ニッセイ 高金利国債券ファンド 愛称スリーポイント/ ニッセイ アセット マネジメント

ニッセイ アセット マネジメント/ニッセイ 高金利国債券ファンド 愛称:スリーポイント
オススメ度:
2
運用会社:
ニッセイ アセット マネジメント
商品名:
ニッセイ 高金利国債券ファンド 愛称 : スリーポイント
地域/決算:
海外・先進国 / 毎月分配型(年12回)
対象資産:
債券
基準価額:
6,922円(2012年11月14日付け)
手数料:
1.5%(申込手数料 ※フィデリティ証券) 1.10%(信託報酬)

ニッセイ 高金利国債券ファンドは投資する国を3カ国に絞っても利回りは?

ニッセイ 高金利国債券ファンドは、格付けがダブルA格以上の先進国の債券に投資し分配金を出している。ただし、実際にはトリプルA格の債券が100%を占めている。また、投資対象の国はオーストラリア・ノルウェー・イギリスの3カ国のみで、純資産が1,000億円を超えている投信の中では、DIAM高格付インカム・オープンに次いで国数が少ない。一般的に、投資先が少ないと何れか1つに大きな変動(マイナス)が起きると、全体に及ぼす影響が甚大になるため回避すべきところだが、投資国を増加させる程に世界中が好景気にならなければ良好なパフォーマンスを出せなくなるため、ある程度は投資先を絞り込む必要がある。それにしても3カ国とは潔い。さて、過去1年の分配金履歴を見ると毎月25円となっている。ただし、2010年から2011年9月までは35円であった点を鑑みれば、現在の状況は決して良好とは言い難い。

ニッセイ 高金利国債券ファンド 愛称:スリーポイントの基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、リーマンショック時は別にすると、横バイ→経済情勢悪化→下落から反発せずに横バイ→経済情勢悪化→下落から横バイを繰り返しているように見える。明らかに近々で明らかに上昇したのは2012年2月の日銀バレンタイン金融緩和だけだ。他社のように右肩下がりでは無いが、段階的に数値が切り下がっているのは確かだ。累積投資額も未だに2008年時を超えられない。

純資産は基準価額より状況が悪い。前述の日銀緩和の際にも増加の気配は無く、ひらすら減少している。もはや巻き返しは無いだろう。さらなる分配金の減配も時間の問題だろう。

ニッセイ 高金利国債券ファンド  愛称:スリーポイントの国別上位構成銘柄及び通貨比率

組み入れている債券は、冒頭でも述べた豪州・英国・諾威の3カ国に限定されており、通貨もほぼ同比率となっている。他社のソブリン債型投信と比較して英国への投資比率が高い点は特徴といえる。英国は五輪で当初の想定ほどの経済効果が見られず、LIBOR問題から金融市場への不信感も強く、今後の動向が気になるところだ。

個別の構成銘柄では、ノルウェー国債が約15%を占め、次いで複数のオーストラリアの州債が並ぶ。その1つで、オーストラリアで1、2を争う都市であるケアンズを擁し、鉱業の他に世界遺産グレートバリアリーフやゴールドコースト等の観光資源も豊富なクィーンズランド州の州債がある。他社と異なり高比率となっている英国に関しては、償還日の異なる国債のみが組み入れられている。

ノルウェー経済指標

この投信で高比率だが、日本人には縁が薄いノルウェー経済の見通しは、債務問題で揺れる欧州諸国の中では堅調で輸出も伸びてはいる。ただし、輸出の7割近くが石油・天然ガスで、投機マネーでも価格が上下する原油価格に大きく影響を受ける。近年では領海である北極圏の海底資源の開発も実施しているが、資源頼みなのは変わらない。

実体経済では、ユーロ圏の景気後退の影響もあり失業率は上昇し、資源関連以外の事業が育たないため株価も停滞している。しかし、幾つかのマイナス要因があれど国の財政状況は健全なため、ユーロ圏の資金の逃避先として利用されている。通貨クローネも上昇し輸出に悪影響が出そうになり、ノルウェー政府は金利引き下げを実施している。ただ、資源頼みの経済構造からの脱却は未だに見出せず、今後の経済発展という意味でのパンチ力には欠ける。。。

次に、他社のソブリン債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 国際投信
グローバルソブリン
オープン
DIAM
高格付けインカム
オープン
大和投信
グローバル債券
ファンド
日興アセット
高金利先進国債券
オープン
ニッセイ
高金利国債券
ファンド
基準価額 4,775円 7,608円 6,304円 7,134円 6,922円
増減率 -1.2% +2.4% -2.0% -0.8% +6.1%
手数料 0% 1.0% 2.0% 1.0% 1.5%
信託報酬 1.25% 1.00% 1.25% 1.25% 1.10%
信託財産
留保額
0.5% 0.5% 0% 0% 0%
分配利回り 7.5% 4.5% 3.5% 10.5% 3.2%
3年分の
利益額
221,374円 120,615円 85,266円 305,738円 82,020円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,184,606円 1,195,089円 1,025,868円 1,281,739円 1,276,978円
最終予想
利回り
5.81% 6.12% 0.85% 8.63% 8.49%
ソブリン債型の投資信託の比較表(国際投信 グローバルソブリン・DIAM高格付けインカムオープン・大和投信グローバル債券ファンド・日興アセット高金利先進国債券オープン・ニッセイ 高金利国債券ファンド)

上図で「ニッセイ 高金利国債券ファンド」を比較したが、まず目に映る基準価額は1年前の6,523円から、2012年11月まで6%上昇していた。しかし、前掲のチャート画像を想起するに、この6%という数字は偶然の可能性も高い。流れは横バイ~下落~横バイのはずで、2011年11月に偶然にも大きく下落したタイミングと重なったと見た方が自然だ。また、信託報酬・手数料は安価とはいえず平均レベルで、分配金は少額なため分配利回りは3%と低い。だが、基準価額が上昇しているため計算上は、8%という高い利回りになる。しかし、前述の通り基準価額の上昇はフロックである可能性が高く、本来なら横バイにの可能性が高い。そのため最終予想では3%前後の利回りが妥当なところだろう。

最後に結論だが、とても高金利といえるレベルではなくオススメはできそうにない。投資対象国でも、今後が懸念されるイギリス、未来が見えないノルウェーと、パフォーマンスの上昇に寄与するには物足りないずイマイチな感がある。毎月分配型の投信は純資産を削って分配金を出す傾向が強いため、純資産が減少の一途を辿っているのも頂けない。保険会社のニッセイ(日本生命)の冠が付いているだけあって、安定した運用を期待したいところだったが、所詮は個人に売り出す商品は、この程度という事が分かる。これなら、他社投信か日生の契約者なら保険で運用した方が賢明だろう。