ダイワ・US-REIT(USリートB)/ 大和証券投資信託委託

ダイワ・US-REIT(USリートB)
オススメ度:
3
運用会社:
大和証券投資信託委託
商品名:
ダイワ・US-REIT(USリートB)
地域/決算:
北米 / 年12回(毎月)
対象資産:
不動産投信
基準価額:
3,922円(2017年7月現在)
手数料:
1.51%(申込手数料 ※大和証券) 1.5%(信託報酬)

ダイワ・US-REIT(USリートB)は悪くはない投信だが・・・・?

この投信は、米国のオフィスビル・商業施設・住宅などの様々な形態の不動産へ投資し、賃料収入や売却益で収益を上げている。ダイワ米国リートと同様に、その中でもマンション・アパートなどの集合住宅への投資比率が高めとなっている(詳細は後述)。そのため、それらの空室率や賃料、さらに各種の住宅指標によっても影響を受ける。

大和US-REIT・基準価額と純資産の推移チャート

まず基準価額だが、2013年と2015年頃には5000円台に回復する局面もあったが、だらだらと現在まで下落が続いている。その分だけ分配金再投資基準価額が上昇しているのかというと、一概に上昇しているとは言い難い。特に2015年頃からは上下はあれど横ばいに近く、苦戦している感がある。ただ、ベンチマークであるFTSE NAREITの指数(米国全体のリート景況を表す)には連動しており、この投信だけの苦戦とは言えない。

分配金の60円の内訳は翌期繰越分配対象額(過去から積み上げた利益のようなもの)を削ってはいるが、今期収益からも相応に出ているため、一応は安心感はある。とはいえ翌期繰越が減少しているのは確かなため、他の米国リート投信と同様に減配が少しずつ近づいているのは間違いない。

ダイワ US-REIT Bの上位構成銘柄及び業種比率

この投信の資産状況だが、基本的にはダイワ米国リートと同様になっている。集合住宅の比率が他社よりも高く、次いでオフィス・データセンターが高比率だ。前述したリート全体を表すリート指数に連動していることからも、特別な構成というわけではない。

個別銘柄ではショッピングモールなどを保有するサイモンがトップで、高級マンションを都市部を中心に保有しているUDR・エセックス・アバロンベイが続く。ホテルリゾートへの投資比率は低めだが、個別ではホスト・ホテル・アンド・リゾートが上位に入っている。同社は様々なホテルを保有するがマリオット系のホテルが多めのようだ。組み入れ比率が高めではないが、テロ等によって旅行需要が鈍化するようだとホテル系リートには悪影響を及ぼすため注意が必要だ。

米国リートの住宅・不動産市場の状況・経済指標と見通し

次に米国リート・不動産の見通しだが、各証券会社のレポートでは見通しが明るいものが多い。ただ、住宅関連の利益成長率の予想は低めで、ホテル・リゾート系も大幅な失速が見込まれている。

足元の数字を見ると、家賃はリーマンショック前に近い水準まで来ており、住宅の着工件数は1戸建ては余裕があるが集合住宅はリーマンショック前の水準を超えている。この水準をキープし続ける可能性も否定はできないが、最近のアメリカの移民などに対しての内向きな政策を鑑みると、供給過剰になる懸念は十二分にある。

さらにリートは銀行から資金調達で建物を取得するが、その銀行の貸し出し基準が厳格化している。グラフの数字では既にリーマンショック前の位置に近づいており、今後も引き締めに動くと予想される。それによって上手く供給が調整されればいいが、単なるリートの収益悪化と不動産価格の下落を招く可能性もある。

次に、純資産ランキング上位の米国リート型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。

製品名 フィデリティ
USリート
新光
US-REITオープン
愛称:ゼウス
ダイワ
米国リート・ファンド
ダイワ
US-REIT B
GS
US リート
トリプルエンジン
基準価額 4,254円 3,108円 4,182円 3,922円 2,827円
騰落率 -9.02% -11.1% -13.5% -10.5% -12.5%
分配金再投資
騰落率
11.4% 10.1% 11.2% 11.2% 9.5%
手数料 0% 2.0% 3.0% 1.5% 2.5%
信託報酬 1.4% 1.5% 1.5% 1.5% 1.4%
信託財産
留保額
0.3% 0.1% 0.3% 0% 0%
1年間の
分配金額
197,461円 193,050円 286,944円 244,773円 191,015円
分配金の
健全度
26.4% 12.0% 9.6% 10.8% 15.4%
3年間の
分配金額
547,384円 512,251円 782,232円 673,719円 505,146円
3年後の
100万
※分配金除く
753,074円 700,937円 647,215円 716,677円 668,086円
予想利回り 2.3%
(-11%~9%)
-1.0%
(-20%~6%)
-2.2%
(-19%~12%)
0.8%
(-13%~11%)
-2.9%
(-24%~5%)
米国リート型の投信の比較表(フィデリティUSリート・新光US-REIT 愛称ゼウス・ダイワ米国リートファンド・ダイワUS-REIT B・GS USリート トリプルエンジン)

上図の通り「ダイワ US-REIT B」は、基準価額のマイナス幅はフィデリティに次いで優秀で、分配金再投資基準価額でも優秀な部類に入る。分配金のために基準価額を削っているわりには、トータルで考えれば1年前に購入した人は相応の利益が出ていることにはなる。手数料もフィデリティほどではないが低く、諸経費を考えても悪くない数字といえそうだ。ただし、分配金の健全度が低い点は頂けない。そもそも10%という数字も低いが、上図の5つの中でも下から2番目と悪い。

この投信を100万円で3年運用した場合だが、元手の100万円は71万円まで減るが、今後も分配金が維持されるなら3年で合計67万円の分配金が受け取れることになる。この計算だと利回りは最高で年11%となるが、過去3年の実績値を考慮すると利回りはマイナス13%程度になる可能性もある。とはいえ、近々のパフォーマンスの良さからして最終予想利回りはプラス0.8%とした。

最後に結論だが、米国リートの投信の中では悪くはない部類に入る。分配利回りが高く分配金を重視する人にもいいかもしれない。ただ、分配金は純粋な利益ではなく特別分配金である可能性が高く、トータルのリターンでみればフィデリティの方が良い可能性は忘れずにおきたい。また、為替動向次第では簡単に赤字になる点も忘れずにおきたい。急激な円高が進めばリート要因のプラスが簡単に吹き飛んでしまうため、為替が円高傾向に入ったかどうかは注視しておく必要がある。現在保有中の人は、減配が発表されると他の保有者の売却が一気加勢に来て負の連鎖が始まる可能性があるため、随時確認しておくといいだろう。