損害保険 解説・用語集

こども総合保険の意味と利用価値は?

こども総合保険(学生・子供総合保険)とは、子供がケガをした際の治療費や、他人にケガを負わせた場合の賠償金、さらに契約者(大抵は両親)が死亡した場合の教育資金(育英費用)を補償する保険を意味する。"総合"の文字が付いていない「こども保険(いわゆる学資保険)」は、前述の補償もさることながら、進学資金・教育資金などの貯蓄性を重視している点で異なる。掛け捨てでなく貯蓄性も求めるなら、こども保険を選択した方がいい。

また、こども総合保険が損害保険会社(東京海上・損保ジャパンなど)の損害保険会社が販売しているのに対し、こども保険は生命保険会社(住友生命・明示安田生命など)が販売している点でも異なる。

主な3つの補償を金額の多寡で並べると「他人へのケガ(個人賠償)」「育英費用」「子供のケガ」となる。あくまで可能性の問題ではあるが、個人賠償は他人を死傷させた場合に1億超になる可能性があるが、育英費用は最大でも数千万に留まる可能性が高く、子供のケガは健康保険もあり先進医療は保険の対象外となるため最も安価になる可能性が高い。

それでは、個別の補償の必要性を検証して、こども総合保険全体として必要性があるかを考えてみたい。まず「個人賠償責任」だが、小さい子供(幼稚園児など)がジャレあう程度なら、相手の子供を死傷させる可能性は低いため必要性は乏しい。それよりは子供が中学・高校生になり、スポーツ系の部活を始めたり自転車通学をするようになると可能性(危険性)は増す。特に自転車通学となると、高校生が老人と衝突した自転車事故では1億円近い賠償額になったケースもある。

その意味で必要性は疑いようがないが、個人賠償責任補償は他の保険に特約で付帯できる。自動車保険・火災保険などに付帯できる。これらの保険の特約でも契約者だけでなく家族が起こした事故もカバーでき、増額される保険料も年間で数千円で済む。わざわざ子供総合保険でカバーする必要性には大いに疑問がある。

次に「育英費用」だが、両親が死亡して子供が残されることをイメージすれば、その必要性は疑いようがない。ただし、厚生労働省のデータでは30代の死亡率は多く見積もって0.1%、40代でも0.2~0.3%となっている。交通事故も病気等も含めて、この低い確率であるため杞憂となる可能性が極めて高い。さらに、死亡するなら生命保険・収入保障保険、病気で働けなくなるなら特約付きの医療保険や所得補償保険という手もある。それも子供総合保険の育英費用は200~300万円とする保険会社も多い。わざわざ子供総合保険でカバーするかは微妙なところだ。

最後に「子供のケガ・病気」だが、これも厚生労働省のデータでは0~14歳の子供の平均入院日数は約10日で、入院1日あたりの自己負担額が約13,000円となっている。ケガ・病気が全て平均で収まるとは限らないが、平均からすれば13万円の貯金(もしくは出費)があれば事足りることになる。余分に見積もっても2.5倍の30万円もあれば十分な備えとなる。また、13万円の出費のために保険契約するのも、いかがなものか。。。

以上のように、基本的に必要性には乏しい保険といえる。ただし、他の保険を契約していないようだと個人賠償がカバーできないため検討する余地はある。また、育英費用は他の保険と重複しないため生命保険などとは別に受け取れるため、生命保険などの保険金額に満足できず収入も十分にあるなら、他の保険の補完として加入しておく手はなくはない。