ゴールドマン・サックス 米国REITファンド Bコース(毎月分配型) 愛称:コロンブスの卵/ ゴールドマンサックス・アセットマネジメント

ゴールドマン・サックス 米国REITファンド Bコース(毎月分配型)愛称:コロンブスの卵/ゴールドマンサックス・アセットマネジメント
オススメ度:
2
運用会社:
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント
商品名:
米国REITファンド Bコース (毎月分配型) 愛称:コロンブスの卵
地域/決算:
北米 / 年12回(毎月分配)
対象資産:
不動産投信
基準価額:
2,827円(2017年7月現在)
手数料:
2.5%(申込手数料 ※楽天証券) 1.4%(信託報酬)

ゴールドマン・サックス 米国REITファンド Bは他社と比較して数字が?

この投信はアメリカのオフィスビル・商業施設・住宅などへ投資し、それらの賃料収入や売却益で収益を上げている。特に小売・商業施設の比率が高く、ショッピングモール・アウトレットモールなどの業績、さらに小売売上高などの経済指標にも影響を受けやすい。ちなみに為替ヘッジありのAコースもあるが、ヘッジなしのBコースの方が圧倒的に人気なようだ。

ゴールドマン・サックス 米国REITファンド Bコース  (毎月分配型)の基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社の米国リートと同様に2015年頃から右肩下がりで下落し、今ではリーマンショック後の安値も下回る水準にある。その分だけ分配金再投資基準価額が上昇しているが、その騰落率は他社と比較すると物足りない(詳細は後述)。

分配金は2017年に75円から45円に減配している。その中身を見ても当期の収益からではなく、今までに溜め込んだ翌期繰越分配対象額から捻出しているに過ぎない。その額も他社の同型の投信は1万口あたり4000~8000円あるが、この投信は2000円台前半にまで萎んでいる。ここまでくると当面は大丈夫だとしても、よほどのことがない限りは将来的に再び減配する可能性がある。

ゴールドマン・サックス 米国REITファンド Bコース  (毎月分配型)  愛称:コロンブスの卵の上位構成銘柄及びセクター別構成

次に上位組み入れ銘柄だが、セクター別では新光投信のゼウスと同様に小売・商業の比率が高い。他社と異なるのは医療介護の比率が2番目に高い点だろう。アメリカも日本ほどではないが高齢化が進んでいる点を考えれば、悪くはない戦略といえるだろう。

個別銘柄ではショッピングモールを展開するサイモンが他社と同様に比率が高いが、次いで高いのが医療・介護施設のウェルタワーだ。同社は外来医療を主とした病院の他に、老人ホームやヘルスケア施設を中心に保有している。特にPAC(Post-acute care)と呼ばれるリハビリ施設に注力しているのが新しい。PACは急性期を乗り越えたが、依然として帰宅が難しい・不安な人向けのリハビリ施設だ。

例えば脳梗塞・脳卒中で入院して手術は無事に成功したが、まだ麻痺が残っている状態などが挙げられる。この場合には自宅に帰って在宅医療でも良いが、療法士による計画的なリハビリの方が一般的に回復は捗り安心感もある。日本にも増えてきており、今後が注目されている施設だ。

商業用不動産の資金需要と供給と貸し出し基準と世界各国の主要都市のオフィス賃料の比較と推移

次に米国リートの見通しだが、この投信の組み入れ比率が高い小売・商業は、アマゾンの台頭などで厳しい状況にある。また、リートは銀行などから資金調達して高額な不動産を取得するが、銀行が貸し出し基準を厳格化し始めている。それでも借入需要が強ければ良いが、借入需要は数年前から減退している。不動産へ資金を間接的に供給する銀行が渋り、実際に取得・運用する側も供給を控えるようでは今後は危ぶまれる。

また、この投信でも比率が高いオフィスだが、ニューヨークのオフィス賃料は直近1年でも2%ほど上昇し、約8年間で1.3倍まで膨れ上がっている。完全にバブルとなっている中国・ロンドンに次ぐ3番目の伸び率で、とてもではないが今後も伸びが継続するは思えない。さらに賃料上昇を嫌気してか空室率も上昇してきている。数字を見る限りは、ここからの投資は相当に慎重になるべき状況に入りつつある。

次に、純資産ランキング上位の米国リート型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。

製品名 フィデリティ
USリート
新光
US-REITオープン
愛称:ゼウス
ダイワ
米国リート・ファンド
ダイワ
US-REIT B
GS
US リート
トリプルエンジン
基準価額 4,254円 3,108円 4,182円 3,922円 2,827円
騰落率 -9.02% -11.1% -13.5% -10.5% -12.5%
分配金再投資
騰落率
11.4% 10.1% 11.2% 11.2% 9.5%
手数料 0% 2.0% 3.0% 1.5% 2.5%
信託報酬 1.4% 1.5% 1.5% 1.5% 1.4%
信託財産
留保額
0.3% 0.1% 0.3% 0% 0%
1年間の
分配金額
197,461円 193,050円 286,944円 244,773円 191,015円
分配金の
健全度
26.4% 12.0% 9.6% 10.8% 15.4%
3年間の
分配金額
547,384円 512,251円 782,232円 673,719円 505,146円
3年後の
100万
※分配金除く
753,074円 700,937円 647,215円 716,677円 668,086円
予想利回り 2.3%
(-11%~9%)
-1.0%
(-20%~6%)
-2.2%
(-19%~12%)
0.8%
(-13%~11%)
-2.9%
(-24%~5%)
米国リート型の投信の比較表(フィデリティUSリート・新光US-REIT 愛称ゼウス・ダイワ米国リートファンド・ダイワUS-REIT B・GS USリート トリプルエンジン)

上図の通り「GS 米国REITファンド B」は、基準価額のマイナス幅は他社よりも大きめのわりに、分配金再投資基準価額でのプラス幅は他社に劣っている。基準価額を削って出す分配金では、トータルの損益がプラスとは限らない典型例といえるかもしれない。また、信託報酬は僅かに他社よりも低いが、手数料が2.5%と高めのため諸経費面ではプラマイゼロだ。ただし、分配金の健全度は他社の同型投信よりも(あくまで同型の投信)高めのため、その点では悪くない。

この投信を100万円で3年運用した場合だが、今後も分配金が維持されれば3年で計50万円の分配金が受け取れ、元手の100万円は66万円になる計算だ。この数字で利回りは最高5%となるが、この楽観的な計算でも他社よりも数字は悪い。さらに過去3年の実績値で計算すると、利回りはマイナス24%まで凹む可能性もある。他社と比較して数字面では非常に厳しい。。。

最後に結論だが、他社と比較して数字面で厳しくオススメできる投信とは言い難い。よっぽどのポジティブな材料が為替などで現れれば状況は変わるかもしれないが、それでも他社も同じ恩恵を受けるため、この投信を特に購入する理由にはなり得ない。セクター別の組み入れ銘柄で少し特徴的な面が見られたため、個別で急騰するようなことがあれば他社を出し抜けるが、かすかな希望でしかないだろう。