日新火災 お家ドクター火災保険を比較・評価
- オススメ度：
- 保険会社：
- 日新火災
- 名称：
- お家ドクター火災保険
- 基本補償：
- 火災
- サービス：
- カギ・水回りの補修
- オリコン：
- １１位 / １２社中
- 特徴：
- 高品質な修理と保険金のお支払をセット
お家ドクター火災保険は日新火災が2023年1月から販売を開始した火災保険です。火災や自然災害で修理が必要となった場合に、優良な修理業者（工務店）を紹介し手配までしてくれるのが最大の特徴です。近年問題となっている悪質な修理業者を選ばずに済みます。
さらに、この指定工務店特約を付加すると建物の保険料が3％割引になる等、契約者にとっては嬉しい特典もあります。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の火災保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は火災だけが必須の補償で、他の風災・水災等の補償は自分で取捨選択できます。他社ではセットか必須になりがちな風災・水災も補償外にできます。さらに他社の多くが基本的にはセットとしている費用補償（事故時諸費用補償特約・残存物片付け費用等）も外すことが可能で、補償を最小限にして保険料を節約できます。
その他の補償では指定工務店特約は自動セットで、それ以外はオプション（特約）で選択できます。指定工務店特約は火災・風災等で損害が出た時に、日新火災が案内してくれる業者が建物を修理する特約です。この特約を良いと思って大半の人は検討しているはずですが、不要な人は外すことも可能です。その場合には保険料が3％ほど上昇します。
その他の特約は自宅の火災がが隣家に及んだ場合に補償される類焼損害補償特約、火災で家が使えない場合に補償される仮すまい費用補償特約、子供が物を壊したり他人をケガさせた場合等に補償される個人賠償責任総合補償特約等があります。個人賠償責任総合補償特約は自転車事故も補償の対象となり示談交渉サービスも付いているため、自動車保険等の他の保険に付帯していないなら付加するのが無難です。
他社の火災保険であまり見かけないのは被害事故弁護士費用等補償特約です。これは個人賠償～の逆で自分が被害者になった場合に、相手方に治療費等を請求するための弁護士費用が補償されます。特に自分の過失がゼロ（追突事故や青信号を歩行中に自動車にぶつかった）といったケースでは、相手方の保険会社と自分で交渉する必要があります。そういったケースで弁護士に相談できるのは大きいでしょう。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は東京都・戸建て（木造新築）・90平米で、保険金額を建物1500万円・家財1000万円に設定すると、5年一括払いで109,750円です。同じ条件で居住地を大阪にすると、保険料は5年一括払いで144,650円に上昇します。マンションで70平米・建物1000万円・家財1000万円だと、保険料は東京で36,050円、大阪で40,950円になります。
この保険料は指定工務店特約を付加したケースのため、指定工務店特約を付加しないと保険料は3％高くなります。また、指定工務店特約で割引されるのは建物分の保険料だけのため、家財分の保険料は指定工務店特約による3％割引は適用されません。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。戸建ての条件は木造新築・90平米・建物1500万円・家財1000万円、マンションの条件はコンクリート造・70平米・建物1000万円・家財1000万円としました。この条件で破損汚損は補償外・地震保険なし（地震保険の保険料は各社同じのため）で、5年一括払いでシミュレーションしました。さらに関東（東京都杉並区）と関西（大阪市城東区）に分けて保険料を一覧表で比較しました。
この保険の保険料を他社と比較すると、戸建てだと他社よりも相対的に安く最安値圏の保険なのが分かります。最安値の都道府県民共済との差は僅か9000円ほどです。マンションでも安い部類に入りますが、やはり最安値の保険とは1万円近い差額があります。
以上を踏まえると、お家ドクターの保険料はマンションでも戸建てでも安く優秀です。戸建てだと都道府県民共済やコープ団体保険の方が僅かに保険料は安いのですが、共済は不安な人やコープ組合員でない人なら、この保険が実質は最安値の保険です。マンションなら楽天損保に次いで保険料が安く、メリット・デメリット次第では日新火災を選ぶのも手でしょう。
メリット
この保険のメリットは、まずは保険料が安い点が挙げられます。この保険よりも保険料が5～6万円も高い保険が他社には相当にあり、他社からの乗り換えなら保険料が大きく節約できるでしょう。さらに補償の選択に自由度があるため、不要な補償を外せば一段と安い保険料にできます。例えば、水災は居住地が海・川・用水路から遠ければカットするのも手です。
指定工務店特約もメリットです。保険料が安くなる上に業者選びが容易になります。火災が発生した場合、自宅が修復するまでの仮住まいの手配から、新たに家財（衣服・食料・家電等）の調達を早急にする必要があります。それと同時に業者探しもするとなると気が重くなりますが、火災保険の保険金の請求と同時に保険会社が業者の手配までしてくれるなら手間も時間も省けます。
さらに細かい点ですが、付帯しているハウスアシスタンスサービスの範囲が広いのも地味に良い点です。他社ではカギ・水廻りに限られている保険もあります。この保険はカギ・水廻りに加えてエアコン・給湯器のトラブル対応、さらにハチの巣駆除まで対応してくれます。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは補償を選択できるといっても限界がある点が挙げられます。補償の中で水濡れ・盗難・騒擾・物体の衝突はセットになっています。騒擾・物体の衝突だけ外して、水濡れ・盗難だけ付加するのは不可能です。他社ではセゾン自動車火災の「じぶんでえらべる火災保険」なら、この保険よりも細かく補償を選択できます。
細かい点でいえば地震火災保険金について記述が無いのも気がかりです。地震・津波が原因で起きた火災は基本的に火災保険の補償外で地震保険で補償されます。ただ、損害が一定割合以上だと地震火災費用保険金（火災保険の5％）が受け取れる火災保険が大手では多いです。その記述が見当たらないため、この保険を検討している人は地震保険も付加した方が賢明かもしれません。
ちなみに指定工務店特約は基本的にはメリットですが、マンションでの火災を修復する場合は管理会社が紹介する業者でのみ修復可能、というケースも多い点に注意が必要です。その場合には特約には意味が無くなります。その心配は戸建てならありませんが、保険会社（正確には提携している株式会社ローカルワークス）が紹介している業者だから、100％安心ではない点に注意が必要です。
評判・苦情
日新火災の2021年度（2021年4月～2022年3月）の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の1477億円から1454億円になり1.5％減と横ばいでした。火災保険単体でも334億円で前年度から1.8％減と横ばいに近い状態でした。
お家ドクターは2023年1月に販売開始されたため含まれていませんが、契約数からすると火災保険の評判は普通です。ただ、お家ドクターは価格.com経由の契約数ランキングでは5位と上位に位置しており、今後は数字が伸びる可能性はあります。
次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、日新火災全体に寄せられた苦情数は2186件（2021年度累計）でした。苦情の中身は「保険金に関する苦情」が多く、保険金の対応の遅れ・対応方法に苦情が集まっています。保険金について経過報告などが無い（少ない）ということがありそうです。
次にオリコンの火災保険 総合ランキング2023（実際にサービスを利用した約8600人が調査対象）ですが、日新火災は12社中11位と最下位近辺でした。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・サービス体制ですが、全ての項目が平均点以下になっています。顧客満足度は他社より低いのは間違いありませんが、この調査は2022年末までの調査結果のため今後は上昇する可能性はあります。
個別のクチコミでは「ネット申込み画面が突然消えたり画像が遅れない」「保険料が高く補償内容は曖昧」「雨で濡損したが保険金が出なかった」等の意見がありました。これらの万遍ない意見・感想により顧客満足度が全体的に低くなったと考えられます。
以上のデータから考えると日新火災の評判は普通そうですが、火災保険については評判は良くないようです。ただし、重ねてになりますが、お家ドクターは販売から間もない保険です。今後は上がり目があり評判が良くなる期待は持てます。もちろん逆に以前の火災保険と同様の評判になる可能性もありますが。。。
総合評価・おすすめか？
結論としては、日新火災 お家ドクターは総合的には悪くない保険です。評判面での不安はありますが、保険料・補償内容は上々で指定工務店特約も基本的には良い特約だからです。ただ、マンション住まいの人は楽天損保より少し高い点と、指定工務店特約が無意味となる可能性に注意が必要でしょう。
保険料の安さを追求したい人は、戸建てなら都道府県民共済、マンションなら楽天損保・ジェイアイ傷害火災等も検討した方が賢明です。補償内容・評判等も加味した保険が欲しい人は、ソニー損保や東京海上を優先的に考えた方が良いでしょう。
