太陽生命 わくわくポッケを比較・評価

太陽生命 わくわくポッケ(無配当こども保険)
オススメ度:
1
保険会社:
太陽生命
名称:
わくわくポッケ
加入年齢:
0~12歳
支払開始:
15歳~
返戻率:
95.4%~
特徴:
学資金準備と保障をセット

わくわくポッケは太陽生命が2007年4月から販売している学資保険(こども保険)です。学資金を受け取る主契約とは別に特約を必ず付加させなければいけないという特徴があります。さらに公式HPの冒頭で記述されているように、学資金の受取総額が支払った保険料総額を下回ります。

学資金が保険料総額を下回ることは返戻率が100%を下回ることを意味するため、この時点で学費を効率的に貯めるという目的には適していない保険なのは明白ですが、それを上回るメリットがあるのか否かを以下で他社の保険と比較しながら解説していきます。

保障内容

わくわくポッケには大学の学費に重点を置いたⅠ型と、高校・大学の学資に備えるⅡ型があります。Ⅰ型だと大学入学時と満期時に学資金が受け取れ、Ⅱ型だと高校入学時と大学入学時と満期時に学資金が受け取れます。保険の満期を20歳にするか22歳にするかは自分で選択できます。

太陽生命 わくわくポッケの保障内容・仕組み(出典:太陽生命公式HP)

Ⅰ型もⅡ型も契約時には基準学資金額を決め、その金額の100%を大学入学時に受け取れます。高校入学時は基準学資金額の50%、満期時は基準学資金額の100%か20%を受け取るかを自分で決められます。それにより学資金の受け取り総額が変動しますが、大きくなれば保険料も増額されます。受け取り総額を変えずに満期時の学資金を20%にすれば他の時期の学資金を増額するか、保険料を安くすることも可能です。

問題となるのは付加しなければならない特約です。わくわくポッケでは契約者(親)向けの特約か、子供向けの特約のどちらか、もしくは両方を付加する必要があります。親向けの特約は育英年金特約と就業不能保障付育英年金特約があります。育英年金特約は親の死亡時に子供が20歳になるまで年金を毎年受け取れ、就業不能保障~だと死亡時だけでなく就業不能時も年金が受け取れる特約です。

子供向けの特約はこども保険入院特約・こども保険医療一時金特約・こども保険手術特約があります。入院特約は子供が入院する日数に応じて入院給付金が受け取れ、一時金特約は入院すると日数とは関係なく入院するか骨折すると一時金が受け取れます。手術特約は手術の種類に応じて、外来なら2.5万円、入院しての手術なら10万円等が受け取れます。

自分の居住地の自治体が子供向けの医療費を無料にしているか親が高齢なら親向けの特約、自治体の補助が手薄なら子供向けの特約を基本的には検討すべきでしょう。その他の特約には「こども総合保険料払込免除特約」があります。この特約は親の死亡時だけでなく三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)等になった場合も、以後の保険料の払込が免除される特約です。もちろん保険料を免除されても学資金は契約通りに受け取れます。

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保険料・返戻率を比較

わくわくポッケで親が30歳で保険料を15年払込満了・20歳満期で、基準学資金額100万円(受取総額で250万円)とすると保険料は月額21620円となります。支払う保険料は総額で約389万円となるため、返戻率は64%と100%を大きく下回ります。これだけ返戻率が低いのは、このモデルケースに就業不能保障付育英年金特約・こども保険総合保険料払込免除特約・こども医療系特約と、特約を盛り沢山にしたからです。

太陽生命 わくわくポッケの保険料(出典:太陽生命公式HP)

この保険では不可能ですが、仮に特約を全て外した場合でも返戻率は100%を下回ります。前述の例で特約を全て外して主契約だけにしても、保険料は月額14545円となります。支払う保険料は総額で約261万円となり、返戻率は95%に留まります。特約の付加を義務化したのは、100%を上回れない返戻率のための苦肉の策とも考えられます。

どう足掻いても返戻率が100%を上回りませんが、他社の学資保険はどうでしょうか。下図の返戻率の比較表を見てください。

学資保険・こども保険の被保険者年齢・払込期間10年と15年と18年の場合の返戻率・苦情率の比較表(日本生命・住友生命・ジブラルタ生命・ソニー生命・明治安田生命・JA共済・富国生命・第一生命・アフラック・かんぽ生命・太陽生命・SOMPOひまわり生命・朝日生命・東京海上日動あんしん生命・フコクしんらい生命・三井住友海上あいおい生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

他社では保険料の払込完了が15年でも返戻率が100%を超える学資保険として、ソニー生命・日本生命・明治安田生命等々があります。特にソニー生命・日本生命は払込完了を18年にしても100%を上回ります。払込年数を短縮すると返戻率は高まりますが、期間を短縮した分だけ保険料が凝縮されて高くなります。そのため余裕のある保険料を考えるならソニー生命・日本生命が良いともいえます。

メリット

この保険のメリットは、まずは学資金の受け取り方が2パターンある点です。子供の学費がピークを迎えるのは間違いなく大学の費用ですが、高校も私立なら学費は公立の2倍になると言われています。そのため高校の学費から備えられるのはメリットといえます。

さらに他社には無い20歳満期がある点もメリットかもしれません。他社の学資保険は18歳満期か22歳満期が多いのですが、20歳満期なら短大・専門学校に入学した場合に対応できます。例えば、子供が料理の専門学校に進学して調理師免許を獲得して京都の料亭で修行するといった場合、20歳時の満期祝い金は引越し・家財の費用にできます。

特約では親向けの特約(育英年金特約と就業不能保障付育英年金特約)があるのもメリットといえなくもありません。親が死亡時に保険金を受け取れる定期保険等の代替で育英年金特約、就業不能保険の代替で就業不能保障付~を代替とするのも手です。こども保険総合保険料払込免除特約なら三大疾病をカバーするため、がん保険等の代替と考えてもいいかもしれません。

子供向けの怪我・病気への特約も居住地の自治体が子供医療費を完全に無料としない、もしくは補助が手薄ならメリットになります。こども保険医療一時金特約なら、入院・手術に加えて骨折なら1回の骨折につき6万円の一時金が受け取れます。部活などで骨折する可能性を考えれば完全に不要とは言い切れないでしょう。

デメリット・注意点

この保険のデメリットは、第一に100%を下回る低い返戻率が挙げられます。学資保険の主目的は貯金よりも効率的に学費を貯めることです。その目的が果たせないのは大きなデメリットです。親向け特約で各保険の替わりとなる特約も、完全な代替物ではなく似た目的を補えるという程度です。定期保険は月額保険料が数百円で500万円の保険金を受け取れ、がん保険は保険料が数千円で診断一時金で100万円が受け取れ、この保険の特約とは保障の厚さが違います。

子供向けの特約も、わざわざ0歳から加入する必要性は低いでしょう。子供が中学生になり運動部に入部してからでも遅くはないでしょう。それなら6年間だけ保険料を数百円の月額保険料を支払うだけで済みます。もちろん文化部に入部したら保険は不要となります。

評判・苦情

太陽生命の決算資料によると2019年度(2019年4月~2020年3月)の学資保険が含まれる「その他」の新規契約件数は13.0万件で、前年度の14.9万件から20%ほど鈍化しました。前々年度と前年度でも20%ほど減っており、趨勢として減っていることになります。他社では新規契約数は横ばいか微増傾向にあることから、契約数等から考えると評判は悪いと考えられます。

一方で生命保険協会のデータによると、太陽生命全体に寄せられている苦情数は1328件(2020年度第1四半期時点)です。総契約数の1230万件で割った苦情率は0.01%で、1000件のうち0.1件で苦情が発生しています。日本生命・第一生命の0.02%よりも低い数字で、苦情面から考えると会社全体の評判は良いといえます。

オリコンの生命保険会社の顧客満足度ランキングでも29社の中で16位と中位と悪くありません。しかし、J.D.パワージャパンが2020年3月に発表した「2020年 生命保険契約満足度調査」では最下位で、顧客からの満足度は間違いなく低いといえます。

2020年生命保険契約・顧客満足度ランキング(出典:JDパワー2020年生命保険契約満足度調査)

これらの調査の調査項目には保険の中身(保障・保険料)の他に、契約・更新時の手続き・顧客対応(アフターフォロー)等が含まれます。そのため商品そのものの評判は良くはないのは間違いありません。太陽生命自体の評判は悪くない可能性もありますが、保険の中身が足を引っ張ってか顧客の満足度は低いと考えられます。

総合評価・おすすめか?

結論としては、わくわくぽっけはオススメできない保険です。メリットがなくはありませんが、学資金が増加しないというデメリットを払拭できる程ではありません。もしも特約に魅力を感じたとしても、その目的が果たせる本家の保険に加入した方が保障も厚く保険料も安い可能性があります。

そのため太陽生命の学資保険を検討している人は、返戻率の高い日本生命・ソニー生命・明治安田生命を検討すると良いでしょう。さらに高い返戻率を求めるなら外貨建ての住友生命の「たのしみ未来(学資プラン)」も候補に上がります。また、契約者(親)の年齢が高めなら病気で保険料の支払いが免除される第一生命の「こども応援団」も検討の余地があるかもしれません。