新光 US-REITオープン『愛称:ゼウス』(USリート)/ 新光投信

新光 US-REITオープン『愛称:ゼウス』(USリート)
オススメ度:
3
運用会社:
新光投信
商品名:
新光 US-REITオープン『愛称:ゼウス』(USリート)
地域/決算:
北米 / 年12回(毎月)
対象資産:
不動産投信
基準価額:
4,274円(2012年6月11日付け)
手数料:
2.1%(申込手数料 ※岡安証券) 1.6%(信託報酬)

新光 US-REITオープン(愛称:ゼウス)は資産を削り過ぎて今後が不安?

この投信は、米国のオフィスビル・商業施設・住宅などの様々な形態の不動産を取得管理・運用しているリートへ投資し、それらが賃料収入や売却益で収益を上げ、還元された利益を分配金として出している商品だ。住宅を例に挙げると、賃貸物件の空室率が低く(稼働率が高く)、賃料や売却価格が高騰すれば、その分だけ利益も上乗せされる。その一方で、上記の反対の状況や、市場が低迷すれば、基準価額の下落・分配金減額等が起こりうる。

過去1年を振り返ると、分配金は毎月分配型(年12回)で毎月90円を出している。2010年7月に60円から90円に増額して以来、2012年現在まで分配金が減額されていない。

新光 US-REITオープン 『愛称 : ゼウス』・チャート

まず基準価額だが、2010年から微減しており、2011年後半から2012年前半で小幅に反発しているが、それも限定的だ。この流れが止まることは無さそうだ。

累積投資額は増加しているが、伸びは鈍化している印象がある。2010年に急増した純資産も、2012年現在は止まっている。ズルズルと基準価額(純資産)を削って分配金を出し続ける流れのチャートだ。過度な安心は禁物か。

新光 US-REITオープン『愛称:ゼウス』の組み入れ上位10銘柄及び業種比率

この投信の組み入れ銘柄だが、他社と比較するとダイワ米国リートやフィデリティUSリートよりも、若干だが小売関連への投資比率が低い。その代わりに、医療関連への投資比率が4%と高めに設定されている。

投資比率の高いサイモンはフィデリティUSリートを参照。3番目に比率が高い「VENTAS INC」が医療関連の不動産を主にする企業だ。保有する高齢者向け住宅は、米国の50州のうち46州に存在し、その件数は1,400件を超える。最近では米国で急成長しているメディカル・オフィスビル(健康維持・増進に特化した施設)への投資にも注力している。ただ、株価が急成長していない点からも、未来はある分野だろうが、今後の市場拡大次第といえそうだ。

米国の不動産市場・小売の各種経済指標

次に、米国経済の状況だが、2012年前半から小売売上高は堅調にプラスを維持しており、この投信でも小売系の不動産の比率が高いため追い風と考えられる。ただし、百貨店の売上は若干だが減少している。年後半の感謝祭以降(ブラックフライデー)で売上が伸びれば勢いは増しそうだが。。。

住宅に関しては、FRBの低金利政策により、住宅ローン金利は減少傾向にある。そのため新築着工件数は底打ちから反発しかけている。また、借家の空室率が減少していることから、賃貸への需要も旺盛なようだ。大規模な集合住宅への需要増は、この投信にとっても悪くはないはずだ。また、アメリカ都市部の住宅価格も下げ止まり、これから借家などへも賃料増の傾向が強まれば、この投信のさらなる追い風になる可能性はある。基本的には住宅市場の回復は緩やかに続いているため、気長に待つ必要がありそうだ。

次に、他社の米国リート型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。

計算上での考え方は以下
「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

製品名 フィデリティ
USリート
新光
US-REITオープン
愛称:ゼウス
ダイワ
米国リート・ファンド
ダイワ
US-REIT B
GS
US リート
トリプルエンジン
基準価額 5,155円 4,274円 5,832円 4,953円 3,664円
増減率 -11.9% -18.6% -16.9% -16.2% -15.6%
手数料 1.7% 2.1% 3.1% 2.1% 1.5%
信託報酬 1.47% 1.60% 1.59% 1.59% 1.50%
信託財産
留保額
0.3% 0.1% 0.3% 0% 0%
分配利回り 21.8% 23.7% 25.2% 25.1% 18.2%
3年分の
利益額
654,251円 710,072円 754,769円 751,815円 544,520円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,317,105円 1,227,306円 1,293,902円 1,318,848円 1,131,243円
最終予想
利回り
9.62% 7.07% 8.97% 9.66% 4.20%
米国リート型の投信の比較表(フィデリティUSリート・新光US-REIT 愛称ゼウス・ダイワ米国リートファンド・ダイワUS-REIT B・GS USリート トリプルエンジン)

上図の通り「新光 US-REITオープン ゼウス」は、基準価額の下落幅が最も大きい。1年前の2011年6月の基準価額が5,251円で、およそ18%程度が削られている。ここ数年で分配金は減額していないため、分配利回りは高い。しかし、他社の米国リートが15~16%程度しか削らずに、分配利回り25%をキープしている。その点を考慮すると、この投信は、運用益はイマイチのため、基準価額(純資産)を削り放題にして、かろうじて分配金をキープしている印象を受ける。

とはいえ、この投信を100万円で3年運用した場合の最終予想利回りは7%で、他社と比較しても特別に悪いわけではない。今後、分配金が減額するようであれば、状況は一変するだろうが、とりあえず現状の計算では黒字をキープできそうではある。。。

最後に結論だが、分配利回りこそ高いが、基準価額を他社よりも削っていることを計算に入れると、最終の予想利回りが他社に劣るため、人気がある投信ではあるがあまりオススメはできない。

もちろん、前述の通り米国の不動産事情などは好転の兆しを見せており、今後のパフォーマンスが上昇する余地は十分にある。しかし、回復基調にある現段階で、他社よりも回復の度合いが弱い点も気になる。累積投資額(分配込みの基準価額)の騰落率では、この投信が1年でプラス2%に留まっている中で、他のダイワ米国リート・ダイワUSリートがプラス3%、フィデリティがプラス5%となっている。やはり、数字を見る限りではダイワやフィデリティの米国リートの方が有利といえそうだ。