グローバル財産3分法ファンド(毎月決算型)/ 国際投信投資顧問

国際投信投資顧問/グローバル財産3分法ファンド(毎月決算型)
オススメ度:
1
運用会社:
国際投信投資顧問
商品名:
グローバル財産3分法ファンド(毎月決算型)
地域/決算:
グローバル / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
不動産・債券・株式
基準価額:
4,470円(2012年2月2日付け)
手数料:
0%(申込手数料 ※岡三オンライン証券) 1.50%(信託報酬)

グローバル財産3分法ファンドは今からでは状況は厳しくなるばかりか?

この投信は、不動産(リート)と債券と株式の3分法で運用している投信だ。他社では債券の比率が高い投信もあるが、この投信は3分法という名の通り、1:1:1の比率で、株式とリートは日本ということもなく全てが世界各国に投資している。中でも債券は新興国債券に投資しており、他社のように先進国のソブリン債で固めてはいない。なかなか特徴的な投信といえそうだ。

また、過去1年を振り返ると、分配金は毎月分配型(年12回)で近々は毎月10円~20円を出している。2011年12月までは20円だったが、2012年1月から10円となった。さらに過去を遡ると2009年には55円、2010年でも30円の分配金を出していたことから、今後、0円になる可能性も十分にある。他社との主な相違点・特徴は下記3点。
①財産3分法でも1:1:1で、債券では新興国(ただしソブリン債)への投資比率が高い
②国別の構成では北米・西欧への比率が高く、通貨ではドルが7割り近い
③分配利回りは低めで、基準価額の騰落率は検討するがマイナス運用になる可能性あり(後述)

グローバル財産3分法ファンド(毎月決算型)の基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社同様に下落はしているが、1年の騰落率ではマイナス幅は小さいほうだ。分配金も減額したこともあるだろうが。。。その分配金再投資は横バイか減少に近い動きで、非常に心元ない状態だ。

各資産別に見ると、やはり債券は大きく動かず、国際株式が大きく足を引っ張っている。

グローバル財産3分法ファンド(毎月決算型)の国別比率及び上位構成銘柄

この投信の上位組み入れ銘柄は左図。北米の次に西欧の比率が高い。新興国の債券も組み入れていることから中南米の比率も比較的高めだ。
足を引っ張っている国際株式は、マイクロソフトやGE、スーパーメジャーの1つである英BPなどが並ぶ。大企業が並ぶが、明らかに頭打ち感のあるマイクロソフトや先般の原油流出事故を起こしたBPと、厳しい銘柄もチラホラと見える。

クラウドコンピューティング市場予測

この投信の中で国際株式の上位組み入れ銘柄に見える、IT関連企業について、これからIT企業の成長の軸になるであろうクラウド事業について今後見通しを考えてみる。

左図の通り、世界のクラウド市場は、2014年までに数百億円レベルで成長すると考えられている。特に個人向けのクラウドサービスは、今後のIT市場での比率を高め、重要視されると考えられている。左の下図(国内での調査)を見ると、未だクラウドに関しての意識は低く、webでのフリーメールでの利用に留まっている。スマートフォンの普及につれて、プライベートクラウド、特にオンラインストレージの普及は間違いない。iCloudやEVERNOTEが牽引していくだろう。ここからの、一定割合での成長は間違いないと考えていいだろう。

次に、基準価額、騰落率、手数料、信託報酬、分配利回り、100万円分を5年運用して解約した際の利益額も比較する。その計算式は下記だが、分配金は2012年現在の金額から変動しないと考える。
「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」※信託財産留保額は投信解約時に発生する解約金

最後に、基準価額の増減も加味して5年後に100万円の元がとれるか?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の騰落率が、今後の5年間も繰り返すと仮定し、分配金も現状維持だとした場合に、運用していた100万円が5年後に赤字か黒字かを検証した。
計算上での考え方は以下の通り(面倒な方は読み飛ばして頂いて構いません)
「過去1年間の基準価額の騰落率がマイナス5%で、現在の基準価額が10,000円とすると、1年後は9,500円(10,000×95%)、2年後は9,025円(9,500円×95%)、3年後は8,573円・・・・・と基準価額は減少すると仮定する。5年後の減少した基準価額×口数(=目減りした資産)に、5年分の分配金を足すと100万円を超えているか否か?」これを、他社の財産3分法型の投信(純資産ランキングで上位4商品)と比較した。

商品名 日興
財産3分法ファンド
三井住友
グローバル3資産
ファンド
日興
世界の財産3分法
ファンド
野村
世界三資産バランス
ファンド
国際投信
グローバル財産3分法
ファンド
基準価額 4,859円 4,755円 4,854円 6,714円 4,470円
騰落率 -9.0% -3.0% -8.0% 0.03% -3.3%
手数料 1.5% 2.1% 1.5% 1.0% 0%
信託報酬 0.99% 1.47% 0.99% 1.15% 1.50%
分配利回り 16.3% 7.4% 6.4% 3.3% 1.2%
信託財産
留保額
0.3% 0.25% 0.2% 0.15% 0.25%
5年分の
利益額
796,875円 344,640円 304,328円 154,414円 59,228円
100万で
5年運用
※基準価額増減考慮
1,420,908円 1,203,374円 963,410円 1,155,915円 902,265円
財産三分法の投資信託の比較表(日興 財産3分法ファンド(毎月分配型)・三井住友グローバル3資産ファンド・日興 世界の財産3分法ファンド・野村 世界三資産バランスファンド・グローバル財産3分法ファンド)

上図の通り「グローバル財産3分法ファンド」の分配利回りは低く、信託報酬も他社よりも高めの数字だ。基準価額の騰落率がマイナス3%と健闘しており、手数料も証券会社によっては0%となっていても、最終的な予想の運用結果はマイナスになりそうだ。上図には無いが、基準価額を考慮しての最終予想利回りはマイナス2%程度と厳しい結果になっている。

最後に結論だが、世界経済が大幅に回復すれば・・・と微かな希望があるが、基本的には今からの購入はオススメできそうにない。純資産も減少が止まらない中、分配金が出なくなっても不思議ではない。やはり他社の投信を購入した方がいいだろう。現在保有中の人は、早々に他の投信への乗り換えを健闘したいところ。分配金が0円になる前に手を打ってしまうのが妥当か。分配金再投資額でも、これ以上の大きな伸びは期待できまい。