野村日本高配当プレミアム 通貨セレクトコース(毎月分配型)/ 野村アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 野村アセットマネジメント
- 商品名:
- 野村日本高配当プレミアム 通貨セレクトコース(毎月分配型)
- 地域/決算:
- 日本 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 14,442円(2013年3月25日付け)
- 手数料:
- 3.5%(申込手数料 ※野村證券) 0.88%(信託報酬)
野村日本高配当プレミアム 通貨セレクトは今のところは全てが順調だが?
この投信は、日本企業の株式に投資し配当・値上がり益で基準価額の上昇と分配金を出している。さらにコールオプション(権利行使価格での売買)で収益の上乗せを図っている。オプション取引を軽く説明すると、A株の現在の株価が100円とすると、それを105円で買う権利(コール)を購入しておき、特定の期間中に110円まで上昇すれば、5円分はお得にA株が購入でき、それが利益になると考えればいい(詳細正確な説明は割愛)また、2012年6月に設定された投信のため歴史は浅いが、過去の分配履歴を振り返ると、2012年8月から2013年現在までは毎月100円を維持している。
まず基準価額は投信がスタートした2012年6月から横ばいだったが、後半は安倍ノミクスで株高となり、その恩恵で急激に上昇している。2012年6月の日経平均株価は8,500~9,000円のレンジ内で推移している。2013年春現在の12,000円台からすれば素晴らしい発射地点だといえる。ファンドの運用を無視して単純に考えても、日経平均ベースで前述したレンジ内に戻らない限りは損失は避けられると考えられる。
純資産も基準価額と似た動きをしている。このまま日本の株式市場が好調を維持できる流れなら、設定から間もない投信だけに野村が更に個人投資家を集めて増加する可能性もある。そうなれば一時的にだが分配金増も期待できる。
次に投信が組み入れている株式だが、業種別では銀行業がトップの11%で、情報通信業・医薬品・化学・電気機器が続く。5つの業種で5割近い比率を誇る。これらの株式で得る配当利回りは2.7%で、分配金は配当ではなく株式の売却益・値上がり益から出ているのが分かる。
個別銘柄では武田薬品・ドコモといった高利回りで知られる企業から、三井住友FG・日本電信電話(NTT)・三菱UFJ・日本たばこ産業(JT)といった大企業が並ぶ。また、NTTとドコモを合算すると、投資比率は7.6%で比率ではトップになり、情報通信業に割く比率の大半がNTTグループと考えていい。ちなみにNTTの利益の40%超をドコモが稼いでおり、ドコモの業績・株価から受ける影響は軽微とはいえないはずだ。
また、この投信は通貨セレクトコースという名称だが、レアル・トルコリラなどの高金利の通貨で為替ヘッジをしている。左図の5通貨に対して円高が進むと投信に悪影響を及ぼすことになる。
今後の見通しだが、この投信には日経平均にも採用されている銘柄が多く、日経平均をベースにして考察してみる。まず2013年春段階ではアメリカの株価指数であるダウ、ドイツのDAXと比較して、いかに日経平均の上昇幅が大きいかが分かる。著名な外国人投資家の「今一番ホットな市場は日本だ」という発言からして、世界的な金融緩和による金余りのマネーが日本に流入しているかが分かる。新興市場のマザーズ・JASDAQは更に過熱圏にある。さらに米国経済が回復基調からのドル高円安が、株高に拍車をかけている。日経平均の過去10年の高値は18,000円で上値の余地はあるが、13,000円を超えていたのは10年中で3年だけだ。やはり個人投資家は今からは上昇よりも下落に気をつけるべきだ。
次に、他社の日本株型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額・手数料・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)分配利回り等を比較した。また、分配金のうち実際にファンドの収益が何%あるかも投信の健全性として比較した。
さらに基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。信託財産留保額は投信を解約時に発生する約0.5%の費用
商品名 | フィデリティ 日本成長株 ファンド |
野村 日本ブランド株 レアル |
野村 日本高配当株 通貨セレクト |
JPM ザ・ジャパン |
ノムラ 日本株戦略 BigProject |
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基準価額 | 12,522円 | 9,405円 | 14,442円 | 36,517円 | 5,993円 |
増減率 | +21.3% | +3.8% | +44.4% | +59.3% | +25.1% |
手数料 | 2.0% | 3.0% | 3.5% | 0% | 2.0% |
信託報酬 | 1.53% | 0.88% | 0.88% | 1.70% | 1.90% |
分配利回り | -1.5% | 11.9% | 7.4% | -1.7% | -1.9% |
3年分の 分配利益額 |
-65,900円 | 321,375円 | 182,873円 | -51,000円 | -82,000円 |
分配金と収益 比率 |
- | \100=\100 (100%) |
\100=\100 (100%) |
- | - |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
1,718,957円 | 1,438,539円 | 3,195,061円 | 3,992,224円 | 1,874,061円 |
最終予想 利回り |
19.7% | 12.8% | 47.2% | 58.6% | 23.2% |
上図で「野村日本高配当プレミアム 通貨セレクト」を比較したが、投信のスタートから丸1年が経過しておらず基準価額を他社と正確に横並びで比較はできない。それでも40%を超える上昇率は他社の同型投信と比較しても優秀な数字だ。さらに、日本株式型の投信としては珍しく分配金が出ており、利益が上乗せされる。その分配金と収益の比率だが分配金100円のうち100円を収益から100%出している。基準価額を削って無理して分配金を出しているわけでは無さそうだ。手数料こそ高額だが信託報酬が低額なのはプラスだ。そして、以上を加味した最終予想利回りでは47%と驚異の数字になった。しかし、ここまで計算通りに運用パフォーマンスが維持できないだろう。それなら日経平均は18,000円になっていることになる。ありえない話しではないが、上がった分が下落する可能性も十分に考える必要がある。
結論としては、現在は円安株高で全てが順調に行っている状況だけに、かなり警戒感はあるが、小額で購入してみるのは悪くなさそうだ。数字で同型の投信よりも高パフォーマンスなのも良い。しかし、再三既述してきたが、上よりも下を気をつけたい領域に入っている点に注意したい。為替益が上乗せされるため、円安が進めば計算に近い驚異的な数字が出る可能性も否定できない。仮に下落しても、この投信の基準価額で10,000円を切るレベルと家庭すれば最大で20%の損失がありうる。40%分の利益に期待して20%の下落を覚悟しておくとすれば、精神上も悪くはないはずだ。