富国生命 みらいのつばさを比較・評価

富国生命(フコク生命) みらいのつばさ
オススメ度:
3
保険会社:
富国生命(フコク生命)
名称:
みらいのつばさ
加入年齢:
0~7歳
支払開始:
3歳~
返戻率:
101.9%
特徴:
高校入学と大学4年間の教育費をサポート

みらいのつばさはハローキティがイメージキャラクターの富国生命(フコク生命)の学資保険です。フコク生命はサンリオピューロランド・ハーモニーランドのスポンサー協賛しているため、後述するフコク赤ちゃん&キッズクラブを通じて様々なサンリオ関連の特典が受けられます。

学資保険も加入するだけでキティのグッズが先着でプレゼントされる等の特典があるとはいえ、学資保険そのものがイマイチでは無意味です。以下で保険の概要を記載し他社の保険と比較していきます。

保障内容

学資保険「みらいのつばさ」はS型(ステップ型)とJ型(ジャンプ型)の2つのタイプがあります。S型は子供の成長に合わせて、細かく学資金が受け取れます。他社の多くの学資保険では祝い金があっても中学校からですが、この保険は幼稚園に入園する3歳の時点で最初の祝金が受け取れます。その後、小中高大の入学時に加えて、成人となる20歳(法律上は18歳ですが)と、満期の22歳で計7回受け取れます。

富国生命 みらいのつばさS型の保障内容・仕組み(出典:富国生命 公式HP)

各祝金の金額は最後に受け取る満期保険金を基準にして計算されます。満期保険金を100万円にすると、幼稚園(保育園)入園時と小学校の入学時は5%分の5万円となります。中学高校成人時は10%分の10万円、大学入学時は70%の70万円、そして満期時には100%分の100万円となります。満期保険金を200万円にすれば、各々の祝い金は2倍となります。

節目節目に祝い金が欲しい人でも、さすがに幼稚園・小学校・成人の時までは不要だと感じる人もいるでしょう。そういった人は祝金を保険会社に据え置くことが可能です。据え置けば必要だと思うタイミングで受け取ることが可能です。幼稚園入園時には祝金を受け取らず、より費用のかかる小学校入学時にまとめて受け取ることもできます。もちろん小学校5年生で塾に通うことになったから引き出すといった使い方でも良いでしょう。

もう1つのJ型は最も費用が膨らむ大学の学費に焦点を当てています。S型とは対照的に学資金は大学入学時の22歳と満期時の計2回受け取れます。金額も満期保険金を2回(受取総額を2分割で)受け取ることになります。満期保険金は22歳の時のため、大学の学費だけではなく就職活動・就職後の引っ越し費用等に充てられます。

富国生命 みらいのつばさJ型の保障内容・仕組み(出典:富国生命 公式HP)

どちらが良いかは個々人の考え方次第という面があります。子供が進学する度に学校指定品の購入等で幼稚園~中学校への進学でも少なからず費用が発生します。その都度に貯金が減るのが嫌であれば、S型にして進学時の諸経費は基本的に学資保険の祝い金で賄うのも手です。他方で幼稚園~高校までとは異なり100万円超になることもある大学の学費を負担軽減するならJ型が妥当でしょう。考え方次第ではありますが、後述するように返戻率から考えるとJ型の方が得です。

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保険料・返戻率を比較

みらいのつばさはS型で満期保険金を100万円にして保険料を11歳払済にすると、保険料は月額15186円で返戻率は104.7%です。同じ条件でJ型にすると保険料は月額14354円で返戻率は105.5%です。これは保険会社が途中で資産(支払われた保険料)を削らず運用できるため発生する差です。そのため効率的に学資金を貯めたいならJ型の方が適しています。

返戻率は2014年頃まではS型でも108%でJ型なら110%程度でしたから、ここ数年で著しく下落したことになります。とはいえ他社と比較しても悪い返戻率ではありません。20以上の学資保険を比較した下図を見て下さい。ソニー生命や日本生命は18歳払い込みで返戻率が100%を超えますが、フコク生命でも17歳払い済みで返戻率は101.9%のためヒケはとりません。

学資保険・こども保険の被保険者年齢・払込期間10年と15年と18年の場合の返戻率・苦情率の比較表(日本生命・住友生命・ジブラルタ生命・ソニー生命・明治安田生命・JA共済・富国生命・第一生命・アフラック・かんぽ生命・太陽生命・SOMPOひまわり生命・朝日生命・東京海上日動あんしん生命・フコクしんらい生命・三井住友海上あいおい生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

さらにフコク生命で11歳払済で返戻率は105.5%ですが、ソニー生命の学資保険で保険料の払い込み期間を10年に短縮しても返戻率は105.5%とフコク生命と同等です。そのため保険料・返戻率から考えると、みらいのつばさは数多くの他社の学資保険よりも得だといえます。S型だと多少はお得さが減りますが、それでも優秀な数字です。S型とJ型の返戻率の差は0.8%のため、学資金が200万円なら1.4万円の差が20数年で発生する計算です。この差額を無視できるならS型でも良いかもしれません。

メリット

この保険のメリットは、まずはS型とJ型を選択できる点にあります。S型なら子供の成長につれ増大する教育費の負担を軽減でき、J型なら子供の教育費のピークとなる大学の学費の負担を軽減できます。どちらが適しているかは他の費用との兼ね合いも考慮すると良いでしょう。例えば住宅ローン控除が子供が18歳の頃に切れるなら、それ以降は控除が無い分だけ同じ年収でも税金分だけ手取りが減ります。それを考慮して大学の費用だけに備えるといった具合です。

一方で子供が生まれたのが40歳前後の人はS型も候補になります。子供が高校に入学する時点で55歳前後となり、高校入学時の費用(私立なら入学金も)は両親の介護費用と重なれば軽い負担とは言い切れません。自分自身の年齢とライフスタイルに合わせてプランを選択できるのはメリットといえるでしょう。さらに両方のプランとも高い返戻率が見込めるのもメリットで、制約が少なくプランを選べます。

また、フコク生命には入会金・年会費無料のフコク赤ちゃん&キッズクラブがあります。育児・子育てに関する情報が受け取れる他、入会するだけでキティorぐでたまのオリジナルぬいぐるみがプレゼントされます。会員特典にはサンリオピューロランドとハーモニーランドのチケット割引特典もあります。会員数は25万人以上の人気のあるサービスです。

富国生命 フコク赤ちゃん&キッズクラブ(出典:富国生命 公式HP)

デメリット・注意点

この保険のデメリットは学資金の受け取り方に選択肢があるとはいえ、人によっては微妙に希望とは異なるタイミングで学資金を受け取る点です。J型なら学資金の受け取り回数は2回だけですが、人によっては4分割で毎年受け取りたい人もいるでしょう。この保険だと1~3年目までの学費は1回目の学資金で補うことになり、最後の学資金は4年次の学費に間に合うかどうかという感じです。S型にしても慶応幼稚舎に入園したなら入学金は幼稚園時に発生します。

ただ、この点については他社の学資保険も同様です。自由に学資金を受け取れる学資保険はありません。そのため致命的なデメリットではないものの、学資金のタイミングを熟知して資金計画を練ることが重要です。

また、あくまでフコク赤ちゃん&キッズクラブは営業活動に繋げるためのサービスです。会員登録すると富国生命の営業担当者が入会特典を会員に届け、担当者からの対面営業を受けることになる点に注意して下さい。

評判・苦情

フコク生命の決算資料によると2019年度(2019年4月~2020年3月)の学資保険の新規契約件数は2.6万件です。件数としては少なくないのですが、契約高(保有金額)だと84億円から43億円に激減しています。契約数は堅調でも1人1人の単価(契約金額)は減っている可能性があります。契約数等から考えると評判は良いか悪いか微妙です。

一方で生命保険協会のデータによると、富国生命全体に寄せられている苦情数は2873件(2020年度第1四半期時点)です。総契約数の3794万件で割った苦情率は0.07%で、1000件のうち0.7件で苦情が発生しています。日本生命・第一生命の0.02%よりも高い数字ですが、苦情面から考えると評判は普通とも考えられます。

また、オリコンの生命保険会社の顧客満足度ランキングでは29社の中で23位と低位です。J.D.パワージャパンが2020年3月に発表した「2020年 生命保険契約満足度調査」でも22位で、業界平均よりも下の順位です。顧客からの満足度は高いとはいえません。

2020年生命保険契約・顧客満足度ランキング(出典:JDパワー2020年生命保険契約満足度調査)

これらの調査の調査項目には保険の中身(保障・保険料)の他に、契約・更新時の手続き・顧客対応(アフターフォロー)等が含まれます。つまり商品そのものの評判は悪くない可能性がありますが、富国生命そのものの評判は良いとはいえなそうです。

総合評価・おすすめか?

結論としては、みらいのつばさは総合的には悪くない保険といえそうです。返戻率を僅かに犠牲にしますが、学資金の受け取り方を柔軟に設定できるからです。特に他社よりも細かく学資金を受け取りたい人には、ベストな保険となる可能性もあります。

一方で徹底的に返戻率を重視するなら日本生命やソニー生命を検討すると良いでしょう。さらに高い返戻率を求めるなら住友生命やジブラルタの学資保険も候補に上がります。また、契約者(親)の年齢が高めなら病気で保険料の支払いが免除される第一生命の「こども応援団」も検討の余地があるかもしれません。