ。その対価として分配金だけで考えた利回りは26%と他投信を上回る数値だ。その分配金は毎月120円だが、その内訳は運用報告書ではファンドの毎月の収益から100%支払われている。一応は健全なのだが、これは投資している株式の配当等ではなく、単純に株式を売却して(資産を削って)分配金を出している可能性も無くはない。ファンドの健全さでは多少は疑問が残る。以上の数値を勘案して、分配金で得る利益から基準価額のマイナス分と諸経費を差し引きすると、最終予想利回りでは2%と低い数字となった。他のセクター型の投信よりも利回りは低く数字面ではイマイチだ。
最後に結論だが、2013年現在の90円台にまで乗せた円安状況下でも利回りがイマイチで、これからの購入はとてもオススメできそうにない。さらにランドという非常に不安定な為替リスクを背負っている点からして、リスクに対して返ってくる対価も見合わない。ブラジルのように、これからW杯・五輪といった大型イベントが待ち受けているわけでもなく、公共投資・インフラ整備などの大幅な景気刺激も見込めない。為替ヘッジしているランドからは非常に厳しいと言わざるを得ない。もちろん、投資している資源関連の企業の株価は堅調に推移することが予想されるが、それではマイナスを賄い切れないだろう。やはり、これからの購入は厳しい。現在保有中の人も、利益が出ているのなら解約・乗り換えを検討しても良い頃合かもしれない。