明治安田生命 つみたて学資を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 明治安田生命
- 名称:
- つみたて学資
- 加入年齢:
- 0~6歳
- 支払開始:
- 18歳~
- 返戻率:
- 102.9%~
- 特徴:
- お子さまの成長にあわせ教育費を計画的にご準備
明治安田生命の「つみたて学資(こども保険)」は、かんたん保険シリーズ ライト!の学資保険で2016年から販売を開始しています。この保険と「じぶんの積立」がシリーズの軸となっており、販売件数はシリーズ累計で130万件を超えています。CMでライト!くんを見たことがある人も少なくないでしょう。
販売件数が堅調で知名度は高いといっても、保障内容がイマイチでは無意味です。以下で保険の概要を記載し他社の保険と比較していきます。
保障内容
つみたて学資は主に大学の学費に備える学資保険のため、教育資金(学資金)と満期保険金で計4回受け取る仕組みになっています。他社のように幼稚園入園~高校入学時も学資金が受け取れるタイプはありません。また、子供が生存しているのが学資金の受取条件となるため、子供が万が一にも死亡すると死亡給付金を受け取ることになります。死亡給付金は支払った保険料が戻ってくるだけで、基本的に支払った保険料よりも増えません。
保険料を支払う期間(払い込み期間)は、他社のように10~18歳ではなく10・15歳か一時払い(一括払い)となります。学資保険は運用額が大きいほど、運用期間が長いほどに有利になります。そのため返戻率では一時払いが最も高く、次いで10歳・15歳となります。ただ、一時払いが最も得だとしても自分に適しているか否かは考える必要があります。
仮に100万円なり300万円が手元にある場合、その資金の目的があるのか無いのかを確認しましょう。もしも住宅ローンの頭金や自動車の購入費用なら、学資金に回すのは止めた方が賢明です。住宅ローンの金利は1%以下とはいえ、学資金の返戻率を金利(利率)に換算した数字よりは高いです。
一応、一時払い300万円で返戻率109%なら金利で0.42%となり、住宅ローンの変動金利とは同等レベルではあります。しかし、10年固定金利で11年目以降は変動金利だったりすると、間違いなく住宅ローンの方が高金利になるためローンの頭金にした方が得になります。また、自動車を現金ではなくオートローンを組んで買う場合も、学資保険より確実に高金利なため同様に避けた方が良いです。
また、一時払いなら他の金融商品とも比較する必要があります。さすがに個人向け国債・定期預金よりは学資保険の方が得ですが、個人向けの社債だと話は別です。社債は発行する企業が破綻・倒産しない限りは元本が保証されます。例えば、ソフトバンクグループの無担保社債なら利回りは年1.1~1.2%もあります。300万円なら1年後に303万円になる計算です。学資保険が18年後に327万円(返戻率109%の場合)になるのに対して、社債なら期間が半分の9年後には単純計算で327万円になります。
ただ、社債でも外貨建てだと為替変動分だけ損する可能性があるため、教育資金という目的には相性が良いとはいえません。また、仕組債・EB債は金利が5%を超えることもありますが、投資の色合いが強すぎるため適していません。これらの債券と普通社債と間違えないようにしましょう。また、社債を購入する場合には証券会社の口座が必要な点、発行している企業が破綻・倒産しないか多少なりとも調べる必要があります。
その他の保障面では、契約者(親)が死亡した際に以後の保険料が免除される払込免除がありますが、保険料払込免除以外に付加できる特約はありません。いかに教育資金を効率的に貯めるかに焦点が置かれた学資保険といえます。
保険料・返戻率を比較
つみたて学資は、保険料の払込期間の他に学資金の受取総額(基準保険金額)が大きくなると高額割引適用で保険料が割引され返戻率が上昇します。基準保険金額が50万円なら4回受け取った受取総額は200万円となり、保険料は月額15899円となります。受取総額300万円(基準保険金額75万円)の場合、保険料は1.5倍の23848円となるところが高額割引適用で23623円となります。
毎月の保険料は225円だけ安くなるだけですが、返戻率を1%ほど押し上げます。高額割引は基準保険金が70万円から適用されるため、受取総額で280万円以上を設定するのが得です。高額割引に加えて、保険料の払込期間を短くするほどに返戻率は上昇します。一時払いで総受取額300万円で高額割引が適用されれば、返戻率は109%となります。払込期間を10年にしても105.8%、15年にしても105.8%の返戻率が確保できます。この数字は他社と比較すると、ソニー生命や日本生命にも匹敵する高さだと分かります。下図の比較表を見てください。
他社では払込期間が12年で101~103%台の学資保険もあり、明治安田で払込期間15年の場合の返戻率をも下回ることがあります。その点からも明治安田の返戻率の高さが分かるでしょう。また、一時払いなら払込期間10年よりも確実に高い返戻率となる学資保険ともいえます。
メリット
この保険のメリットは、まずは大学の学費に特化している点が挙げられます。文部科学省の「子供の学習費の調査結果(平成28年)」では、公立の中学・高校なら学費は給食費込みで年間18~28万円程度です。学習塾に行けば追加で年間15~30万円が発生しても33~58万円です。
それに対して大学となると国公立で入学初年度に80~90万円、私立なら初年度に110~150万円となり高校とは桁が違います。2年目以降は国立・私立共に28~40万円となりますが、子供が1人暮らしをしていれば仕送りが負担となり続けます。そのため学資保険は最も費用が膨らむ大学の学費・諸経費に備えるのが理に適っており、その意味で祝金があるタイプが無い点はメリットといえます。
また、その大学の学費に向けて効率的に貯められる返戻率でもある点もメリットです。保険料の払込期間が一時払い・10年・15年になりますが、確実に100%を超えてきます。特に一時払いは前述したように他の金融商品と比較する必要がありますが、高額割引適用と併せて返戻率は109%超(年利0.42%)となります。300万円なら18年後に約330万円になる計算で、1年分の大学の学費は増加分で賄えることになります。
また、余計な特約が無い点もメリットかもしれません。他社の学資保険には子供のケガ・病気を保障する特約がありますが、この保険には特約で付加できないため悩む余地もありません。
デメリット・注意点
この保険のデメリットは、第一に学資金が大学の学費に限定される点です。メリットでもありますが、人によっては学習塾の費用が膨らむ中学・高校から祝金でも受け取りたい人もいるはずです。また、子供を私立の中学・高校に入学させたい人は学費が膨らむ時期が早まってしまいます。そのため人によっては大学の学費に限定されるのはデメリットになります。
高い返戻率もメリットですが、あくまで保険料払込期間が一時払い・10年・15年の場合です。18歳まで保険料を支払うことで家計への負担を軽減したいと考えている人にとっては、払込期間を10年に短縮することで増える保険料がデメリットになります。学資保険は中途解約すると解約返戻礼金があっても、支払った保険料総額を下回り損をします。返戻率に気を取られて無理のある保険料とならないよう注意が必要です。
その心配は保険料の一時払いなら無さそうですが、前述したように事前に用途が決まっている資金は使わない方が賢明です。用途が決まっていない資金でも、貯金が減れば家計の弾力性が無くなり緊急時(病気・怪我・親の介護等)の対応が難しくなります。無くても支障がない貯金かは個々人で熟慮した方が良いでしょう。
評判・苦情
明治安田生命の決算資料によると2019年度(2019年4月~2020年3月)の学資保険の新規契約件数は1.9万件で、前年度の2.1万件から鈍化しました。他社では新規契約数は横ばいか微増傾向にあることから、契約数等から考えると評判は良いか悪いか微妙です。
さらに生命保険協会のデータによると、明治安田生命全体に寄せられている苦情数は7094件(2020年度第1四半期時点)です。総契約数の1230万件で割った苦情率は0.05%で、1000件のうち0.5件で苦情が発生しています。日本生命・第一生命の0.02%よりも高い数字で、苦情面から考えても評判は良くて普通でイマイチの可能性もありそうです。
また、オリコンの生命保険会社の顧客満足度ランキングでも29社の中で22位と低位です。J.D.パワージャパンが2020年3月に発表した「2020年 生命保険契約満足度調査」でも20位で、業界平均よりも下の順位です。顧客からの満足度は高いとはいえません。
これらの調査の調査項目には保険の中身(保障・保険料)の他に、契約・更新時の手続き・顧客対応(アフターフォロー)等が含まれます。つまり商品そのものの評判は悪くなそうですが、明治安田生命そのものの評判は決して良いとはいえません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、つみたて学資は上々の保険といえそうです。評判面での不安はありますが、学資保険は医療保険等と異なり、給付金が受け取れる・受け取れないといった問題は発生しにくいです。少なくとも子供・親が生きていれば子供が18歳になれば間違いなく学資金が受け取れます。その学資金の返戻率が高いのも大きなポイントです。
一方で評判を気にするなら日本生命(次点でソニー生命)を検討すると良いでしょう。110%を優に超える高い返戻率を求めるなら外貨建ての住友生命の「たのしみ未来(学資プラン)」も候補に上がります。また、契約者(親)の年齢が高めなら病気で保険料の支払いが免除される第一生命の「こども応援団」も検討の余地があるかもしれません。