ノムラ日米REITファンド(日米リト)/ 野村アセットマネジメント

ノムラ日米REITファンド(日米リト)/野村アセットマネジメント
オススメ度:
2
運用会社:
野村アセットマネジメント
商品名:
ノムラ日米REITファンド 毎月分配型(日米リト)
地域/決算:
北米・日本 / 年12回(毎月分配)
対象資産:
不動産投信
基準価額:
8,394円(2017年7月現在)
手数料:
2.0%(申込手数料 ※三菱UFJ信託) 1.51%(信託報酬)

ノムラ日米REITファンドは今からの購入は厳しいか!?

この投信は、アメリカ及び日本のオフィスビル・商業施設・住宅などの不動産に間接的に投資し、それらの賃料収入や売却益で収益を上げている。投資比率は米国が70%で日本が30%のため、米国リートの1つとして他社と比較した。実際の運用はハイトマン・リアル・エステイトというアメリカの運用会社が行っている。

ノムラ日米REITファンド 毎月分配型(日米リト)の基準価額及び純資産の推移チャート

基準価額は他社のUSリートと異なり、数年前から大きく上昇している。さらに分配金再投資基準価額も上昇し、ここ数年は最高のパフォーマンスを出している。これは円安の他に、日銀の量的緩和によって日本のリートが大きく上昇したことが寄与している。現在はリーマンショック前の水準を大きく超えているため、リーマンショックの地獄を見た後も、不可能に近いが10年近く我慢していれば利益が出ていることになる。

分配金は数年前は毎月30円だったが、現在は20円まで減った。将来的な減配が心配になるが、少なからず収益からも分配金を捻出しているため悪くはない。ただ、翌期繰越分配対象額が他社と比較にならないほど少額なため、何かショックがあった時の抵抗力は確実に落ちている。

ノムラ日米REITファンド 毎月分配型(日米リト)の上位構成銘柄及びセクター別構成

この投信の上位組み入れ銘柄だが、セクター別では賃貸住宅がトップで、次いで医療介護施設・分散型・ショッピングモールが続く。また、冒頭でも既述したように日本のJリートが3割ほど組み入れられている。

個別銘柄では、賃貸住宅ではなくデータセンターを主とするエクイニクスがトップになっている。データセンターはデータを保管するサーバを集積した場所だが、エクイニクスはアメリカ東海岸・西海岸・南部に加え、ヨーロッパ各所や東京・大阪をはじめとしたアジアでもデータセンターを保有している。

アメリカの賃貸物件・不動産(住宅)の需要と供給と着工件数と家賃の推移などの経済指標

アメリカのリート・不動産市場の見通しだが、総じて強気なアナリストが多い。ただ、ピークアウトを示唆している人も少なからず存在する。

まずショッピングモールなどを建てたり取得するための商業用不動産ローンの動向だが、現在は銀行が貸出基準の厳格化をし始めており、今後は資金調達が難しくなる可能性がある。それでも借入需要が伸びていればいいが、ここ数年は借入需要が減少している。さらに家賃は前年比で3.5%ほど上昇し続けており、リーマンショック前の水準まで来ている。家賃上昇はリートにはプラス材料だがピークアウトしても不思議ではない位置にある。

次に、純資産ランキング上位の米国リート型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。

製品名 フィデリティ
USリート
新光
US-REITオープン
愛称:ゼウス
ダイワ
米国リート・ファンド
ダイワ
US-REIT B
野村
日米リート
基準価額 4,254円 3,108円 4,182円 3,922円 8,394円
騰落率 -9.02% -11.1% -13.5% -10.5% -3.7%
分配金再投資
騰落率
11.4% 10.1% 11.2% 11.2% -1.0%
手数料 0% 2.0% 3.0% 1.5% 2.0%
信託報酬 1.4% 1.5% 1.5% 1.5% 1.5%
信託財産
留保額
0.3% 0.1% 0.3% 0% 0.5%
1年間の
分配金額
197,461円 193,050円 286,944円 244,773円 28,592円
分配金の
健全度
26.4% 12.0% 9.6% 10.8% 68.3%
3年間の
分配金額
547,384円 512,251円 782,232円 673,719円 15,476円
3年後の
100万
※分配金除く
753,074円 700,937円 647,215円 716,677円 890,833円
予想利回り 2.3%
(-11%~9%)
-1.0%
(-20%~6%)
-2.2%
(-19%~12%)
0.8%
(-13%~11%)
-2.0%
(-5%~6%)
米国リート型の投信の比較表(フィデリティUSリート・新光US-REIT 愛称ゼウス・ダイワ米国リートファンド・ダイワUS-REIT B・ノムラ日米REITファンド)

上図の通り「ノムラ日米REITファンド」は、基準価額は他社よりも抜群に安定しているが、分配金が少なく分配金再投資基準価額ではマイナスのため近々は赤字運用ということになる。さらに手数料・信託報酬といった諸経費も安くはなく非常に厳しい。一転して分配金の健全度は68%で非常に良好だが、分配金額が他社よりも明らかに少額なため当然の結果ともいえる。

この投信を100万円で3年運用した場合だが、直近1年のパフォーマンスが継続すれば元手の100万円は89万円まで減り、分配金を加味しても90万円に減ることになる。為替の円安と共に市場動向が良好になれば6%程度のプラスになる可能性もあるが、近々のパフォーマンスからすれば予想利回りはマイナスだ。

最後に結論だが、基準価額こそ安定しているが今からの購入はあまりオススメできない。日銀の金融緩和+アベノミクスで大きく上げて挽回してきたが、再び過渡期に入ったと考えた方がいいかもしれない。日本独自の動きで再び活躍する可能性もあるが、それなら日本だけのリートに投資した方がいい。また、組み入れ銘柄を見る限りオリジナリティがあるとは言い難く、その意味で他社を出し抜く高パフォーマンスを出すことも考えにくい。この投信を検討しているならフィデリティ・ダイワあたりも検討した方が賢明だろう。