第一生命 こども応援団を比較・評価

第一生命 こども応援団
オススメ度:
2
保険会社:
第一生命
名称:
こども応援団
加入年齢:
0~10歳
支払開始:
15・18歳
返戻率:
100.8%
特徴:
大学進学にかかる教育資金を計画的に準備

こども応援団は第一生命の学資保険の1つで、この他にMICKEY(ミッキー)という学資保険もあります。両者の最も大きな違いは、契約者である親が心筋梗塞・がん・脳卒中といった病気になった場合に保険料の支払を免除されるか否かです。

こども応援団は親が病気になると保険料が免除され、もちろん死亡しても保険料が免除されます。その分だけ保険料が高く(返戻率が下落)なります。それでは以下で保険の概要を記載し、他社の保険と比較していきます。

保障内容

こども応援団の学資金は計5回受け取れ、受取開始年齢は17歳か18歳かを選択できます。4年制の大学なら4回の学資金で十分ですが、余計な1回の学資金は意外と使用用途は幅広いです。大学入学前に受け取れば受験費用・学習塾の授業料・浪人時の予備校費等に回せます。卒業後(正確には卒業直前の4年生時)は就職活動・引越し費用・新居の敷金等に回せます。他社では学資金の受取回数は1回か4回であることが多いです

第一生命 こども応援団の保障内容・仕組み(出典:第一生命公式HP)

しかし、受取回数が1回多い分だけ学資金の1回あたりの金額は少なくなります。学費としては過不足なく、かつ家計には過大な負担とならない学資金額・保険料を考える必要があります。金額が不足するか不安な人は、余計な1回分は17歳で受け取り、それを分割して学費に充当するか残しておくのも手です。

こども応援団の保障には払込免除保障が付加されています。この保障で含まれる病気は所定のがん・急性心筋梗塞・脳卒中・要介護状態・身体障害・死亡です。日本人の三大死因とされる三大疾病に要介護・身体障害・死亡が含まれていると考えれば良いです。

第一生命 こども応援団とミッキーの保障の違い(出典:第一生命公式HP)

注意すべきは払込免除特約は子供ではなく親が対象という点です。多くの学資保険にある子供の医療費の保障は基本的に不要ですが、親となると話しは別です。この保障が必要か否か(ミッキーで良い?)という点は後述のメリット・デメリットの箇所で解説しますが、この保障のせいで返戻率はミッキーよりも下落します。その点について続けて解説していきます。

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保険料・返戻率を比較

この保険は契約者(親)が30歳で子供が0歳で保険金額300万円で15歳払済だと、保険料は月額16525円です。同条件でミッキーB型は16323円、ミッキーC型は16226円です。こども応援団の方が病気の保障の分だけ保険料が高くなります。返戻率でもこども応援団が100%ギリギリなのに対して、ミッキーは102%台です。

こども応援団の返戻率が一応100%を超えていますが、ソニー生命や日本生命は18歳払い込みで返戻率が100%を超えます。保険料の払い込み期間を短くするほどに返戻率は上昇するため、ソニー生命・日本生命なら一段と返戻率は上昇します。20以上の学資保険を比較した下図を見て下さい。

学資保険・こども保険の被保険者年齢・払込期間10年と15年と18年の場合の返戻率・苦情率の比較表(日本生命・住友生命・ジブラルタ生命・ソニー生命・明治安田生命・JA共済・富国生命・第一生命・アフラック・かんぽ生命・太陽生命・SOMPOひまわり生命・朝日生命・東京海上日動あんしん生命・フコクしんらい生命・三井住友海上あいおい生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

同じ15歳払い済みだと太陽生命や明治安田生命がありますが、太陽生命の95%よりは高いものの明治安田生命の104%には劣ります。明治安田生命で学資金300万円で契約すれば、こども応援団よりも学資金は12万円も多く受け取れる計算です。また、ソニー生命で15歳に払込年数を短縮すれば返戻率は105%台になるため、返戻率だけで考えるとソニー生命(+日本生命)も十二分に候補になります。

メリット

この保険のメリットは、まずは1回多い学資金と受取開始の年齢を選択できる点です。余計な1回分を入学前に受け取れば大学受験費用、卒業間際なら就職・引っ越し費用に充てられます。学資保険というと大学の学費に充てるイメージが強いのですが、学費以外に発生する費用をカバーするのに役に立ちます。

また、契約者である親の病気への保障(保険料払込の免除保障)もメリットです。がん・心筋梗塞・脳卒中になれば治療費の他に、休職等による収入減少が見込まれます。子供が生まれて家・マンションを購入して住宅ローンを組んでいれば、収入減少により家計は一気に厳しくなる可能性があります。学資保険は解約すれば解約返戻金が受け取れますが、解約返戻金は支払った保険料の総額を下回るため解約は損失になります。

その点、病気になって保険料の支払いを免除されれば家計への負担が減ります。さらに4年制の大学へ進学できる学力があるのに短大・専門学校へ進学したり高卒で就職する、というような子供の将来に影響する可能性も排除できます。そう考えれば多少の返戻率を犠牲にしても、病気への保障を付けるのは意味があります。

デメリット・注意点

この保険のデメリットは、まずは返戻率が低い点が挙げられます。保険料の払込年数を17年か18年にすると返戻率は100%を下回る可能性が高いです。返戻率の箇所で既述したように他社なら一段と有利な条件となります。

また、メリットでもある保険料払込の免除保障も必要性があるのか疑念があります。内閣府「平成29年度版少子化社会対策白書」によると、平均初婚年齢は男性が31.1歳で女性が29.4歳、第一子の出産年齢は30.7歳です。子供が18歳の時の両親の平均年齢は48歳前後となります。保険料が免除されるには48歳よりも前に三大疾病になる必要がありますが、40代で三大疾病になる可能性は低いです。

国立がん研究センターの最新がん統計によれば、がんに40代で罹患する確率は1~2%です。2017年の患者調査(厚労省)によれば心筋梗塞・脳卒中は50代から顕著に増加しますが、患者数のピークは60~70代です。確率から考えれば宝くじよりは高いものの、それでも低い確率といえます。

年齢別のガン罹患リスク(出典:国立がん研究センター 最新がん統計2020年7月時点)

さらに、こども応援団は18歳ではなく15歳払済で返戻率が100%を超えるため、両親の年齢は一段と低く考える必要があるかもしれません。何にせよ年齢を考慮すると子供が生まれたのが30代後半や40代前半でないと、保障が活きてこないといえます。少なくとも子供が18歳の時に親が50代後半か60代に入る場合に限り検討の余地があるでしょう。

ちなみにメリットでもある1回多い学資金は、回数が1回多い分だけ1回の学資金額は減ります。1回の学資金額を増やすには毎月の保険料も増やすしかありません。払い込み年数の短縮化での保険料の上昇と相まって保険料は家計の負担になります。

評判・苦情

第一生命の決算資料によると、2019年度(2019年4月~2020年3月)の学資保険の新規契約件数は2.6万件です。前年度が2.7万件のため微増か横ばいのため、契約数から考えると評判は悪くはなさそうです。生命保険協会のデータでは第一生命全体に寄せられている苦情数は5728件(2020年度第1四半期時点)です。総契約数の2073万件で割った苦情率はも0.028%で、1万件のうち2.8件で苦情が発生しており苦情数からは評判は良いといえます。

その一方でオリコンの生命保険会社の顧客満足度ランキングでは、第一生命は29社の中で19位と中位に位置しています。アフターフォローへの評価は悪くありませんが、商品内容・加入手続き・保険料がイマイチです。J.D.パワージャパンの「2020年 生命保険契約満足度調査」でも下から数えた方が早い順位です。

2020年生命保険契約・顧客満足度ランキング(出典:JDパワー2020年生命保険契約満足度調査)

この調査の調査項目には保険の中身(保障・保険料)の他に、契約・更新時の手続き・顧客対応まで含まれます。オリコンから考えて顧客対応は悪くないとしても、各種手続きではストレスを感じる場面がありそうです。第一生命は対面営業が主のため担当者次第の側面はありますが、評判は良くはないor少し悪いといえそうです。

総合評価・おすすめか?

結論としては、こども応援団はあまりオススメできない保険です。1回多い学資金も自分次第で他社の学資保険でも可能です。4回の学資金の各回の25%分を貯金すれば、4回受け取った時点で1回分の学資金が貯金できます。保険料払込の免除保障も年齢次第では返戻率の足かせとなるだけです。この保険を検討すべき人は年齢が30代後半か40代で子供が生まれた人だけでしょう。

そのため第一生命の学資保険を検討している人は、他社の保険も積極的に検討した方が賢明です。返戻率を重視するなら日本生命やソニー生命を検討すると良いでしょう。さらに高い返戻率を求めるなら外貨建ての住友生命の「たのしみ未来(学資プラン)」も候補に上がります。