フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)/ フィデリティ投信
- オススメ度:
- 運用会社:
- フィデリティ投信
- 商品名:
- フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)
- 地域/決算:
- 日本 / 年4回
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 7,572円(2013年3月25日付け)
- 手数料:
- 1.5%(申込手数料 ※フィデリティ証券) 1.08%(信託報酬)
フィデリティ日本配当成長株(分配重視)は利回りでも分配金でもイマイチ!
この投信は、日本企業の株式に投資し配当・売買益等で運用している。他社の日本株式型の投信は、分配金は0円にして基準価額の上昇に全てを費やすタイプが多い中で、この投信は分配金重視型ということで、年4回で必ず分配金を出すようにしている。年金受給者・退職金でリタイア生活をしているような人の需要に応えた設計といえる。
しかし、日本企業の決算月(配当が出る月)に偏りがある以上は、分配金の全てを配当で賄えるわけもなく、株式の売却(純資産の減少)も行い分配金を捻出している。もちろん、株価が上昇していれば売却しても資産が増えることもある。この投信と同様の構成で、分配せずに基準価額の上昇に全てをかけたタイプも存在する。さて、過去の分配履歴を振り返ると直近1年は年4回が各50円であった。2010年時には60円だった回もある。
まず基準価額だが、2009年から幾度かの上昇局面はあれど、結局は6,000円どころで落ち着いてしまっている。2012年末からの株高基調で、さすがに2009年からの高値は超えているが、2007年時のピークまでは遠い。累積投資額(分配込み基準価額)では、やっと1万円に戻した段階で、投信スタート時に購入した人は、ようやくプラスマイナスゼロまで来たことになる。
純資産は小さい方のグラフになるが、2007年のピークから綺麗な右肩下がりを描いている。2013年春段階では株高で資産は増加しているだろうが、分配重視となると資産を削る傾向も強いため、時が経つほどに状況は厳しくなる可能性が高い。
この投信が組み入れている株式だが、市場別の投資比率では東証1部が94%と非常に高い。他社の同型の投信では低ければ70%、高くとも90%としており、この投信が大企業志向が強いことが分かる。業種別の投資比率では電気機器・銀行業が高比率だが、他社と異なり化学業への投資比率が高い。
個別銘柄に目を向けると、トップは三井住友FGで、日立・三菱UFJと他社投信も投資している銘柄が並んでいる。一方で他社で上位にない銘柄で、トラック・バスに特化した自動車メーカーである「いすゞ自動車」、HDD離れで苦戦する電子部品メーカーのTDK、あいおいニッセイ同和と三井住友海上を傘下に収める損保大手のMS&ADと大企業が並ぶ。
今後の見通しだが、2013年春現在、日経平均で13,000円手前、トピックスで1,000ポイント超えとなると基本は上昇への期待よりも下落局面に気をつけたい。上は過去10年で高値圏でもみ合いをしていた16,000円近辺、下は近年で安値圏とされてきた8,500円近辺と考えられる。これからは3,000円の上昇に対して、下落では4,000円の下落がある。かなり神経質になるべき水準にあると考えるべきだろう。また、他社投信のページになるが、チャートや経済情勢についての分析は「野村日本高配当プレミアム」や「フィデリティ日本成長株」等も参照してほしい。
次に、他社の日本株型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額・手数料・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)分配利回り等を比較した。また、分配金のうち実際にファンドの収益が何%あるかも投信の健全性として比較した。
さらに基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。信託財産留保額は投信を解約時に発生する約0.5%の費用
商品名 | フィデリティ 日本成長株 ファンド |
野村 日本ブランド株 レアル |
野村 日本高配当株 通貨セレクト |
JPM ザ・ジャパン |
フィデリティ 日本成長株 分配重視 |
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基準価額 | 12,522円 | 9,405円 | 14,442円 | 36,517円 | 7,572円 |
増減率 | +21.3% | +3.8% | +44.4% | +59.3% | +17.0% |
手数料 | 2.0% | 3.0% | 3.5% | 0% | 1.5% |
信託報酬 | 1.53% | 0.88% | 0.88% | 1.70% | 1.08% |
分配利回り | -1.5% | 11.9% | 7.4% | -1.7% | 1.6% |
3年分の 分配利益額 |
-65,900円 | 321,375円 | 182,873円 | -51,000円 | 46,839円 |
分配金と収益 比率 |
- | \100=\100 (100%) |
\100=\100 (100%) |
- | \50>\29 (63%) |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
1,718,957円 | 1,438,539円 | 3,195,061円 | 3,992,224円 | 1,790,573円 |
最終予想 利回り |
19.7% | 12.8% | 47.2% | 58.6% | 17.6% |
上図で「フィデリティ・日本配当成長株ファンド(分配重視型)」を比較したが、基準価額は1年前の2012年3月の6,472円から17%上昇している。上昇自体は喜ばしいことなのだが、いかんせん他社の同型の投信が20%以上の上昇をしている点からして物足りない。分配金で得られる利益も少なく、分配利回りでも明らかに少ない。さらには分配金と収益の比率に注目してもらいたいが、運用報告書を見ると毎月の収益から出ていない分配金もある。つまりは年4回の50円の分配金が50円分の利益を稼いで出している時と、8円分の収益しか稼いでいない時がある。平均して分配金のうち63%が収益で稼いだもので、残りの37%は資産を削っているだけという状況だった。収益が出ていなくとも資産を大きく削って分配金を出すのは、毎月分配型の投信で多い傾向だが、年4回の分配でも削っているとなると、これはマイナス評価と言わざるをえない。
結論としては、利回りなどの数字に物足りなさがあり、さらに分配金も物足りない内容でオススメできそうにない投信だ。そもそも、わざわざ運用のプロに任せているにも関わらず、同時期にトピックス・日経平均などの株価指数よりも低いパフォーマンスしか出せないというのが問題だ。これならプロに高い信託報酬を支払うメリットが個人投資家には無いといえる。他の数字の良い投信か、株価指数に連動する投信(ETFも可)を購入した方が賢明といえるだろう。