野村日本ブランド株投資(通貨選択型)ブラジルレアルコース/ 野村アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 野村アセットマネジメント
- 商品名:
- 野村日本ブランド株投資(通貨選択型)ブラジルレアルコース
- 地域/決算:
- 日本 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 9,405円(2013年3月25日付け)
- 手数料:
- 3.0%(申込手数料 ※野村證券) 0.88%(信託報酬)
野村日本ブランド株投資レアルは想定以上にレアルに対し円安にならないと?
この投信は、日本の上場企業の株式に投資し、主に値上がり益(キャピタルゲイン)で基準価額の上昇を狙い分配金の原資を捻出している。さらに、ブラジルレアルで為替ヘッジすることで、レアル/円相場が円安になることで得る為替益も狙っている。もちろん、逆に円高になることで為替損が発生する点を注意したい。レアル以外に豪ドル・南アフリカランド・トルコリラといった同じく高金利の通貨でヘッジしたコースも用意されている。過去の分配履歴では2012年中は120~100円であった。2012年10月の株式市場が底に近い数字を出していた時期に減配している。
まず基準価額だが、2012年末からの日銀の金融緩和期待と安倍ノミクスによるレアル高円安を受けて急上昇している。2012年時の高値に迫る勢いで、累積投資額(分配込みの基準価額)では2011年時のピークも越えている。過去のチャートの動きからすると、利益が出ているなら如何にも売却したくなる水準にあるが。。。
純資産も同様に2012年末から増加している。ただし、個人投資家からの新たな資金流入というよりも株価上昇による資産増加が純資産額を増加させたと見るべきだろう。野村としても2013年から新規に相次いで設定した日本株型の投信に販売を注力しているだろう。
次に投信に組み入れている株式の投資比率だが、電気機器への投資比率が19%とトップで、次いで化学・輸送機器と続いている。他の日本株型投信よりも電気機器への投資比率は高めだ。また、これらの株式で得る配当利回りは1%しかなく、冒頭でも述べた通り、株価が上昇した株式(時には上昇しそうにない株式)から売却していき分配金の原資としているのが確認できる。
個別銘柄ではタイヤのブリヂストン、日産自動車・本田技研に加えて、トヨタと繋がりが強い自動車部品メーカーのデンソーと、自動車関連の銘柄が多く名を連ねている。業種別の投資比率よりも輸送用機器への依存度は高いように感じる。また、いずれの企業も2012年末からの株高基調で株価は上昇しており(JTは政府の売却で上下があったが)、どの銘柄に不安を感じるということは無いが、総じて外需主導の輸出企業である傾向が強く、レアルのヘッジとは別にドル円の為替動向で業績が大きく上にも下にも振れてしまう点は覚えておきたい。
今後の見通しだが、まず日本の株式市場は、その全体表すTOPIXがドル円の為替チャートと概ね連動した動きをしている。細かいスパンで時折は為替と乖離はすれど、輸出企業の業績が為替動向に大きく左右される以上は大きくはズレない。また未だ日本の基軸産業である自動車産業では国内販売台数が伸びない今、外需で業績を上げるしかない状況でもある。2013年現在の日経平均で13,000円が目前の今、やはり上を狙うには更なる円安が必要といえる。米国はともかく、欧州・中国に関しては、そこまで楽観視するのは厳しく、株価の上値は限定的で、むしろ10~20%の下落に備えるべきだろう。
一方で為替ヘッジをしているレアルだが、同国の経済情勢は一時期の勢いを失っている。しかしブラジル政府はレアル高を容認する姿勢に移りつつあり、日本主導の円安は止まってもレアル主導でレアル高が進む可能性は投信にプラスに働くだろう。
次に、他社の日本株型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額・手数料・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)分配利回り等を比較した。また、分配金のうち実際にファンドの収益が何%あるかも投信の健全性として比較した。
さらに基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。信託財産留保額は投信を解約時に発生する約0.5%の費用
商品名 | フィデリティ 日本成長株 ファンド |
野村 日本ブランド株 レアル |
野村 日本高配当株 通貨セレクト |
JPM ザ・ジャパン |
ノムラ 日本株戦略 BigProject |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 12,522円 | 9,405円 | 14,442円 | 36,517円 | 5,993円 |
増減率 | +21.3% | +3.8% | +44.4% | +59.3% | +25.1% |
手数料 | 2.0% | 3.0% | 3.5% | 0% | 2.0% |
信託報酬 | 1.53% | 0.88% | 0.88% | 1.70% | 1.90% |
分配利回り | -1.5% | 11.9% | 7.4% | -1.7% | -1.9% |
3年分の 分配利益額 |
-65,900円 | 321,375円 | 182,873円 | -51,000円 | -82,000円 |
分配金と収益 比率 |
- | \100=\100 (100%) |
\100=\100 (100%) |
- | - |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
1,718,957円 | 1,438,539円 | 3,195,061円 | 3,992,224円 | 1,874,061円 |
最終予想 利回り |
19.7% | 12.8% | 47.2% | 58.6% | 23.2% |
上図で「野村日本ブランド株投資レアル」を比較したが、まず基準価額が1年前の2012年3月の9,064円から3%しか上昇していない。他社の同型投信が20%超の上昇をしていることを考えると、何とも物足りない数字ではある。しかし、分配金が毎月100円出ており分配利回りでは約12%と高い。基準価額の分は分配金に回していると考えた方がいいかもしれない。また、その分配金と収益の比率だが分配金100円のうち100円を収益から100%出している。分配金が収益から100%出ているというのは、ファンドの健全度では満点だが、株式の配当ではなく売却で分配金を出しているため、債券型・リート型の投信とは事情が多少異なる点は注意してもらいたい。以上を加味しつつ最終予想利回りでは約13%となった。ただし、これも他社投信には劣っている点、TOPIXが同期間で20%程度は上昇している点からは物足りない。また、2013年~2014年も同等のパフォーマンンスが維持できるかは大いに疑問だ。5%程度と見込むのが妥当な線だろう。
結論としては、利回り等の数字がイマイチでオススメできそうにない。これなら、ほぼ似通った銘柄に投資している他社投信の方も検討した方がいいだろう。もちろん、この投信がレアルで為替ヘッジしているため、レアルが想定以上にレアル高/円安になれば、他社を圧倒する利益を出すかもしれないが、そこまでレアル高が進めば、さすがにブラジル経済への悪影響からブラジル政府が介入してくるだろう。やはり今からの購入は見送るか、少し様子見した方が賢明だ。現在保有中の人でも利益があるなら解約してしまうか、レアルコースから円コースなどの他通貨へのスイッチングを検討してもいい頃合だろう。